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九郎田一馬のブログ一覧

2016年02月21日 イイね!

ベスモism継続なり!「PORSCHE PRIDE&PROGRESS 偏愛グラフティ」発売。

ベスモism継続なり!「PORSCHE PRIDE&PROGRESS 偏愛グラフティ」発売。去る2月18日に
「PORSCHE PRIDE&PROGRESS 偏愛グラフティ」が有峰書店新社より発売となりました。

ただ現状アマゾンで在庫切れ状態!(汗)
最初たっぷり在庫表示されていたのに、あれよあれよと…ですが予約はできる状態ですので、是非ぜひ。



実は昨年「ベストモータリング同窓会」のメンバーのひとりとして本書作成のほんの僅かではありますが、お手伝いをさせて頂いておりました。

もちろんお手伝いと言いましても
執筆陣のガンさんや中谷さんを始め、
本書の素晴らしく美しいかっこいい写真をメインで撮影したCMOさん
実際のボクスターオーナーの観点からポルシェを斬る2315さん
そして何よりも、正式なポルシェ公式エンブレムの使用許可からポルシェジャパンさんの協力、本を作成するとは何たるかをご教授頂き
正岡局長のお力無くしてはできなかった…
そんなそうそうたる皆様の中で、僭越ながら微々たる私も、本書内で最後のNAとなる?991型カレラSとパナメーラS-Eハイブリッドの2台のインプレッションを掲載させていただき、末席を汚しております。



人生で初めてポルシェを味わったのが5年前、22歳
そこから4年でこれほどたくさんの経験を積ませて頂けただけでなく、自分の文章をこんな素敵な本として一部に載せて頂ける…
これほど嬉しい事はありません。昔からの夢が形として叶った気分です。
改めてこの場で感謝であります。


※写真の腕はありませんので、ドライバーとしていくつかの超カッコいい写真カット内に登場しています(笑


本書は最近破竹の勢いで突き進むポルシェを斬る!だけでなく
かつての”ベスモの血”で繋がっていた年代も境遇も全く違う皆さんが、こうして21世紀にネットを通じて交流を持ち、出会い話し笑ってこういった本という形で未だ脈々と続く”ベスモism”が証明する1冊…。
そこに少しだけでも携われた。その喜びは何とも言葉で表現できないほどの歓びです。




ひとまず見かけたら常に買おうかなと思います(笑)

いや、ほんと、かっこいいんです。この本。
本をかっこいいだなんてあまり思う事がなかったので新鮮です。

ポルシェファンだけでなく、ベストモータリングファンにご覧いただきたいです。
是非、機会ありましたらお手元に1冊。





Posted at 2016/02/21 19:02:56 | コメント(0) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2015年06月16日 イイね!

【試乗体験記】ポルシェ マカンターボ 

【試乗体験記】ポルシェ マカンターボ 
久しぶりの試乗レポートです。

新居への引っ越しもひと段落、ようやくこうしてみんカラをボチボチ更新できそうな環境が整ってきました。ボチボチとですが、1か月に1台は何か車をピックアップしてこうして試乗レポートをアップできればと考えています。相変わらずのダラダラ長文レポートですが、昨今読みやすさとページビューを稼ぐためにコラムの短文化と簡略化が進む中、こういう文字ばっかりなものもあってもいいかな…というわけで、引き続きお付き合いください。

久々復活第1弾のレポートは、これまたスペシャルなポルシェのマカンに触れる機会がありましたので、こちらを取り上げます。。最近都内でも続々と目撃するようになってきました。売れてますね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 今イケイケどんどん状態なポルシェを見ると、かつて90年代初頭に深刻な経営危機が囁かれていたなんて、信じられないかもしれない。928、944、968…等々新たなFRスポーツカーの提案をするも、絶対的な存在ともいえるRRの911のブランドイメージを超える事ができずにセールスは苦戦。世界中の自動車の指標の1つとも言える地位にありながら、その輝かしさあまりにポルシェ自身がその存在に苦しむという、今振り返れば皮肉的なお家事情が当時のポルシェのラインアップから透けて見える。(重ねて言えば、ちょうどその頃にメインであった964型911のユーズドカー市場相場が昨今急激に高騰の気配を見せているのも、不思議な巡り合わせか…。)



 しかしその事情は、95年に登場するポルシェボクスターの登場から一変する。ニッポンの誇るべき名車初代NAロードスターの存在が与えた衝撃が大きな1つのきっかけである事に疑いようはありませんが、“911より確実に手頃な”でも“ホンモノのポルシェ(914ではない!)”であるオープンMR2シータースポーツの登場は、間違いなく世界中のクルマ好きの心をくすぐった。それは今思えば水冷化911…つまりは996へのドラスティックな変身劇の序章に過ぎなかったわけではありますが、996初期当初に訊かれたポルシェ大衆化批判の声も今やどこへやら。ポルシェは世界有数のブランドイメージと抜群の収益構造をもつ自動車製造業へと変貌を遂げたのです。



 おっと忘れてはいけない、ボクスターが20世紀末のポルシェを窮地から救い出した後、その後21世紀にさらなる躍進の原動力になったクルマ…それがカイエン。全く新しい形のスポーツカーと銘打って登場させたこのポルシェ初となる5ドアSUV。ポルシェ911のオーナーは当然複数台所有が当たり前、では“その中で使用頻度の高い、本当に必要とされているクルマは何か?”という点に着眼したマーケティング力と(カイエンが出た当初、ポルシェの方が今までうちのクルマを本当に必要不可欠としているお客様なんていなかった、でも今回はマイファーストカーとして自信をもってご提供できるクルマを用意できた…なんて事を言っていたのが非常に印象的だった記憶が朧げにあります)、VWとの思惑が合致しコンポーネントの共用化が最大限図られつつも、紛れもなくポルシェ!を感じさせるその走りを実現させたエンジニアリング力。



 そしてその結果、目論み通り世界中で瞬く間に大ヒット。2015年となった今、ジャガーにマセラッティにランボルギーニまで追随の構え。あのポルシェが日和ったな…なんて声が一部エンスージニアトから聞こえつつも、カイエンで儲けた分で911やボクスターたち“王道のスポーツカー”を着実に、また飛躍的に進化させる事で、マニアック主義スポーツカー大好きユーザーら外野の声は有無を言わさず商品力をもってして封じ込める。なんという素晴らしい好循環でしょう。でもポルシェといえども、カイエンのエンジンはV6、V8。そこは本家さえできなかったボクサーエンジン搭載のSUVを、これまた最近超優良経営・収益体質で報道されるスバルがその儲けをドドンとつぎ込んで、アウトバックの3.6L6気筒にターボなんかつけちゃったりして、はたまたトライベッカを今こそ復活させて、ボクサーターボのAWDスポーツSUVとして大和魂全開で真っ向ポルシェと勝負だ!…っていうのは冗談で、すみません話が逸れました。



