台風22号が近づきつつある中,風雨がひどくならないうちにと,土曜は山梨の秘境に出かけてきました.
秘境というととんでもなく山奥にあるのかと思うと,さにあらず.
市街地から意外と近くにも秘境はあるものですね.
山梨県早川町の町役場から南へ,クルマで10分ほど走ったところに,今回の目的地,赤沢宿はあります.
「宿」とある通り,かつては身延山から七面山への参詣ルートのちょうど中間に位置するために,宿場として栄えていたのだそうですが,交通機関の発達により参詣ルートからも外れ,今では30戸ほどの民家がひっそりと佇んでいます.
そんな,紅葉の気配が迫りつつある赤沢宿に出かけてきました.
富士五湖から身延方面に向かう国道300号線が身延道(国道52号線)に出会う上沢の交差点を,さらに直進(県道37号線)し,山の中に入って来たなと思い始めたところで,早川町役場手前のトンネルを抜けたら直ぐに左折,細い山道を上ってゆきます.
ほとんどクルマの往来はありませんが,すれ違いが困難な山道なので,コーナー手前では充分に減速しましょう.
土曜は,台風の影響かところどころに落石も見られたので,一層注意が必要です.
しかし,要所要所に離合場所が設けられているので,慎重に進めばどなたでも問題なく通行できると思います.
ところどころにある,風情のある祠や小さな滝が良いアクセントになりますが,くれぐれもよそ見運転は控えましょう.
道の脇に苔むした石垣が見え始めたら,赤沢宿に到着です.
観光地にありがちな案内図は,車道沿いには見当たらないので,とにかく駐車場にクルマを停め,徒歩で集落内を見て回ることをお勧めします.
そもそも道が狭くて,クルマでの行き来は困難です.
今回は,集落の北にある妙福寺裏の駐車場を利用しましたが,他にも数か所の駐車場があるようなので,そこを探せば良いでしょう.
山腹にひな壇状に家が立ち並んでいますが,そのひな壇の高低差はハンパありません.
上下の家々の連絡のために,これまた良い風情の石畳の小径が通っていますが,雨に濡れた状態では滑りそうで,一歩一歩を慎重に運ばざるを得ませんでした.
でも,あまりにも急な箇所には石段も整備されているので,何とかなるでしょう(笑
急坂にへばり付くように身を寄せ合って立ち並ぶ家々を見ると,先人たちの執念を思い知らせらます.
急坂ゆえ,集落内にも石垣は必須です.
この石垣も場所によって様々な表情を見せてくれます.
見ていて飽きることがありませんね.
執念だけでは,これだけの構造物を作るのは不可能でしょう.
現代にも通じる高度な技術力が,ここにはあります.
江戸時代から明治にかけてのピーク時には,年間30万人にも及ぶ参詣客が訪問したそうで,集落内にはいくつもの宿屋が見られます.
講と呼ばれるグループで定期的に参詣していたので,需要は途切れることがなかったのでしょう.
ただ,今でも経営を続けているのは一軒のみ.
聞いたところでは,そこに宿泊されるお客さんも外国の方がほとんどなのだとか.
他の観光地との違いは,一軒だけの宿屋にとどまりません.
集落内には,お蕎麦屋さんが一軒と休憩所が一軒のみ.
しかし,この種のお店が無くとも,じっくりと散策するだけで,わざわざ訪問する価値はあります.
今回も,石垣見たり,立ち並ぶ家々を眺めるだけで,雨の中2時間以上も彷徨ってしまいました.
これで天気が良ければ,どうなっていたのでしょう(笑
さすがに急坂を行ったり戻ったりしていると疲れが見え始めるので,我々も一服です.
いかにも古民家という風情の屋内には,お約束の急な階段.
階上では,何やら奇怪な生物がお出迎え.
大き目の庇のおかげで,降る雨も気にならず.
七面山参詣客の気分を満喫しました.
お店の方に用意いただいた炬燵で,ここでものんびりまったりと過ごしました.
具だくさんの焼き餅も,ご馳走様!
さらに紅葉が進んだ時期や桜の季節に再訪したいものです.
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Posted at
2017/10/29 21:18:25