2023年04月11日
セレスピードの思い出
Copperkingさんのブログコメント欄で、つい懐かしさのあまり
セレスピードネタを展開してしまいました。
チャット状態にしてしまいまして、他のコメント書きたいみん友さんにも
ご迷惑かけてしまうのは申し訳ないので、我がのブログに展開します。
要するに、コメント文章が長くなりすぎるっちゅうことです(爆)
もうこれから多分出てこないであろう技術への賞賛の意味も込め、
題して「セレスピードの思い出」といたします。
今回も長いぞ(笑)
大学生だった当時、当たり前のように3ペダルのMT免許を取ったのですが、
MT操作が必ずしも得意だったわけでもなく、坂道発進で苦労して、
クルマ買うときはオートマ買おう、と思っていました。
ところが、未成年、免許初取得の小僧を担保できる任意保険は恐ろしく高く、
とてもじゃないけれどAT車で欲しい車種、スカイラインやレパード、
アルシオーネなんか手が届きません。
そこで思いつきました。保険の安いやつは・・・軽だ!
当時、軽自動車はまだまだ4ナンバー主流で、ボンバンなんて言われてましたね。
軽(当時は550CC)は走らんやろうから、
ターボ付きの速くて、しかもかわいいアルトワークスにしよう、
少しでも速いように仕方なくMTで。
そんな風に始まった我が自動車ライフ、しばらくすればMTにも慣れ、
どちらでもOKにはなりましたが、
渋滞のときに自動変速になるMTは無いものか、そんな風に感じていたのです。
さて、国産から初めて輸入車に乗り換えたのがアルファロメオ156でした。
グレードは2種類ある安い方、2.0ツインスパーク、もちろん5MTです。
しかし、しばらくすると、何とも画期的な装置が搭載された156が
出てきました。
セレスピードというそれは、なんとクラッチペダルだけがなくなるだけで、
通常の5MTとまったく同じというではないですか。
今さらここで機械の詳細を解説するのはさすがに省略しますが、
クラッチペダルを蹴り飛ばす役目を油圧アクチュエータが担ってくれる、
しかも変速スピードは人類を軽く凌駕し、ヒールアンドトゥまでやる、
といえば俄然興味がわきました。
たまたま156のメンテをしてくれていたディーラーが
新古車登録したのを聞き付け、ATだから嫁さんでも乗れる、
なんて言い訳をしつつ、晴れてセレスピードのオーナーになることができました。
当時のセレは、とにかく変速ショックは無視しても変速速度重視、
みたいな動きで、カツンカツンと変速する、なかなか気持ちのいいものでした。
しかし、油圧アクチュエータのパッキン不良だとか、
セレオイルは確かブレーキフルードだったと思うのですが、
油量がほんの少し足りないから、とか
とにかく適性圧が出ないとすぐ変速はおろか移動すらできなくなってしまう
代物でした。
オフ会が流行し始めたのもこの頃でしたが、156オフ会では必ず
2台ぐらいが立ち往生し、クルマを揺すったり押したり引いたりと
涙ぐましいことしましたね。
幸い、自分のクルマは問題なく動いてはいましたけど。
当初、セレはバンザイしてしまうとギアが抜けませんでした。
そのため、停車するときは本来1速またはRに入れろ、
というルールを守らず、ニュートラルでエンジンストップさせるようにと
言っていたディーラーもありました。
メーカーもいろいろ考えたのでしょう、変速ショックを弱くするため、
サービスキャンペーンとして変速時間を長くし、
半クラも長くしたECU書き換えがありました。
これでどこまで負荷が軽くなるのかはわかりませんが、
少しスポーティさが欠けたように思います。
セレ保護の方策として、油圧アクチュエータが油圧を立ち上げるまで、
あのちゅいーんという音が消えるまでエンジンをかけない、とか、
減速時に調子こいて1速に叩き込まない、とか、
一旦停止ではきっちり止めて1速ギアエンゲージと動き出しの半クラを
同時にさせない、とか都市伝説めいたなんかこう「お作法」を
みんないろいろ試していたよなあ。
確かに、この2ペダルMTというのは、ある意味夢の機構といっても