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 そんなポルシェの次なる一手…それが今回紹介するマカン。北米メインに捉えたカイエンよりひと回り小柄で引き締まったサイズ、スタイリングはさらに優雅に。出る前からすでにヒット作確実の匂いをプンプン漂わせているのが、この弟分のマカン。今回、そのマカンの現時点最上級グレードであるマカンターボに幸運にも接する機会があったのでレポートとしてお届けしたい。ん?現時点?そりゃぁもうどんどん後から出るでしょう、マカンターボ“S”とかマカンターボ“GTS”とかマカンターボ“GTSハイブリッド”とかマカンターボ“GTSハイブリッドアニバーサリーエディション”とか…(以下省略

冗談はさておき、結論から先に述べてしまうと、“これは全く新しい形をしたポルシェのスポーツカーです”なんていう宣伝文句を、今回はこれはまんざら嘘でも誇張でもないかもしれんぞ…と真に受けてしまう、そんな実力の片鱗を味わう事になるのでした。そう、マカンの真の価値を知る為には、直近20年のポルシェの歴史を紐解き考察を加えた上で接する方がより早く、より深くその魅力に迫りやすい。というわけで、毎度肝心のレポートに入るまでの前置きが長いのは、今回ご了承願えれば幸いです。

 さて、そのマカンを簡単におさらい。ベースはアウディのQ5。素となる「マカン」は4気筒ターボエンジンも共通となりますが、V6ターボエンジンは基本的にポルシェのもの。また4WDシステムはグレードに限らずアウディのクワトロシステムとは別物となっています。グレードは「マカン」「マカンS」「マカンターボ」。今回登場するマカンターボですが、ターボの名はつくものの実は現時点全てマカンはターボエンジン。2L4気筒のマカン、3LV6のマカンSは340ps、3.6LV6ターボは400ps。全車7速PDKでマカンターボとマカンSの価格差はおおよそ国産コンパクトカー1台分!?…ですがここにもマジックがあり、マカンSに欲しいと思わせるオプションは実はターボで標準装備だったりして、積み上げていくと…これならいっそターボにしとこうか…と思わせてしまうポルシェのグレード設定の巧みさ。

 因みにこのマカンターボにも漏れなくたくさんのオプションがついており、このなんてことなさそうなシルバーメタは16万、エアサスとPTV+はそれぞれ27万、ベージュのレザーインテリアも27万、超カッコいいヒータ付カーボンステアリングは10万円、迫力の21インチアルミは52万…っと、あっという間に三ケタ万円の世界。ホイールのセンターキャップのポルシェマークを白黒からカラーにするだけで3万円、なんだか金銭感覚が早くも麻痺状態です…。



 さて、まずは周辺をジロジロ歩きながら細部をチェック。フロントマスクは獰猛…でありながら、どこかハムスター?モルモット?を思わせるちょっとかわいい動物的フェイスでもあります。全長でこそ4.7m以下でレヴォーグとほとんと同じくらいですが、全幅は1900㎜を楽々オーバー。カイエンより小さいとはいえ、都内の狭い道でスイスイというわけにはいきません。それでも写真や単体で見るとキュッとしまってコンパクトに見えるのは、その抑えられた全高と寝かされたピラー類、ふくよかなフェンダーラインのおかげでしょうか。特にこの超巨大(!)で、かつ前後異形(!!)なF 265/40R21 R 295/35/R21 のタイヤ・ホイールを履くこの個体はさらにその印象が強くなります。逆に19インチ程度では足元が物足りなくなる?しかしまぁ怖くて路肩に寄せられない、コンビニへの段差を乗り越えたくない、そもそも1本交換賃いくら?と庶民はいらぬ心配ばかりしています。ボクジューハチインチクライデジュウブンデス。



 というわけでスタイリングに多くボディサイズを割いているわけで、居住性は実はその見た目ほど広くない。後席は日常には必要十分程度、ラゲッジスペースも仕立て抜群、エアサスでリアの車高調整できるスイッチまで装着されていますが、寝かされたDピラーの影響で嵩張る大きな荷物は要注意。リアデザインはナンバーをバンパーに下してどことなくポルシェ991…というよりはむしろメルセデスAMG GT…っぽい印象。しかしどこでバックドア開けるんだ?と思ったら、あらま綺麗にリアワイパーの根本にスイッチがビルトイン。素晴らしい。



 ドアをあけてシートへ。この個体はあえてコンフォート気味のシートになっていたようで、実際はもっとサポート性のある締まったシートがデフォルトのよう。ターボにはそちらのほうが相応しい…?



メーターはポルシェっぽさ全開のセンタータコメータ、左側にスピード、右側にはインフォメーションモニタ。ここでは燃費や前後駆動配分、タイヤの空気圧までリアルタイムでモニタリングが可能。スポーツクロノ装着車なのでストップウォッチも装着されますが、いったいいつ使うのか…?なんて考えてしまうのは野暮というもので。こういった雰囲気作りが重要です。



 シフトノブまわりにはズラッと並ぶ多数のスイッチ類。他メーカがコマンドコントローラーを装着してできるだけスイッチ類を集約させようとする事をポルシェは全く考えていない?のか、キチンと1つ1つのスイッチに機能をもたせるのが流儀。見た目はどこか戦闘機のようで確かにカッコよく、シンプルにしようとしてより難雑なインターフェイスに陥ったりするよりはまだいいですが、走行関係のスイッチもここにズラっと並べてあり、スポーツモードへの切り替えやサスペンションの減衰設定など、まずブラインドタッチで走行中変更するのは至難の業、危険。いざ咄嗟にファイティングポーズを取りたいのに、いったん車を停めて直視しながら…なんて滑稽な事ではあんまりです。ここはそろそろ安全性も考えた上で、何か新しいもっとユーザー目線になったインターフェイスの一考が必要でしょう。因みに、オプションをほとんどつけない素のマカンなどは、このシフトまわり周辺のスイッチがほとんどダミーになっており、大変寂しい想いをすることになります。

