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龍聖のブログ一覧

2008年08月29日 イイね!

エルディア聖灼伝 14

  第3章   キャプテン・ハロルド 4


惑星ナンカーンでは陸戦隊から選出したメンバーで調査をしていたが、

「どうやらこちらは空振りのようだったな。」

アルフレッド・オパール大佐以下選抜メンバーが様々な調査の結果、この惑星に
宇宙海賊は存在しないという結果が出ていた。

「よし、第5艦隊に帰るぞ。」
「お~!」

こうして空振りだったナンカーン調査隊は帰宅の準備に入っていた。

「ふふふ、ここか帝国軍の偵察隊がいるのは?」
「はい、間違いありません、ボズ。」
「いっちょ、えらそうな帝国の奴らを懲らしめてやろうか。」

オパール大佐達のいるホテルを謎の集団が取り囲んでいた。

「よし、突入じゃ!」

謎の集団がホテルに乗り込む。

「何か下が騒がしくないか?」
「はぁ、ちょっと見てきます。」
「ああ、頼むわ。」

陸戦隊の1人が騒がしくなった下の様子を見にいこうとした途端、

スガガガガガガ…

「うわぁ~~~」

まっ先にその1人が撃たれる。

「この音は、銃の音じゃねぇか?」
「くそっ、全員戦闘準備だ!」

オパール大佐達は謎の集団に取り囲まれ襲撃を受けていた。


一方、惑星メルカドにいた空戦隊にいる調査隊も同様に襲撃を受けていた。

「一体、どういう事だ?!」
「どうやら調査のどこかで海賊達にバレたんだろうな、くそっ。」

そう、調査の段階ですでに宇宙海賊らにバレていたのだった。

「キャプテン、ヤツらをうまく包囲しました。」
「俺達を調べようったぁいい度胸だ、その報いをさせろ!」

ハロルド率いる宇宙海賊の襲撃に焦りを隠せないバリッシュビー少佐達であるが、
このままやられっぱなしでいる訳がなく形勢不利を覆すべく反撃に転ずる。

「階段下に手りゅう弾をかませ!」

追っ手の増加を抑えるために階段前の海賊を倒したあと、手りゅう弾をかます。

「よし、非常階段に回れ!」
「はいっ!」

裏手の非常階段に向かった一行だったが、当然ここにも海賊の手が回っていた。

「少佐、下は海賊達でいっぱいです。」
「くっ、とりあえず上だ!」

追っ手を叩きながらやむなく上へ上へと逃げるバリッシュビー少佐達。
そして、とうとう屋上まで来てしまった。

「おい、残ったメンバーは何人だ?」
「はい、あと4人で…うっ。」
「…少佐、あと3人になりました。」

その報告をしたのはハラピー中尉だった。

「私とポイナー・ハラピー両中尉の計3人か…。」

バリッシュビーもさすがにこの状況での逆転劇を演じるのは困難だと感じていた。

「いささか認識が甘かったようだ、すまんな2人とも。」
「いえ、仕方ありませんよ。」
「うっうぅ~。」。+゚(゚´Д`゚)゚+。

ポイナー中尉はここまでの命と感じ、泣きまくっていた。

(母上の亡くなった星で死ぬのならそれも何かの縁か…)

「いましたぜ、兄貴」
「よし、帝国の奴ら、よくも俺らをこそこそ嗅ぎまわってくれたな。
 それ相応の報いを受けてもらうぜ。」

追ってきた海賊らが一斉に銃を構える。

「みんな、さようなら…。」


覚悟を決めたハラピーであった。
















「まだよ~!」

空から3機こちらに向かって飛んできた。

「間に合ったかな。」
「おっまたせ~。」
「反撃デス。」

やってきたのは、なんとシェーンハイトであった。

「まさか?!」

そう思うハラピーら3人であった。

「包囲してる海賊達をせん滅するわよ、みんな。」
「ラジャー」
「はいな。」

一瞬の出来事で固まっている海賊達に攻撃をかます3機のシェーンハイト。

「くっそ~、一旦後退だ。」

そう言って建物に戻る海賊達。

「今よ!」

シャローラの号令と共に、ハラピーら3人を速攻で救いあげる。

「よし、一気に戦線離脱よ。」
「はいっ!」X2

そう言って3人を救出するとそそくさとその場を逃げるのであった。

「待機しているキャプテンに連絡しろ!」

現場担当の海賊隊の隊長がハロルドに現状を報告する。

「あとは追わなくてよい。」

ハロルドの指示は、「追撃の必要なし」であった。

「なぜです、キャプテン?」

幹部の1人が理由を聞くが、

「大丈夫だ、もう帝国の奴らはここには来んよ。」

そう言うと、部下に撤退命令を下す。



「宇宙海賊の親玉を捕獲しただと!?」
「はい、ナンカーンにいる陸戦隊のメンバーから捕獲した1人がキャプテンハロルドと確認されたからです。」

ナンカーンにいた陸戦隊のメンバーもメルカド同様海賊達が帝国軍にいたホテルを包囲し攻撃をかけたが、相手が悪かった。

「むしゃくしゃしてたんだ、こいつらで憂さ晴らしだ、野郎ども!」
「おぅ!

