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2024年03月20日

世界初の自動巻きクロノグラフってどれ?〜ワタシ的な結論

世界初の自動巻きクロノグラフってどれ?〜ワタシ的な結論 まず言っておきます、色々言っても世界初の自動巻きクロノグラフは画像のSEIKO スピードタイマーで正しいと思います。

ですが世間的には“世界初自動巻きクロノグラフ”というのは3つほど候補があり、

○ZENITH(MOVADO)社 EL PRIMERO (Cal.3019PHC)
○HEUER/BREITLING/HAMILTON連合のCal.11
○SEIKO社 スピードタイマー (Cal.6139)

がその候補たちです。それぞれに言い分があるのですが、実際の流れは大まか後述になります。これらが起きたのは今から55年前の1969年であり、この年は腕時計にとってまさにイベント満載な一年だったのだろうと今になれば感じずに居れません。

1969年1月
ZENITH/MOVADOが突然EL PRIMEROの開発(試作)に成功と発表し、自動巻きクロノグラフ一番乗りを宣言
同年3月
HEUER/BREITLING/HAMILTON連合が自動巻きクロノグラフ開発成功と発表
同年4月
HEUER/BREITLING/HAMILTON連合の3社がバーゼル見本市にて自動巻きクロノグラフの展示
同年5月
SEIKOがひっそりとスピードタイマー発売!
同年夏あたり
HEUER/BREITLING/HAMILTONの3社、自動巻きクロノグラフ発売!
同年10月
ZENITH/MOVADOからEL PRIMERO搭載の自動巻きクロノグラフ発売!

こうして見ると・・・・

・世界初自動巻きクロノグラフ開発成功(公表)はZENITH/MOVADOである
・世界初自動巻きクロノグラフ発売はSEIKOである

この2点は間違いない事実と思います。
ここになぜHEUER/BREITLING/HAMILTON連合が世界初の候補に入ってくるのか?がここがちょっとややこしいところです。自分なりに考察を加えますと・・・

HEUER/BREITLING/HAMILTON連合は実は前年の1968年終盤には開発に成功していて、毎年4月に行われるバーゼル見本市に照準を合わせていたため、発表が3月に組まれていたのをZENITH/MOVADOに出し抜かれた(だから発表しなかっただけの3社連合が事実上世界初だ!)
またZENITH/MOVADOの発売に先んじて発売できたのだからこっちが先、だから事実上世界初は3社連合の方だ・・・・・

みたいなノリかなと。

なんかおかしくないですか?
そう、ここは敢えてSEIKOを無視しない限り3社連合は世界初を名乗る資格がないはずなんですね。
ここで当時の時代背景が大きく影響していると思います。

1969年ってSEIKOが大躍進した年なんですね。
これに先立つ1968年には当時時計業界では絶大な権威を誇る天文台コンクールにおいてSEIKOは上位に数多く入賞を果たし、多くのスイス陣営がプライドを大きく傷つけられたわけです。
しかもここで天文台コンクールはこのままじゃヤバい、と思ったからか何と事もあろうに競技そのものをやめちゃいました(おいおい)(注:厳密には1967年がニューシャテルコンクール最終年で、1968年はジュネーブ天文台コンクールと称しました。たしかこの時から順位付けはやめて入賞を横並びで提示した)。
これは東洋の2等国(と認識していた)日本製の時計から自分たちの権威を守るためなりふり構わず仕掛けたってわけですね。なんか欧州連中ってこんなんばっかり(勝てなくなったからってスキー板のルール変えてきたジャンプ競技みたい)。

そんなことがあった1968年の翌年である1969年は年初めから上記のような自動巻きクロノグラフ一番乗り競争が繰り広げられたわけです。
この中で3社連合にしたらZENITH/MOVADOに破れたのみならず、東洋の2等国である日本のSEIKOにも破れたとあっちゃプライドもクソもありません。なので何とか世界初の称号に引っ掛かるように前述のような論理を汲み上げ、SEIKO無視の姿勢を決め込んだ、としか思えません・・・・(実際SEIKOは自身が世界初って意識がなく、廉価な時計として発売していたから本気でスイス勢は発売を知らなかったのかもしれません)。

と色々な思惑の結果、まぁSEIKOが一番乗り、となった世界初自動巻きクロノグラフ競争で腕時計業界は安定、にはなりませんでした。
そう、1969年12月にスイス陣営を地獄に叩き落とす大事件、クォーツショックがまたもSEIKOから投げつけられるわけです・・・・

話を自動巻きクロノグラフに戻します。

最初に述べた世界初の3つの候補ですが、それぞれで結構開発経緯に違いがあるし、機能にも違いがあります。
ここで自分が重視するのは発売された時の状態(ほぼ試作時の機能と変わらずと思っていい)です。
3社連合のCal.11は永久秒針なしのセンタークロノ秒針、2眼クロノ(30分、12時間積算計付き)
SEIKOのスポーツタイマーは永久秒針なしの1眼(センターがクロノ秒針、6時位置に30分積算計)
EL PRIMEROは永久秒針付きセンタークロノ秒針、30分計、12時間計の3眼
なんですね。

そう、ZENITH/MOVADOのEL PRIMEROは現代のものとほぼ同じなんです。
これはすごいことじゃないですか!