 インターフェイスといえば、この918を彷彿とさせるかっこいいステアリングにいわゆるコンベンショナルなパドルシフトが装着されるのは○。ポルシェのデフォルトのステアスイッチの使い勝手の悪さは、1度体験した人なら分かるはず。ぜひ今後もこちらへの統一を進めて頂きたいところです。シートポジションはポルシェの例に漏れず自由度が高いのは◎。低めのポジションでスポーツカーっぽい姿勢を取る事も可能ですが、マカンはカイエンと同じくアクセルペダルがオルガンではなく吊り下げ式の為、ややアップライトなポジションを取った方がしっくりきました。



 国内仕様で非常に残念なのがナビの搭載位置。他のポルシェに漏れずクラリオン製が装着されていますが、とにかく取ってつけた感を露骨に感じさせるその低すぎる装着位置。その上に小物入れを用意するという、?なレイアウト。因みに本国仕様のエンターテイメントシステムは、当然ながら納得できる位置に綺麗にビルトインされています。口うるさい国内ユーザーに合わせた国内製ナビをすべてにつけるインポーターの努力は買いたいところですが、実際に“本来相応しい位置”に納車後即座に入れ替えをしているオーナーさんが多いのを見ると、ぜひ再考をお願いしたいところです。



 エンジンを始動すると、最初はフォォン!と乾いたなかなか獰猛なサウンドを響かせてくれます。が、アイドリングが落ち着けばとっても静か。実はこの印象はインプレッション終了まで変わる事なく、例えば全開加速やここ一発!という時には、もっと獰猛なサウンドを響かせてもいいのでは?という思いもなくはない…あくまでジェントルに、さりげなく速い。もちろん誤解のないように言えば、その加速感は2tの車重を感じさせない強烈さで、ローンチコントロールを使わずともトラクションは抜群、7速PDKは2速レッド6800rpmで90㎞/h強というギア比のクロスな割り振りは完全にスポーツカーのそれ。



 また、シフトアップダウンの乾いた俊敏さと、傾斜のある極低速時というDCTがもっとも苦手とする状況でもしっとりと滑らかにアクセルワークに対しコントロールできるPDKの性能両立レベルの高さはまさに舌を巻くレベル。この部分ははっきりとQ5のSトロニックより一枚上手。また、米国での牽引能力性能も求められるが故に8速トルコンATのティプトロを採用するカイエンでは味わう事のできない、さらに濃厚な最新ポルシェの味わいをマカンは色濃く体感する事ができます。もちろん、巡航状態になればN状態となってコースティングを行い、停まれば律儀にすぐさまアイドリングストップ。ヒルホールド機能がついている事もあり、エンジンONの指標コマンドが「ブレーキを離す」事ではなく「アクセルを踏む」事によって反応するため、国産のアイドルストップ車の優秀な制御から比べるとややもたつきを感じる事もありますが、これは慣れで解決できる範囲かと思います。



…しかしながら、今回マカンターボに乗って1番驚いた事は、その2t+400psを全くもて余す事なく、いわば完全に掌握してキチンと引き出せる能力を備えているそのシャシー性能の素晴らしさ。OPである21インチタイヤによる効能も当然あるでしょうか、キンと空気を張りつめたようなボディの剛性感と、恐ろしいほどに堅牢さを感じるサスペンションまわりのカッチリとしたインフォメーション…そしてエアサスとも相まって、全く不快感のないフラットな乗り心地。車高の調整や脚の硬さをコンフォート、ノーマル、スポーツ、スポーツ+…と、走行モード選択だけでなく脚のみ色々と調整して試してみましたが、唯一車高上げ+コンフォートシャシーで踏んだ場合にややダンピングがフワッとした印象があったくらいで、はっきり言って合法的な一般路+ワインディングレベルではコンフォートでも十分に安定していてスポーティで、逆に一番ハードなスポーツ+にしても街乗りの乗り心地はこれでも全く不快感はなし。

 ブレーキの耐フェード性や、オプションのPTVプラスを試すような領域で走らなかったので、個人的には車高ローモード+コンフォートシャシーが最終的に1番お気に入り。これなら街乗りでの極上乗り心地+高速域での見事なフラットライド感が存分に味わえます。あとは低速時に少し電動っぽさを感じるステアフィールが、動き出しからさらに濃密なものになれば…なんて注文をつけるのは、ちょっと贅沢すぎるかもしれません。



 ポルシェが今日まで911を始めとするスポーツカーとして世界的な名声を得た理由は、その素晴らしい性能は言うまでもなく、それをデイリーユースでも扱える高い実用性の両立のもと築き上げてきたから…と私は考えています。911にリアシートをまだ残している事、2シーターながら前後にラゲッジスペースがあり望外な積載能力をもつケイマンとボクスター…。それを考えれば、このマカンが達成したこの境地はまさに異端でもなくポルシェが追い求める性能の両立を新しい形で具現化したもの。しかもそれはライバルを寄せ付けない、圧倒的ともいえる次元の違いで。かつて15年ほど前、自動車に異種格闘技やトライアスロンのようなあらゆる季節や状況を伴う多種目競技があれば、世界一なのはスバルのフォレスター…なんて言われていた記憶がありますが、今なら間違いなくこのマカンが世界一。まさにこれこそが現代のスーパーカーであり、ポルシェが新しいスポーツカーの形…という主張を苦笑いどころか満面の笑みで頷けてしまう、いとも簡単に価値観や固定概念を変えられてしまう素敵な体験でした。
Posted at 2015/06/16 23:51:36 | コメント(3) | ポルシェ | 日記
2011年07月02日 イイね!