一介の海賊と戦い慣れてる軍人との差がモロに出てしまい、包囲したはずの海賊達の方が逆に反撃を喰らっていた。

そして生き残りの中にハロルドという人物を見つけ捕獲した訳だった。

「そいつは、搬送途中に自殺しました。」

しかし、その男は隠し持っていた毒で服毒自殺を図って自決したのだった。

「そうか…。これで一応解決という事になるな。」

第5艦隊司令ホラード・ギルゼナッハ中将もこれ以上の調査をする必要はないと判断し、その旨で帝国本土に一連の結果報告を行い今回の件は終了としたのだった。




「キャプテン・ハロルド、帝国艦隊が撤収していきます。」
「そうか。」

去っていく帝国艦隊を遠目で見守る本物のハロルド。

(達者でな、ハラピー)

心の中でそうつぶやくハロルドであった。




「今回は助かりました。」

救出してくれたシェーンハイトの仲間たちにお礼を告げるハラピー。

「もう、心配したわよ。」
「無事でよかったわ。」
「ぐすぐす…よかった。」

(みんな、ありがとう)

感謝の気持ちでいっぱいのハラピーは、心から仲間の行為をうれしく思うのであった。


「今回は殉職者も多かったが、皆御苦労であった。」

ホラード・ギルゼナッハ中将が調査団の残存メンバーにねぎらいの言葉を掛ける。

「もったいないお言葉。」

アルフレッド・オパール大佐以下生き残りメンバーも恐縮気味であったが、
生きていたからそこの恐縮振りだった。

「これからも精進してくれ。」
「はっ!」

こうして宇宙海賊討伐の出征は終了した。



「ハラピー、新しい武装を付けたから今度試してくれ!」
「もう、ブラバス技術大佐。また変な武器付けたんじゃないでしょうね?!」
「おいおい、失礼なヤツだな? 今度のはとっておきの武装だぞ。」
「ふぅ、やれやれ…。シェーンハイトを勝手に陸戦対応に改造して怒られたばかりでしょうが。」
「ははは、おかげで君達が生きて帰れたのは確かだろ。」
「まあ、そりゃそうですが…。」
「これからも私ブラバスに任せなさい!」
「ふぅ、やれやれ。」

ブラバス技術中佐も大佐に昇進し、一層改造魂に火がついたようだ。
ただ、生贄は基本的にハラピー1人だったが。(笑)


「敵艦隊、発見!」
「よし、シェーンハイト隊、発進せよ!」
「了解。」

その後もまた第5艦隊は反帝国組織との戦闘に出撃していた。

「じゃ、シェーンハイト隊、攻撃開始ぃ~!

シェーンハイト隊の活躍はこれからも続く。



   -おわり-


短い間でしたが、これにて「エリディア聖灼伝」は終了です。
これまで閲覧していただいた方々、ありがとうございました。
「エルディア蒼龍伝」1本に集約する為、こういう形で終わらせた事をお詫びします。

今後は「ぶっとび!SAY☆優」の素材のみとなりますがご了承下さい。

では、さようなら。ビェ─・゚・(´゚д゚`)(´゚д゚`)(´゚д゚`)・゚・─ン!!!

2008年08月17日 イイね!

エルディア聖灼伝 13

   第3章   キャプテン・ハロルド 3



「母さん、おかげ様で今でも元気にやってます。安心して眠って下さい。」

墓前で久々のお参りが出来た事には今回の作戦は感謝の限りであった。
だが、その様子を見守る陰に気づく。

「誰ですか?」

ハラピーは影の方に向く。

「すまない、邪魔をしたかな?」

一見、あっけらかんとして出てきた1人の40代くらいの男。

「い、いえ…。」

ハラピーはまだ警戒を解いてなかった。

「何か用ですか?」
「いや、私もこのに身内の墓があるのでね。」
「そ、そうですか、それは失礼しました。」

素直に謝罪をするハラピー。

「いやいや、気にする事はないよ。」

その男はなにげなくそう答える。
だが、なぜかその男の威圧感が消える気配がない。

(誰だ、この男は?)

