カルロス・ゴーンの悲劇

本日現在、カルロス・ゴーン氏はまだ拘留されたままとなっております。
横領したことをうかがわせる事実も出てきており、立派なサラリーマン社長だと尊敬していた私はいささかショックです。そして、本国フランスのルノーでもCEO職を交代せざるを得ないと判断しているとなると、ご本人の行動が、訴えどおりでなかったとしても失脚ということになってしまいそうです。

ただのパフォーマンスでしょうが、従業員の前で重要な発表をする時には、日本語でプレゼンをするというところが、変わった外国人経営者というか日本・日産を立ててくれているんだなと感じさせるところでした。
それも、設計・開発の場でなく、多くの従業員がいる工場でやるところが、製造業の労働者をぐっとひきつけ、カリスマ性を築くことができた理由になるかと思います。ま、閉鎖した工場には来たことないんですけど。

ゴーン社長は初め、故人の塙CEOの元でCOOとして日産に入ったのだと記憶しています。初めて新車発表の場に出てきたのは初代・ブルーバードシルフィの時でした。この車にゴーンさんはまったく意見してはいなかった。実はもう車として完成していたので、入る余地は無かったのですが、それでも発表会に出て車の横に立ってニコニコしながら「イイクルマデスヨー」なんていっていたと思います。実際ＮＩＳＳＡＮの車が好きで、来たばかりの頃は社用車に乗っていてもプライベートではE34GT-Rなんぞ乗っていたそうです。それをいうなら、フォードからMAZDAに来ていた2人目の若社長もRX-7で通勤していたとか。

また、ゴーン氏は日産でする仕事のほうが好きだったようです。本家ルノーは国が多くの株を握っており自由が利かず、技術もそう高くは無い。しかし、日産はZを復活させろといえば復活させられるし、GT-Rを作れといえば作ってくれる。そして、パイオニアになりたかったEVでもリーフを作らせることができた。
そして、三菱に手を差し伸べることで、数的には世界１～２位のアライアンスを組むことができました。ブランド展開もうまく、新興国でDATSUN、ロシアでアウトヴァズを押したりしていました。そのロシアで作っていた車が、外見は2代目ブルーバードシルフィなんですけど、内装がマーチという不思議な車でした。

ま、頂点までもう一歩だったわけです。給料が高すぎるという批判もありますが、その世界１，２位の自動車メーカーの中に日本のメーカーを入れてくれたことを考えると、うまくアピール・説明責任を果たせば責められなかったのかも。

ゴーン社長が逮捕されたとき、乗ってきた飛行機にはN１５５ANと番号が振られていて、数字を形の似たアルファベットにするとＮＩＳＳＡＮになります。本当にＮＩＳＳＡＮが好きだった、かもしれないのに残念な出来事でありました。