New!試乗記 ポルシェ ボクスター 後編

New!試乗記 ポルシェ ボクスター 後編 さて、散々引っ張ってしまったボクスターの試乗記も、いよいよ締めです。



前編はこちら。

中編はこちら。




早朝、6時過ぎ。

目覚めると、空はどんよりしているものの、雨は落ちてこず。幸運。

さて、2日目。平日のため高速代をケチりながら(笑)南下、東名高速を目指します。

すでに通勤ラッシュがスタートする中、129号線を通って、東名高速厚木インター方面へ。当然、屋根はフルオープン。ストップ&ゴーが続く中、若干の低速のパンチ力不足を感じながら、それでも踏み込めば上までスパンと回るエンジンの気持ちよさ。抜群に歯切れのいいPDK。しかしそんな中でも、クラッチ制御のマナーはあくまでも滑らかで、加えて乗り心地は改めて感服するほど良く、いったい今自分が乗っている車が、高級車なのか、スポーツカーなのか、一瞬分からなくなるような、そんな感覚に何度襲われた事か。



そして、本当にもう言い古された言葉で、使いたくはないのですが、まさにこのボクスターは、“ゆっくり走っていても楽しい”クルマだと言い切れます。ロードスターのようにある意味でそこを思いっきり狙っているレベルなクルマならまだしも、明らかに性能としては一級品の速さと質感があるというのに、時速5km/hから、加減速を繰り返していても、一定速度で走っていても、飛ばさなくても充足に満たされるこの感触。それはボディ剛性の「質感」であったり(高い、だけじゃない)、「手の平が喜んでいる」ダイレクトかつすっきりとした美味しいステアリングフィールであったりするのですが、すべての基本性能に対して、べらぼうに金がかかっている。そんな事を嫌が故にも実感させられます。

これが「新車で買える一番安いポルシェ」だと言うのに…。絶対的には高価な車である事は間違いありませんが、これを一度味わってしまうと、今まで自分で乗った車の経験値と比較し、相対的に高い…どころか、これだけよけりゃ当然だな、という気持ちが沸々と…。


そんな事を考えながら、3時間ほど心地いい渋滞に巻き込まれつつ、ようやく高速に乗りこみ、東名下りの左ルートでハイスピードクルージングを楽しみ、足柄SAにとひとっ風呂(温泉のあるサービスエリアって本当に素敵です)。風呂から上がれば、なんと予報外れて、雲の隙間から日差しが見えてきました。よし、このままオープンで楽しめる…御殿場ICで降りれば、目指す場所はもう決まり。クルマ好きにはたまらない、そしてボクスターの本領発揮ステージである、芦ノ湖~箱根スカイラインのワインディングインプレッションに突入です。



平日の、お昼前。こんな時間帯だけあって、観光名所でもあるこのあたりも、人も車もまばら。時たま、ルノールーテシアRSや先代のZ4・M、R32スカイラインGT-RVスぺⅡなどが、気持ちいい音を響かせながら、ワインディングを駆け抜けていくのが目に入った程度。雲の中から太陽の光が漏れる中、屋根を開け放ったままボクスターのスロットルを踏み込んで、この車の真髄を楽しむ事にしましょう。

スタートからドンっ!とアクセルを床まで踏み込むと、わずかにスキール音を響かせながら猛然と鋭くダッシュを決めてくれます。トラクションコントロールが一瞬介入しますが、その制御はとても自然で、失速感は全くなし。これは制御が上手いというだけでなく、このボクスターがもともと備えるトラクション性能の良さとも言えるでしょう。テスト者はスポーツパッケージを装着していないので、ローンチコントロールは装着されていませんが、サーキットでもない限りこれくらいの鋭さを感じる事ができれば、全く不満はありません。

さて、目の前に広がる、運転好きには理想的とも言えるコーナーの数々を駆けていきます。車雑誌や、テレビで、見たことのあるコーナーの数々。あぁこのコーナーが、CGでよく見かけるあのカットのやつかぁ…なんて事を思ったり。



このステージのボクスターは、まさに水を得た魚。フロントが205というタイアサイズとは思えないほどの接地性の高さ、旋回中の前後バランスの良さ、そこから脱出にかけての抜群のトラクション…こういった場面ではまさに「これぞスポーツカー!」な楽しさを味わえます。路面が荒れていてもボディはそれをしなやかにカッチリと受け止め、アクセルを踏めばNAらしいレスポンスの良さと乾いたエキゾーストノート。実際に飛ばし始めると、クルマ自体がどんどん軽く、小さくなっていくような錯覚。また、ノーマル17インチでも自分のような素人レベルでは十分のグリップレベル。危なげな挙動は全く見せず、最終的に攻めていくと立ち上がりでお尻が流れる挙動になりがちなものの、基本的には「微」弱アンダー気味なセッティングも安心感を助長させてくれる要素です。

さすがに高いクルマなので、PSMはもちろんON状態。途中何度かメーター内にピカピカ光って制御を知らせてくれましたが、その動作領域は、少なくともドライ路面ではスポーツドライビングの邪魔をほとんどしない絶妙な設定。それよりも、この個体にはLSDが装着されていないので(オプション設定アリ)、コーナー立ち上がりなどではむしろそっちのほうが少し気になるくらいでした。

…さて、ここまできて、あえてある事には触れず、試乗記を書いてきましたが、ここでようやくその事に触れておきましょう。いろんな良さを感じつつ、ボクスター…自身のポルシェ初体験でもっとも感銘を受けた点。


ブレーキです。





ポルシェのブレーキは宇宙一。ポルシェで褒められる点として、まず代表的に挙げられるブレーキの良さ。今回もちろんそれも楽しみにしていましたが、いやー、さすが。おったまげるほどにブレーキ性能は、本当に素晴らしかった。

ましてや巨大で高価なPCCBでもなく、ポルシェの中では「普通」のブレーキではありますが、これでも国産一級品のスポーツカーと比べたって、なんら劣ってはいないであろう素晴らしい一品。ボクスターよりも速い国産のクルマはいくらでもありますが、これほどまで「止まる」事にさえファンなクルマは、果たしてあるのか…

具体的に言うと、まずはその絶対的なストッピングパワーの余裕。これはボクスター、いや広くポルシェ全般的なリア寄りの重量配分を始め、ボディであったりサスペンションであったり、そもそもの素の性質も多大に影響されているのでしょうが、まぁとにかくよく効く。どんな場面でも、下りのワインディングでガンガン踏んでも、ビクともしない。常に、かっちり、きっちり、止まる。速度を落とす、のではなく、まさしく速度を「殺す」勢いでビシッと止まる。これはスポーツカーに限らずとも、運転していて絶対的な安心感と余裕をドライバーに与えてくれます。



続いては、そのコントロール性。街中での渋滞でもナーバスなところは全くなく、いたって普通。ストロークが国産車などに比べて少し長めなところだけしっかりと認識していれば、まさに踏力に対しての減速コントロールが自由自在。まるで足でそのままローターを踏みつけているような、ダイレクト感と微調整のしやすさ。ブレーキを踏んで関心したクルマはたくさんありましたが、ブレーキを踏み減速する、という行為に対して、これほど楽しさを感じられるクルマは、このボクスターが初めてです。

