2020年01月30日
貴金属相場の異常事態~プラチナよりも金の方が高価格
男性の多くはあるいはご存じないかもしれませんが・・・
金の価格高騰がここ最近はずっと定着しており、値下がり傾向が続くプラチナと価格逆転が起きています。
金とプラチナ・・・・
いずれも代表的な貴金属であり、目にする機会が多いのは何といってもジュエリーでしょう。
男性もあるいは結婚指輪などでそれらでできた宝飾品を持っているかもしれません。
何が異常事態なのか?というと、価格が金>プラチナなのがずっと続いているんです。
は?何が異常事態なの?
と言われますと、一言でいえば希少性は圧倒的な差があり、地上に掘り出された量は金>>プラチナであり、その点希少性はプラチナの方がずっと上になります。
よく聞く例えで言えば、人類が掘り出したプラチナは全部集めても1辺が9mの立方体(約5万tらしい)に過ぎないが、金はオリンピック公式プール3.8杯分(量は約18万t)とのことです。
埋蔵量を勘案しても、金の方がずっと多く存在します。ですから希少性はプラチナの方がずっと高くなります。
それなのに金の方が高い・・・・
その理由はいくつかありますが、まず金が人気なのは
・金融資産として世界で認知されている(世が乱れると人気が上がる)
・購買力が高い中国人に特に人気がある
などがあります。
一方でプラチナが振るわないのは・・・
・銀色で金に比べ地味なため、最近ジュエリー業界では脱プラチナが進んでいる(脱プラチナには他にも理由があるのですが)
・実はプラチナの主用途は工業用途であり、その工業用途が冷え込んでいる
などがあります。
プラチナを使うジュエリーが少なくなった背景にはプラチナ価格が過去に乱高下したことがあり、ジュエリー業界がそうした不安定な価格を嫌った側面があります。
また、工業用途が減ったのは・・・・ズバリ言ってフォルクスワーゲンのせいです(断言)
少し補足しますね。
フォルクスワーゲン・・・・
ドイツ発の世界最大の自動車会社ですが、まだ記憶に新しいこととして、ディーゼルエンジンの排ガス制御の虚偽が発覚し、それまで欧州で次世代の環境対策エンジンとしてがぜん脚光を浴びていたディーゼルエンジンの需要が急速にしぼんでしまい、ディーゼル車が一気に不人気となりました。このディーゼルエンジンの排ガス浄化に重要なのが触媒としてのプラチナなのです(2015年ころはプラチナ需要の40%くらいは自動車用途)。1台当たり4gとか10gとか言った量を使うとされます。排ガス浄化作用を高めると余計に使うイメージです。しかし肝心のディーゼルエンジン車が下火なのでプラチナの工業需要はなかなか好転しません(だから価格も低迷)。
こんな状況ですと、ジュエリー業界での需要が高まらないと価格低迷が解消できそうもありませんね。しかし前述の通りジュエリー業界では脱プラチナが進んでいますので、相応の理由がないことには需要が盛り上がらないでしょう。
以上が一般的に言われている貴金属相場の異常事態なのですが、自分的な考察としていくつか追加します。
ジュエリー業界で脱プラチナが進んでいる、と言いましたが、じゃいったい何に代わっているの?と気になりますね?(え?気にならない??)
ご存知の通りプラチナは銀色の金属で、一方の金は名前の通り金色をしています。なのでプラチナの代替=金とシンプルには行きません。この色にももちろん好みがあり、大まかな傾向として金色を好むユーザーと銀色を好むユーザーがいます。このうち銀色を好むユーザーが過去ならプラチナジュエリーを選んでいたわけですが、脱プラチナ傾向で銀色のジュエリーはいわゆるホワイトゴールドに流れています。ホワイトゴールドって日本語にすると白い金=白金ってプラチナの和名?と勘違いされることもありますが、ホワイトゴールドというのは金と銀などの合金で銀色になるよう配合したものです。
本来は価格がプラチナ>金だったわけですので、ホワイトゴールドというのはそもそもはプラチナの廉価版代替ジュエリー素材です。しかし現在金価格の方が高いため、ここで異常事態が起きています。
最近の貴金属相場からしますと、大まかな価格として1g当たりの価格は金:プラチナ:銀がだいたい6000円:4000円:70円といったところです。
一般的なジュエリーではプラチナならば900とか950とかが多いですかね~、それぞれ90%、95%プラチナという意味ですね。
一方のホワイトゴールドは14Kや18Kなどと表記されていますが、それぞれ14/24=58%、18/24=67%含有といったイメージです。含有率や希少性の観点からもプラチナの方がより上位の位置づけであったと言えるでしょう。
しかし価格は・・・・14Kホワイトゴールドは金価格からしたら6000円×14/24=3500円、18Kは4000円となり、プラチナ900の4000円×0.9=3600円、950の4000円×0.95=3800円と比べ、むしろ代替品であるホワイトゴールドの高さが目立ちます。こうなるといいかげんプラチナ需要高まらないのか?と思っちゃいます。
また、実はプラチナの方が密度が高く(プラチナは21.5g/㎝3くらい、一方の金は19.3g/㎝3くらい)、いわゆるずっしり感はプラチナジュエリーの方ががぜん高いのです。エンゲージリングでプラチナが好まれるのはこの辺もあるのでしょう。
次の問題がこのずっしり感です。
資産運営の一環で金塊を売り買いすることが結構あります。
金塊は通常99.99%の純金のバーになりますが、表面に発行元の刻印などを打って真正品である事を保証したりします。
しかし必ずしも刻印で保証できない場合は重さや色合いで真偽を見分けることになります。
前述の通り金の密度は19.3g/㎝3ですので、密度が19.3gが確保できればほぼそのまま金として認識されます。これはこんな高密度の金属はほとんどないからです。
さて、密度としてはプラチナの方が高いのは前述の通りです。
さて、悪だくみ思いつきましたか????
以下の方法はどうでしょう?
プラチナをだいたい80%くらいと銀を20%ぐらいを混ぜると19.3gの密度を持つ金属になります。
しかしこの合金は銀色をしていますから、表面に分厚い純金のメッキや薄板を張ると、金色をした密度19.3gの金属の塊ができます。
この金属塊、色は表面に金を張れば金色ですし、重さはしっかり密度が合います。しかしこの偽金塊、製造コストはだいたい本物の金塊の約半分でできます。
さぁ、これは大問題ですよ?
どこかの犯罪組織が大規模にやればプラチナと銀から金を作れるのです。しかもすぐに価値を倍にできます。これはプラチナ価格が安いが故です。こう言った犯罪ってホントに起きていないのかなぁ…
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Posted at
2020/01/30 17:39:45
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