いいかと思ってはいたのですが、
MT乗れる人間には別にこれでなくてもいいんだよな、
という気づいてはいけない点に気づいてしまうまで、
そう長くはありませんでした。
要するに、飽きてしまったのです。
折しもBMWがMINIのライセンスを取り、発売し始めたのでこれに乗り換え、
たまたまディーラーで試乗車上がりのV6が売りに出てきたため、
これまたすぐに乗り換えて、結局MTに戻ってしまいました。
さて、その頃既に147が発売されていました。
トランスミッションは基本的にセレスピード、CITYモードといわれる
完全自動変速モードが、156ではエンジンを切って再始動すれば
解除されてしまってましたが、
147ではホールドされている第2世代となっていました。
147は代車経験しかありませんが、
156と違いセレ特有のお作法を守らなくても
それなりに何とかなるかなり乗りやすい車になっていました。
当然クリープ現象はありませんし、
ヒルホールドも確かまだ付いていなかったように思います。
ただ、147が156のように不具合だらけ、とは聞いた記憶はありません。
セレスピードとしては一応の完成をみたと思っていました。
ところが、それが159ではさらなる高みへと昇っていたのです。
さて、159ですが、出た当初、ジウジアーロ先生のデザインは好きですけど
ちょっと大きくて値段が高いなあ、そういう印象でした、
しかし、車体が大きくしっかりしたことにより、
いろいろな性能は上がっていたと思います。
156は面白かったけれど、
低次元エンターテインメントと評論家に言われるほど、
機械としての性能に頼れない部分があったように今となっては思えます。
もちろん、そんな限界にまで到達しない自分の腕前ですから、
別に低次元でも何でもなく今でも好きなクルマの一つです。
特にGTAは今でも見かけると、いいなあ無理して買っておけばよかったな、と
思うことしきりです。まだ近所に乗っている人がいてるもので。
さて、156がV6だったこともあり、
こいつが朽ち果てるまで乗ろう、と心に誓ったのも束の間、
もう159販売しなくなるよ、と聞いてしまいました。
そこでTiで白が買えるなら、ということで
日本中探してもらって何とか最後の数台から手に入れることができました。
V6のATには手が出ず、もう乗らないだろうと考えていたセレでした。
しかし、楽しさ、安全性、快適性、コスト・・・そういうものを考慮すると、
真っ先にはずしても問題がないのがMTでした。
MT好きの人ほどには自分はMTにこだわりがないのです。
しかし、セレは159においてかなり進化しており、
実質これが最終形だと言えると思います。
CITYだったかAUTOだったかのモードで
暫定シフトチェンジができるようになっていました。
これはDレンジ走行中にシフトダウンまたはアップを一時的に受け付け、
その後しばらくすると元の段数に戻るというもの。
今のATでは当たり前かもしれませんが、
当時は画期的で、セレもついにATの領域に到達したか・・・
そんな風に思ったものです。
またダウンシフト時の中ぶかしをほとんどしなかったように思います。
初代セレのような「ウオン」と一発かますでもなく、
そのくせ従来のATのように、ぶわーっと回転上げてシフトダウン、
そんなことにもなりません。
しいて言えば、一気に指定段数までバンっと持って行く感じといえば
わかるでしょうか。
頼りないけどヒルホールド機能もありました。
壊れそうな予兆もありませんし、不具合が出るなんて心配は忘却の彼方。
そんなとき、唐突に不動状態になったのでした。
国道2号線の六甲道付近で信号待ちで停止中、
青になったからスタートしようとすると、
ピーンという警告音が鳴ってギアボックスエラー、ギア入らず・・・
あれれ、やばい、動けん。
不幸中の幸いであったのは外側車線で信号待ちだったことですね。
同乗していた息子2号に「降りて押そう!筋トレになるぜ」と促して、
路肩までうんしょうんしょと押します。
幸いエンジンはかかっているので、パワステは機能します。
車外からハンドル操作ができたし、ギアもニュートラル、