最後にもう1つ、ABS制御の上手さ。ドライ路面ではガツンとブレーキを踏むとキュキュっとスキール音が聞こえるくらいに、タイアの性能を100%使い切ってキチンと止めてくれ、ブレーキを残してコーナーに入る際の旋回ブレーキングでもロバスト性は完璧と言っていいほど高く、相当にアンジュレーションのキツいコンディションで、わざといじわるに強めに踏んでみても、4輪の接地性をキチンと把握して、直進性を乱す事もむやみに制動距離を伸ばす事もなく、いつも最適な減速状況を作り出してくれるこの巧みさ。この後、ワインディングを走り終え東京方面へ帰る途中、突発的なゲリラ豪雨に襲われたのですが、そんなウェットの中でもこのブレーキの安心感は全く揺らぐ事ありませんでした。

蛇足ではありますが、ポルシェのブレーキは、特に明記はされていませんが、ブレンボが採用されています。というよりも、ブレンボはポルシェと共に高性能を求め続けて、気がつけば一流ブレーキメーカーとなって、世界中の他メーカーからも採用され始めた…というのは、有名なお話です。

さて、本当に初めてのポルシェということで、その性能を実感することで、驚く事関心する事…驚きばかりでしたが、それで終わってしまっては面白くない(笑)ということで、当然もちろん気になる事無きにしもあらず、ということで、今回一緒に過ごす時間の中で、気になった点をいくつか…。



まずは、シート。抜群に良く効くシートヒーターは前回褒めましたが、長い距離を乗っていてもお尻や腰が痛くなる事もない、ドイツ車の良さをしっかりと感じさせてくれる一品…ではあるのですが、このボクスターをスポーツカーとして捉えた時に、ちょっとサポート性が全体に不足気味。特に肩付近をもう少しカッチリと支えて欲しいと感じました。



続いては、ステアリング。グリップが太めで、径も最適で、しっかりと脇の締まる「優れたドラポジに自然と誘う」いいステアリング。カチッとした革巻きの質感は○。なのですが、どうしても、このステアリング上を「横断」する、シルバーのプラスチック部分。これが運転中、どうしても手のひらに触れて気になる事が何度もありました。まぁこれは、とりわけ自動車パーツの中でもこだわってしまう「ステアリングフェチ」な自分だからこそ、の欠点なのかもしれませんが、やはりパリッとした全周1枚革巻きで仕上げて欲しいなぁ…というのが本音でありまして…。それでなくても、以前のPDK仕様になる以前の段階では、こんなデザイン性を優先した形ではなかったんですが…。



そしてステアリングの話をするなら、ついでにこれにも触れておかなければならないでしょう。素晴らしい変速を披露してくれるPDKですが、このステアリングシフトのロジックだけが、どうしても最後まで慣れる事ができませんでした。押してアップ、引いてダウン、という今までのティプトロ方式に慣れたユーザーを混乱させないようにとの配慮からこうなったそうですが…どう考えても加減速Gとは合わないし、またスイッチを押して反応してくれない(特に2段以上飛ばしシフトしたい場合の時など)事も多々。やはりこれはどう考えても、コンベンショナルなパドル方式の方が分かりやすいに決まってます。結局、ずっと、マニュアルモード時だと少し遠目になる(右ハンドルの弊害を唯一感じた部分)シフトノブで操作することとなりました。ま、MTなら…と思いきや、MTでもこの形状のステアリングになってしまうんですよね…それに右ハンドルのMTなんて、国内市場になんてどこにも見当たらない…(以下、ループ)

っと、ここで、フトある事に気がつきます。そうだ、最近確か、パドルシフト仕様のステアリングもオプション装着できるようになったんだっけ…そう思って探してみると、さっそくありました。左ダウン、右アップの、馴染みのあるパドルシフトが装着されたステアリング。



あ、見ると、このパドルシフト付のステアリング、プラスチックの横断もないし、最上部に目印の縦巻きステッチ、革のつなぎ目は下部分で、ほぼ全周革のつなぎ目のない、物凄く自分好みのステアリングではないですか…。オプション価格、74.000円ナリ。

そうだそうだ、ちょっとサポート性に不満を感じていたシートだって、ポルシェはオプションで選択が可能。ノーマルから、少しタイトな形状のスポーツレザーシートに変えれば、この不満だって解消されるはず。オプション価格、335.000円ナリ。



なんとか振り絞って考え付いた不満点は、全て「金でどうにかなる」結果となってしまいました(笑)。おそるべし、ポルシェのオプション商法。こういうことなら、足回りだってやっぱり18インチが欲しくなるし(190.000円)、乗り心地悪化分はPASMで補って(294.000円)、あっそうだ忘れてたLSDもちゃんと付けて(200.000円)、そうなるとボディやインテリアのカラーリングもこだわって…

こんな感じで自分の好みの1台を仕上げていけば、あっという間にノーマルのボクスターでも、ボクスターS…いや、しまいには911にさえ手が届きそうな値段になってしまって、はたまた全部要望詰め込んだら、注文生産で納車に1年近くかかってしまって、ようやく船で運ばれてきて、もうじき納車…と思ってきた頃にゃ、あらら次のイヤーモデルが出てきてさらにバージョンアップ…!?…理想のポルシェに出会う事、ポルシェの買い時とは実に難しい。というか、こういう事を考えてしまうのは、やはり一般的庶民の発想でありまして、ポルシェを買えるお金持ちのユーザーにはさして大きな問題でも、ないのでしょう。あぁ。(笑)



というわけで一気に現実に戻されてしまいましたが、最後にリアルなお話を。渋滞に巻き込まれ、散々ワインディングでアクセルを踏みまくって楽しんで、にも関わらず、走行終了後にガソリン満タンで燃費を計ってみると、なんと9.2km/L!渋滞とワインディング、それに高速ハイペース巡航区間がなければ、おそらく軽く10km/L台をキープしていたことでしょう。3Lクラスのミッドシップオープンスポーツカーでありながら。改めてですが、最新のPDKの制御の巧みさ、しいてはこのボクスター自体の万能さに、改めて驚き。


さて、以前、SDXさんに「ベンチマークとなるクルマはなんですか?」と質問を頂いた時に、2台、挙げさせてもらいました。

左脳的には(理屈、理論的には)、VWゴルフ。右脳的には(感情、感性的には)、マツダロードスター。そしてどうやら今回、自分は、このどちらをも凌駕し圧倒してしまう、まさに理想的基準車に、出会ってしまったのかもしれません。