これらの世界初♪な自動巻きクロノグラフたちですが、その後の顛末もまさに三者三様です。
SEIKOはせっかくの世界初の栄冠を得たものの、その後1969年末に発売したクォーツ時計を主軸にした戦略でスイス勢を駆逐した一方で自身の機械式時計もどんどん切り捨て、機械式クロノグラフ(Cal.6139)は事実上廃嫡処分でその後歴史は途絶えます。
3社連合のCal.11はそのままの進歩はなされず、一部の機構を他機種に流用することで生き残り、のちに名機バルジュー7750に繋がり、ある意味世界を制することになります。
最後のEL PRIMEROは世界初の栄冠を提げその後も成熟を進め、いまだに多くのファンを取り込み名機の名前を欲しいままにしています。

自分自身はその後の発展も含めて考えれば、世界初の栄冠はZENITH/MOVADOのEL PRIMEROであろうと考えています・・・・






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Posted at 2024/03/20 10:52:23

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この記事へのコメント

2024年3月20日 13:26
こんにちは、毎回の博識、読んでいて楽しいです。ヨーロッパ勢の嫌がらせは、自動車業界、モータースポーツ界ではより顕著ですね。
近年だど、トヨタ率いるジャパンストロング式ハイブリッドに対抗してダウンサイジングターボを出しても、そもそも軽自動車ターボというキチガイマシンが跋扈する日本メーカーには太刀打ち出来ず、超クリーンディーゼルを出したところで、実際にはガチの不正をしなければ自分たちの設定したユーロ6をクリアできず、まともにクリアしたのはマツダスカイアクティブDだけ。
そこで、EVじゃあ!って、今度は安価でそれなりに性能がよい、EV先進国チャイニーズEVが猛威を振るい、さらに電気たんねーじゃん…。
今ここ。って感じです。
また、昨年のルマンでは、復活のポルシェをどうしても勝たせたくて、突然のトヨタとフェラーリに謎のバラスト調整、ただ結果としてはトヨタとフェラーリが素晴らしいレースをして、フェラーリが勝ちましたが、両チームのマシンを数週間奪いネチネチと車両の粗探しするなど気持ち悪い事をしていました。
また、motoGPでは、ドゥガティ、KTMのみにコロナ禍での開発を許し、ホンダやヤマハには開発させませんでした。また、個人的には、特にドゥガティチームは、メカニズム的に何らかの優遇されていると思います。そうじゃなきゃあんなにタイム差が出るのが、テクニカルレギュレーション的におかしな話になります。
コメントへの返答
2024年3月20日 19:58
恐れ入ります・・・・
実のところ自分の知識は断片的な知識が切れ切れになっていて、こうしてまとまった書き物に仕上げる際に繋ぎ目の曖昧な部分を再度調査し、前後の流れを整えて組み上げていまして、書いている方も知識整理になりますから、集めておいた知識の総まとめとしてたまに書いています。なので実は普段から色々情報を貯めているのですよ。。。
今回の趣旨をしっかり読み取っていただいてありがたいです♪
時計の世界はかなりの欧州それもスイス偏重が強く、さらに言えば日本への恨み節を強く感じます。ま、SEIKOのクォーツショックへの積年の恨みなんですかね。それ以前の時代でも今回話題にしたようなマイルール強要の時代があり、これはもう旧時代の名残と言ってもいいのかもしれません(時計のみならずスポーツ全般でも)。また挙げていただいたようなクルマの世界も相変わらずで、今の時代でさえトヨタのハイブリッドへの嫌がらせを仕掛けて中国のEVに席捲された挙句、そのEVでも主導権を失うとは何とも・・・・。しかしそうして失敗する過程で便利に使おうとして育てた環境保護団体が今度は制御できなくなって暴れ回ったり、ちょっと前には捕鯨問題だっておかしなことになって妙な揉め事が新たに生じたり・・・。
やはり歴史的に支配層の旨みを今でも忘れられないんですかねぇ・・・
2024年3月21日 4:54
皆さん何かに着けて一番を主張されたい(*´з`)

流石拘り派♪
ルーツにもお詳しいのですね~(*´艸`*)
自分は史実に歴史、メチャ苦手です(^_^;)
何かに付けて数値を持ち出すものの〜歴史や年号・アカーイブにメチャ弱い使徒です(´ε` )アンキデキンw
クロノグラフ、卓上や手巻きでは先行してあったので〜腕時計でも得意の二段式(機構と動力分け)をすれば即叶いそうに思うねはその時代に先人が努力して今現在完成されたモデルがあり、そして自分が技術者でもなく、設計の苦悩を理解出来てない人間の発想実際はただ単に出来合いの製品なスケール縮小で落とし込めば済む訳ではなく〜小ささ故に素人には想像も付かない苦労があったことは傍からも想像に容易く、先人の弛まない努力と苦労に感謝感激雨あられで二木の菓子。

あ~もう一本、贅沢を言わないからもう一本だけで良いのでクロノグラフの黒フェイスが欲しいです(*´艸`*)
コメントへの返答
2024年3月22日 10:44
今回の記事を書くにあたり、下調べでいろんな立場の方の文章や動画を拝見しました。自分はご存知の通りZenith推しですので、Zenith主体で起草していますが、ブライトリング(ヴィーナス→バルジュー)推しの方はまた違った書き方をされます。まぁ、皆が好きな子を推す、ってのはとけも坂道女子団も変わらんのですね(笑)
最近は機械式時計も本当に高くなり、生産性を追求したETA7750搭載機でさえすぐ100万の声が聞こえる時代になりました・・・。正直自分はもう新しい時計には興味が湧かない(というか財布が許さない)ので、これまで以上に古い時計を漁ることになりますので、いろいろな歴史を紐解きつつ、自分の趣向を究めていくことになりそうです(←っとしれっともう時計は買わない発言を無かったことにしようとしている)。
ただ・・・
これからはさらにMAKOTOさん好みの時計が出にくくなりそうですなぁ(セリタさんがんばれ〜)。

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