なんとか平静を保とうとしつつ会話を続ける。

「君はこの辺りでは見かけないようだが…」
「あ、以前はここにいたのですが、こちらにある母が亡くなってから、遠い知人の方に
やっかいになる為に他の星に移住してたもので。」
「そうか、苦労したんだね。」

なぜかその言葉に温かみを感じるハラピー。
その後段々と警戒心が抜けていき、いつのまにか色々と話をしていた。

「ところで、君のナは?」
「はい、ライオネル・ハラピーと言います。」
「そうか、ハラピー君か。私はデューク・ハロルドという名だ。また会う時はハロルドと
呼んでくれてかまわない。君と私は今から友人だ。」
「はい、ありがとうございます。」

そうこう話をしていると、また1人男がやってきた。

「キャプテン、そろそろお時間ですので。」
「ん、もうそんな時間か。ハラピー君、先を急ぐのでまた縁があれば。」
「はい、今日はどうもありがとうございました。」

ハロルドと後から来た男はその場を後にした。

(いい話を聞かせてもらったな)

ハロルドの人生観の話に感銘を受けたハラピーは改めて気持ちを高ぶらせるのであった。


「キャプテン、彼はやはり帝国軍の調査団の1人でした。」
「やはりそうだったか。確か、彼はライオネル・ハラピーと言ってたな。」
「ライオネル・ハラピー。どこかで聞いたような…?」
「うむ。まあ過去に聞いた記憶があるならそのうち思い出すだろう。」
「そうですな、どうも最近物覚えが悪くなって…。」
「今からそうでは困るなぁ、参謀長。」
「あははは。もっともですなキャプテン。」

この2人はハラピーを知っていそうな口ぶりであるが、一体何者なのか?



「おぅ、ハラピー帰ってきたか。」
「はっ、時間をいただきありがとうございます。」
「ちょうどよかった、ひとつ情報を得たので作戦会議だ。」

ホテル「クリシュナ」に帰ってきたハラピーはバリッシュビー少佐に呼ばれ作戦会議に
参加させられる。

「さっきバーでビータンが聞いた情報によると、やはりこの惑星に買い得がいるのは間違いないようだ。」
「おい、その情報は確かなのかい?」

メンバーの1人バリュームが茶々を入れる。

「信じないならそれでもかまわんよ。ただし、手柄はお前さん以外の我々で
 いただくからな。」
「ちっ、わかったよ。付き合やぁいいんだろ。」

バリュームもしぶしぶその情報を受け入れる。

「そういう訳だ。明日は更に情報を仕入れるべく街を探索する。わかったな?」
「イエッサー、少佐。」


翌日、情報にあったギノラス居住区にやってきた一行は、ここと周辺の探索に入った。

「そうか、空振りか…。」

色々と聞き込みをしていったが、どうもこれといった決めての情報はなかった。

(実はここ全体が海賊の住処で全員がグルだとしたら…)

そう思ったハラピーであったが、意見を求められないハラピーはここは何も言わなかった。


「…奴ら、行きましたぜ。」「よし、キャプテンに連絡だ。」

ハラピーの予想通りこの居住区全員が海賊であった。
だが、意外にも先の聞き込みでバリッシュビー少佐もここが怪しいのではと思っていた。

「たぶん、あの居住区が怪しいのは間違いないと思う。あとは上からプレッシャーを
掛けてみて海賊かどうかの動向を確認のがいいと思う。」

そう言うと、バリッシュビー少佐は第5艦隊に連絡をする。

一方、ナンカーンを調査していた陸戦隊主体の調査団隊長アルフレッド・オパール大佐はこの惑星は「シロ」との結果を艦隊司令部に報告していた。


「閣下、どうやら宇宙海賊の居場所がほぼ判明したようです。」

参謀長マーティン・ボドルジーク少将が艦隊司令ホラード・ギルゼナッハ中将に
これまでの調査結果を報告していた。

「よし、宇宙海賊は惑星メルカドが拠点と断定する!これよりナンカーンに行った調査団を部隊と一緒にメルカドに派兵し調査団と合流。こちらからは爆撃を仕掛け敵をいぶり出す。そして出てきたトコで迎撃する、それで行こう。」

作戦は決まった。

銀河西暦4979年(帝国歴679年)12月13日。
第5艦隊は宇宙海賊退治の為、作戦行動に出るのであった。


  -つづく-


次回は8月29日の予定です。
2008年08月11日 イイね!