「ポルシェって、いったい、どんなクルマなんだろう。」
試乗記冒頭に書いた、こんなクルマ好きなガキのフトした疑問。有難い事に色々な方のご協力があり、今回自分の身体をもって体感、体験し、その凄さと真実を、ヒシヒシと身にしみて実感した次第。20代前半の年齢では、今までたくさんのクルマを運転させて頂く機会に恵まれましたが、この日、この時に乗った、「初めてのポルシェ。真っ黒なボクスター。」との鮮烈な出会いの衝撃は、たぶん一生忘れない事と思います。と同時に、他のどんなクルマに乗っても、物足りなく感じてしまう…ポルシェ病。に、一時侵されつつありましたが、なんとか無事完治して、普通の軽でも運転の楽しさを失ってしまうような事には、なんとかならずに済みそうです(笑)。


「いつかは、ポルシェ…」。叶いそうにもない、貧乏大学生からすれば途方もない戯言ではありますが、自分の始まったばかりの自動車人生で、多大な影響を与えてもらい、また、目指すべき目標と出会えた、そんな貴重な24時間でありました。


…えっ?986初期型なら150万円くらいまで相場が下がってる?いやいや、そんな、ポルシェに手を出すなんてリスキーな…。えっ?後期型でも200万円台でゴロゴロある?987でも、300万円ちょいから良質なタマがそろってるって?…聞かないフリ聞かないフリ…(笑)
Posted at 2011/07/02 21:57:24 | コメント(4) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2011年06月19日 イイね!

New!試乗記 ポルシェ ボクスター 中編

New!試乗記 ポルシェ ボクスター 中編
さて、ボクスターの試乗記の続きです。
前編からこちら。







外から眺め、ドアを開け、シートに座り、エンジンをかける。ポジションを合わせ、一通りチェックを済ませて、いよいよ走りだす事にしましょう。

シフトノブをDレンジへ、ブレーキを離しゆっくりと動き出します。このあたりでの、人が歩くスピード程度の速度域でも、PDKの発進マナーは極めて良好。DCTにありがちな唐突さを感じる事なく、あくまでもナチュラルにスムーズな動き出しです。

ステアリングはスポーツカーらしいずっしりとした重さ。しかしただ重いだけでなく、その中から手の平に伝わってくる硬質感と、ラックとピニオンがカッチリと精密に噛み合っているのを感じ取れてしまえそうな、そんな実に濃密なステアリングフィール。間違いなく、今まで自分が体験してきた車たちの中でベスト。ほんの歩くようなスピードで、ゆっくり動き出し、歩道の段差を超えて角を曲がった瞬間、たったこれだけの領域で、ここまでやられてしまうとは。これが、ポルシェなのか。若輩者のクルマオタクはこの時点で慄くばかりであります。


さて、走り慣れない東京の街中、それも皇居付近の都心ド真ん中。それでもやはり東京は大阪に比べてマナーがいい、というか、交通戦争っぷりが全然穏やか(笑)なので、ゆっくりとしたペースで落ち着いて街中を駆けていきます。

ステアリングが重めで、着座位置がいかにもスポーツカーという低さ、という以外はこういった街中の渋滞でも扱いにくい点は全くなく、いたって実用的。見切りもよく、ハンドルもよく切れ小回りも効き(ちなみに、最小回転半径は5.2m)、幌を起こしていても斜め後方の視界は極端には悪化しません。このあたりはZ34ロードスターあたりのほうがよほど過酷です。

2.9Lボクサー6は255psと29.5kgmを発生させ、1400kgという車重に対してカタログスペックで見る限りは十分に高性能ですが、こういった街中では約3Lという排気量から想像するほどの低速トルクはなく、また燃費志向のセッティングですぐさまポンポンとシフトアップをする7速PDKの味付けとのマッチングもあり、流れの速いストップ&ゴーでは、ちょっと意識的にアクセルを開ける必要に迫られるように感じました。さらなる上を望むのであれば、3.4L直噴のボクスターSならば、こういった事も感じないでしょう。

また、エンジンサウンドも、街中領域…3000回転程度ならいたって普通の静かな実用車チックで、「ポルシェ」という名前に期待を込めていると「アレっ?」っと少し拍子抜けしてしまうかもしれません。運転しているとボクサーエンジンらしい鼓動はキチンと感じられますが、早く上までぶん回したくなるような、そんなゾクゾクさせてくるような高揚感を味わせてくるような感覚ではありません。…もっとも、この印象は後に大きくひっくり返される事になりますが、それはまた後で。笑




さて、試乗当日は実は生憎の空模様。次の日は雨の予報でもあったので、少し運転に慣れてきたところで、首都高に乗り都心を脱出する…その前に、オープンで走りだす事に。都心ド真ん中で嫌でも目立ちますが、そこはまぁ横に置いといて…

ボクスターの幌は電動開閉式。ですが最初と最後のロック部分は手動。この価格帯の他車ならフル電動ではありますが…ま、細かい事は気にせず、ロックを左手で解除して、センターコンソールのオープンボタンを長押し。開閉自体は20秒ほどですぐに完了しますが、それよりも嬉しいのは、幌車の利点である「走行中でも開閉が可能」という事。40km/h程度までならクルマが動きながらでも開け閉めできるのですが、これが実際に使ってみると想像以上に便利。完全停止を迫られず、ノロノロ運転時にサッとボタン1つで開け閉め可能なのは、最近流行りのメタルトップ車ではできない芸当です。簡易的な手動開閉式のボクスタースパイダーは、1250kgという軽量さが武器ですが、この便利さを味わってしまうと…ジェームス・メイみたいに、自分はずぶ濡れにはなりたくないと思う側の人間ですw(TGより)



さて、殺伐とした都心を脱出するべく、首都高へ。そろそろボクスターらしい走りを味わうべく、エンジンも十分に温もってきたので、ここは登り合流ポイントでマニュアルモードへシフトノブを倒し、前方が空いているのを確認、後方との位置関係にも目を配り、一気に2速へシフトダウン、アクセル全開!!先ほどまで普通すぎて拍子抜けしたエンジンフィーリングは、タコメーターでちょうどてっぺんの4000回転付近を皮切りに、いよいよ本領発揮、っと乾いた抜けるような「ポルシェサウンド」を響かせながら、アクセルに対し抜群のレスポンスで、クォォォォォォォォーン!と4000、5000、6000…、2速レッド7200回転で、速度計はすでに3桁…おっと、いけないいけない…。