なんせギア入らずだもんで・・・のため、
路肩まで人力で寄せることはできました。
国道で立ち往生、といってJAFを呼んだら、交通整理のためポリスも登場、
ただし、路肩に居てるので交通障害になってない、
安全マージンありと報告を入れ帰っていきました。
たまたま、割と近くに系列ディーラーの工場があったため、
レッカーでそこまで連れて行ってもらえましたが、
不動車との連絡のため、メカニック総出でのお出迎えにもかかわらず、
自走しよるんだよなあw
なんとなくそうやろうなあ、とはうすうす感じていましたが。
さて、とにかく現状では何とかしてもらわないと怖くて乗れません。
雨の夜に山の中で立ち往生、携帯もつながらず、なんてのは歓迎できません。
機械的なトラブルの場合、あからさまにつぶれていない限り
原因不明となるのでしょうが、
今回は1回だけ電気的なエラーログが記録されていました。
1速ギアにギアチェンジできず・・・
しかし、行きつけのディーラーに回送されしばらく様子見してくれたものの、
状況の再現ができません。
とどのつまり、レリーズシリンダーの経年劣化ちゃうか?
という結論に至りました。
ギアチェンジの際に動く棒状のレリーズシリンダーの滑りが悪くなり、
動作を渋ったんじゃないか、という結論です。
この機構、確かに国産車でも劣化すると発生するものだそうですが、
自分の手足でする場合、ある程度の予兆を感じられそうですし、
最悪、力業に出ることもできるかもしれませんが、
セーフ機能が付いた電子制御だとそうはいきません。
バンザイしておしまいです。
さて、疑わしきは・・・で部品交換したレリーズシリンダーですが、
修理費はたしか15万円程度だったように記憶しています。
でもそれで修理したとしても、果たして本当にこれが原因だったのかは
わからずじまい。
だんだん乗らなくなったところでアバルトの70周年記念車の応募フォームに
たまたま接続でき、たまたま当選してしまったため、
159は手放すことになりました。
所有してからちょうど10年でした。
いま、2ペダルMTはツインクラッチタイプが主流で、
変速ショックもほとんどなく、
しかも変速スピードも格段に速くできるようになりました。
諸元にもMTではなく、ATと記載されるようになっているようですね。
既にセレスピードのような乾式単板クラッチを用いた2ペダル車は
フィアットのデユアロジックぐらいしかないのかもしれません。
クルマとリズムを刻みながらのドライブはそれなりに楽しかったのですが、
乗りにくさ、耐久性等であまり評判の良くなかったセレスピード、
クルマが発達していく過渡期の技術として記憶しておきたいですね。
ちなみに、フィアットデュアロジックやアバルトコンペティツィオーネと
呼ばれる2ペダルMT、
セレスピードとは構造が違ったはずです。
セレスピードのように部分的な交換ができず、
ごっそりアッセンブリーで交換することになり、
高額な修理代が必要になると言われた記憶があります。
得意なショップでは部分交換やオーバーホールで
修理代を押さえてくれるところもあるようですが、
ディーラー整備だとかけることができる手間と保証の関係から、
どうしてもアッセンでの交換になるんでしょうね。
いま、我が家にはトルコンATとツインクラッチのクルマしかありませんが、
もうセレスピードのような仕様の車は買わないでしょう。
普通のATやツインクラッチの方が、圧倒的にクセがないので。
乗ってるときは平気でしたが、もうあのクセを「クルマと対話してるんだ」とか
情緒的に考えることができなくなってしまったように思います。
乾式単板クラッチのクルマに乗りたいのなら、MT車買えば済むことですしね。
セレスピードは自分のクルマ遍歴のいい思い出です。
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Posted at
2023/04/11 19:09:11
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