いやー、しかし、なんて気持ちいいことか!屋根を開け放っている事もありますが、やはり踏んで上まで回してみると、俄然この2.9Lエンジンのスポーツユニットらしい本性が表れてきます。決してツインロケット的な、そんな強烈で爆発的な加速Gではなく、いかにも気持ちいいNAユニットらしいレスポンスと、回すにしたがって切れ味を増していくエキゾーストノート。このあたりの雰囲気と気持ち良さは、Zはまだまだ大きく敵わない…という事を改めて実感。

シフトノブをDレンジに戻しアクセルを一定に巡航モードに入ると、PDKはすぐさまポンポンとシフトアップしてトップギアの7速へ。首都高を7速ギアでクルーズしていると、エンジン回転数はわずか1500rpmほど。100km/h巡航でも2000回転に届かないというかなりのハイギアードっぷり。スピードメーターとにらめっこしていると、7速の守備範囲は67~8km/hからということで、ほとんど高速域専用ギアと言えそうです。

さて、首都高に入ってもう1つ感じた事。それは、乗り心地の良さ。…いや、ただ単にこんな簡単な言葉で片づけてしまうのは語弊があるかもしれません。とにかく、もう、抜群に、良い。乗り心地が終始快適そのもの。下手なプレミアムセダンが逃げ出すくらいの素晴らしいコンフォート性。むしろ、スポーツカーなのにこんなに乗り心地良くていいの?もう少しゴツゴツしたほうがいいんじゃない?と余計な心配をしてしまうくらい。

驚くべきは、前回も書いたように、今回のほぼ素のボクスターなので、大変定評のあるPASM(ポルシェアクティブサスペンションマネジメント。可変ダンパー)が装着されていない、コンベンショナルなサスペンションでこの出来という事。いったいPASM付ならどれほど凄いレベルなのか…。



また、乗り心地面で大きなポイントとしてあげられるのはタイアサイズ。テスト車はミシュランパイロットスポーツを履いており、サイズはF205/55R17、R235/50R17というボクスターの基本サイズ。イマドキこの程度の扁平率なら軽でも驚きませんが、このちょっとハイトの高めのタイアのおかげもあって、乗り心地面ではPASMなしでも全く問題なし。逆に言えば、18、19インチサイズのシューズを履きたい、けど乗り心地は犠牲にしたくない…という、そんなワガママな欲望を叶えてくれるのがPASMなのかもしれません。17インチは正直言って、見た目的にちょっと物足りないかなぁ…という印象でしたが、乗れば抜群のトータルバランスを見せてくれます。…でもやっぱり、最低18インチの踏ん張りは欲しいところでしょうか(苦笑)。

さて首都高から次は関越道へと抜けて、徐々にペースを上げていきます。乗り心地は、むしろ速度を上げていくほど快適になっていくような印象。終始路面に対してピタッとフラットな姿勢で、ハーシュネスの処理も完璧。フルオープン状態でもボディはがっしりとしていて直進性は抜群、矢のように進んでいきます。フロント荷重が少ないミッドシップながら、ステアリングから伝わるフロントの接地感の良さは驚異的とも言っていいほどで、アクセルを開けていき140~150km/h程度なら鼻息混じりで楽々クルージングレベル。…さすがに免許の心配もあるのでこのあたりで抑えましたが、状況が許せば200km/h巡航で数時間走りっぱなし、でもなんら問題なさそう。120km/hを超えるとニョキっと出現する、リアスポイラーもちゃんと効果が出ているんでしょう。

さすがドイツ車。いや、ポルシェ。他のメルセデスやBMWなどよりもさらに濃く、味わい深いドイツ車の世界を垣間見る事ができました。

さすがにこれくらいの速度域になってくると風の巻き込みも結構なレベルですが、法定速度+α程度なら、ディフレクターのおかげもあって、普通に会話や音楽を楽しめるレベルにあります。また、強烈に良く効いてくれるシートヒーターも、冬場のオープンエアの強い味方になってくれることと思います。



さて、1日目もそろそろ終盤…ここでまたまた最後にサプライズ。ご覧のメーターパネルの画像に注目。ここまで約100km、うち半分以上が渋滞区間で、高速に入ってからもエコランなんて全く意識せず。なのになんとメーター上では10.1km/Lの表示。躊躇せずアクセルを踏んでおきながら、3Lクラスのスポーツカーでひょいとこんな数字を眺める事ができる…おそるべし。淡々と高速ステージでエコランを続ければ、ひょっとしたら物凄い数字が…


なんて事も一瞬頭をよぎりましたが、限られた時間、せっかくのポルシェと過ごせる時間をそんな事には使いません(笑)


ここで1日目終了と同時に、文面も長くなってきたのでレポートは次の後編と続きます。次は引き続き高速ステージから、クルマ好き、スポーツカー好きには大好物、本領発揮のワインディングインプレッションへ。いやーここまでですでにこの絶賛っぷり。いったいどうなることやら…(笑)
Posted at 2011/06/19 23:48:16 | コメント(2) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2011年06月06日 イイね!

New!試乗記 ポルシェ ボクスター 前編

New!試乗記 ポルシェ ボクスター 前編しばらく時間が空いてしまいました。

昨年末から戦い続けてきた就職活動ですが、先日ようやく某社から内々定を頂く運びになりました。とりあえずはホッと一息…しているつもりなのですが、続いて卒論やらバイトに追われ、のんびり休むにはまだまだ時間がかかりそうです…(苦笑)


というわけで久々の更新は、以前告知していたポルシェボクスターの試乗記です。書きたい内容がもう多くて、いつも以上に長く…そのあたり、ご了承を…^^;





ポルシェ…。

フェルディナントポルシェ博士をルーツに始まり、数々の名スポーツカーを生み出してきた、シュトゥットガルトに本社を置くメーカー。クルマ好きならずとも必ずや1度は耳にした事のある、ポルシェという名の響き…。


クルマを愛する者として、その名を意識しなかった事はありません。しかしながら、それは憧れであり、手に入れるクルマという概念は持ち合わせていませんでした。ただ、散々クルマ雑誌を読みふけっていたクルマオタクが実際に免許を取り、ドライビングの世界を覗き始め、国内外いろいろなクルマを体験していくうちに、このポルシェというメーカーが放つクルマたちが、なぜ、これほどまで強烈に支持され続けるのか…その疑問を、常に抱き続けていました。

雑誌での試乗文面や、今は亡きベストモータリングで見る国産勢とは格の違う走りのレベル。キャスター勢の驚嘆。確か92年の号、冒頭で徳さんが930の前で語り始め、その後は964カレラRSやガンさん928(オートマ)を交えてのバトル、清水さんのポルシェ解説なんかもあったなぁ…今でもすぐ思い出せるくらい、それだけ鮮明に記憶に残っているあのポルシェの残像…

さて、前置きが長くなりましたが、そんな憧れであり、どんなもんなのかと妄想し、いつか乗りたくて乗りたくて仕方のなかったポルシェに、今回幸運にも22歳にして、たっぷりと乗る機会に巡り合う事ができました。

987型ポルシェボクスター。ポルシェのラインナップの中では、廉価版(!?)と言いつつも、だからといってポルシェ濃度が薄い…という事は、世界中の評判を見る限り、全くなさそうです。ポルシェとはなんたるものか!を味わう事に、全く不足はありません。それに、個人的にも、911よりボクスターのほうが好き…(笑)



というわけで今回のテスト車をご紹介。ソリッドブラックの標準仕様ボクスター。前後にLEDライトが施される2010年モデル。唯一の「非」直噴の2.9Lに、7速PDKの組み合わせ。右ハンドル。「2速発進が基本で、実質的に4速ATと変わりない」と言われていた5速ティプトロではなく、幸運にも最新の7速PDKでボクスターを味わえる事となりました。

またオプションとして、キセノンヘッドライトやシートヒーター、フロアマット、ウィンドディフレクターなどが装着されていました。もっとも、「オプション詐欺」で有名なポルシェ。素の状態での装備の貧弱さについては、知らない人ならビックリするはず。今回のテスト車両は、最低限の必要とされるであろうオプションを装着した、日本に輸入されている割り当て生産枠の基本的な仕様と見ていいでしょう。逆にこの基本4点セットを装備せず、わざわざ何にもついてないモデルを本国オーダーする人なんていないのでは…。ちなみに、この4点で約35万円。他に触手が伸びるようであれば、さらなるエクストラを要求されることに…いやぁ、さすがポルシェ。(笑)

ちなみにですが、ポルシェはMT=左ハンドルという時代遅れの定説がいまだ根強く、国内市場で右ハンドル+MTの組み合わせは、そうそうお目にかかる事ができません。例えば中古車情報でも、右ハンドル+MTという組み合わせで検索すれば、全国規模でも数台しか出てこないという、そんな状態。



さてさて、ポルシェ事情を話したところで、今回一緒に過ごす事を許されたボクスターへと話は移っていきます。まず第一印象は、ブラックのボディカラーとも相まって、思っていたよりグッと引き締まってコンパクトに感じた事。ボクスター(986)がデビューしたのは96年ですからもう15年前。その時に周りのクルマに比べてとても大きい印象を持っていましたが、よくよく考えればマツダのロードスターだって、まだ初代NAを新車で買えた時代でしたから、周りのクルマが相対的に随分と大きくなったのも影響しているのかもしれません。987で前後デザインが大きく変わり、そして09年のマイナーチェンジで前後には流行のLEDテールを採用。基本的なプロポーションは15年前と大きく変わっていませんが、古臭さなどは全く感じません。

さて、ドアを開けて室内に乗り込みましょう。低い位置にあるドアノブは斜め上に引き上げるような形で引く事ができ、キチンと開閉のし易さを考えられた設計。ドアはドイツ車らしいずっしりとした重さ。そしてシートに座り、重いドアが「ガシッ」と歯切れのいい音を立てて閉まる、その瞬間ですでにもう、ボディの堅牢さをヒシヒシと感じる事ができます。



インテリアの質感は、価格を考えれば並。安っぽい部分もないですが、価格相応という感じもしません。まぁもっとも、ポルシェにインテリアの豪華さなんて自分は求めませんが、高級車だと思ってポルシェをポンと買うようなセレブの方は、大人しくアウディあたりを買うほうがよさそうです。個人的には、シンプルですっきりとまとまっており、各スイッチの場所もすぐに認識できる分かりやすさは、運転環境に最適で大変好印象でした。

09年のマイナーチェンジで、クラリオン製のHDDカーナビが標準で装着されるのは嬉しいポイント。やはりナビの使い勝手は日本製が一番だと改めて認識。モニターの位置がやや低めではありますが、実際にはさほど不便には感じませんでした。助手席の前の細長いフタをポチッと押すと、中からカップホルダーがニョキっと2つ出現。ポケット類も色々と用意されており、実用性は十分。

また実用性と言えば、ラゲッジ容量についても言っておかなければなりません。ボクスターはMRなので、前後にトランクスペースがあります。エンジン後ろのリア側はもちろんの事、意外に便利かつかなり広いのがフロントのラゲッジスペース。今ではスペアタイアもレスとなり、深さ・形状ともにかなりのもの。大きいものをドカンと!とはいきませんが、前後合わせればかなりの量の荷物を積む事ができます。



シートは前後と高さ調整は手動で、リクライニングのみ電動。調整量の大きさはステアリングのチルト・テレスコとも相まってさすが!ステアリングに合わせるとペダルが窮屈で、ペダルに合わせると…なんて事もなく、すぐさまベストポジションをバッチリと決める事ができました。 ステアが近めなポジションが好みな自分は、大抵テレスコ装着車だと一番手前の位置まで引っ張ってくるのですが、ボクスターの場合自分のベストの位置よりもさらに手前にまだ調整幅の余裕がありました。

さて、色々と見回ったところで、エンジンをかけましょう。セルが回ってドルンとボクサーエンジンらしいサウンドが後ろから聞こえてきます。エンジンが温もる前までは、若干背中に「振動」ではなく「横揺れ」の波動が伝わってきますが、しばらく暖気をするとそれも落ち着いてきます。目の前にはセンターにタコメーター、そして左側のスピードメーターは数字が50km/hごとなので、日本の公道の法定速度内ではほとんど役に立たない(笑)ので、タコメーター内のインフォメーションモニターに速度をデジタル表示に。実にカチッとした感触のシフトセレクターを動かしてDレンジをセレクトし、ゆっくりと走りだします…



と、随分と長くなってきたので、この続きは後篇にて…。
ポルシェとはなんたるか。その実力の高さと凄さを、動き始めて、まさに数m、1つ段差を乗り越えた瞬間から、まざまざと実感し始めます…。





Posted at 2011/06/06 23:15:35 | コメント(1) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記

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