エルディア聖灼伝 12

  第3章  キャプテン・ハロルド  2



  惑星ミシュリン

エルディア帝国中央部に位置する惑星だが、この惑星は「いわく付く」の惑星と言われている。

その理由は、

「アウトローの集まる惑星」として帝国内でも有数の惑星であった。

帝国首脳部はこの惑星と兄弟惑星「ナンカーン」と合わせて「W地区」と称して
常に警戒はしていたが、あえて取り締まりは行っていなかった。
それは、「厄介モノがあちこちにいるのは政策上便利が悪いので、1か所に集めておくにはあえて目をつむっておく事もやむを得ない。」という事だ。

つまり、悪人はやみくもに取り締まっても必ず法の網をくぐって潜伏するので、
その時に居場所の把握がしやすいようにあえて抜け道を作っておく、という訳だ。
そういう訳で、この惑星にはかなりの「悪(ワル)」前科者・犯罪者・賞金稼ぎ等が揃ってもいた。

当然、今回の調査対象の宇宙海賊もこの惑星でほぼ間違いはないと推測していた。
普段はあえて放置しておくのだが、ちょっと貴族連中からの搾取が過ぎたようで、
今回は調査・場合によっては逮捕というあらすじであった。


「では、調査隊これより出発します。」
「うむ、頼むぞ。」

ナンカーン・メルカドそれぞれの惑星に向け調査隊が出発した。

ハラピーはメルカドの調査隊に配属となっていた。

「よぅ、ハラピー? パイロットからのメンバーだからって言い訳はなしだぜ。」

調査隊の副リーダー・バリッシュビー少佐がハラピーにちょっかいを掛けてきた。

「はっ、少佐のご迷惑にならないよう努めます。」
「お、えらく身上だな。ま、よかろう。」

(これくらいのジャブは聞き流せるな)

バリッシュビー少佐は空戦隊のボマー(爆撃機)隊の隊長である。
よって、ピンポイント爆撃は彼の得意技であり、会話でもピンポイントでズゲズゲと突いてくるので気をつけるようザフィーラからアドバイスをもらっていた。

「よ~し、お前ら、気合入れてけよ!」
「はっ!」

メルカド調査隊10名は無事上陸を果たした。


「司令官閣下。両調査隊、無事に惑星に降り立つ事が出来たと報告がありました。」
「うむ。では今日はゆっくりして明日から宜しく頼む、と伝えてくれ。」
「了解!」


まずは一安心、の艦隊司令部であった。



「よし、いっちょ飲みにいくか!」
「いいっすね、少佐。」

無事に到着し、密かにホテル「クリシュナ」に入った調査隊は、今日は飲もうという話に
なったらしく、出かけることにした。

「自分は、今日は遠慮しておきます。」

ハラピーはこの飲みには参加しないと告げた。

「な~んだとぉ?!」
「おい、若造が付き合い悪いのはどうかと思うが…。」

バリッシュビー少佐達の鼻息が荒くなった。

「自分には用がありますので。」

ハラピーはなぜか折れる様子がなかった。

「このガキゃ~!?」

半ば無理やり連れていこうとする雰囲気になりかけた時、

「まあ、いいじゃないか。ノリの悪いヤツ連れていっても酒がまずくならぁ。」

そう進言したのは、アイリッシュ大尉であった。

「ま、言われてみりゃそうだな。」
「そうです。彼は放っておいていいでしょう。」

これでハラピーが行かなくても問題ない雰囲気が出来上がった。

「じゃ、いくぜ。」

バリッシュビー少佐の激で9人は酒場に繰り出していった。

「どこに行こうとしてるのか知らんが、気をつけていきな。」

去り際、アイリッシュ大尉がハラピーにそっと耳打ちした。

(ありがとうございます、大尉)

そして、ハラピーは今日の目的の場所に向かう。


 「ミシュリン墓地」

ハラピーがやってきたのは、意外にも墓地であった。

「え~っと、この辺だったと思ったが…あ、あった!」

ハラピーが見つけたのは1つのお墓であった。
そして、その墓標には1人の名前が彫られていた。


「サユリ・ハラピー」

ここはハラピーの母のお墓であった。


  -つづく-


次回は8月17日の予定です。
2008年07月30日 イイね!

エルディア聖灼伝 11

   第3章   キャプテン・ハロルド  1


「たまにはこういう任務もあるって事だ。」
「わかりました。では、調査に向かいましょう。」

銀河西暦4979年(帝国歴679年)12月4日。

第5艦隊は軍令部の命によりおそらく今年最後の任務になるであろう指令に従うべく
ピートゥルース星域に向かっていた。


「今回の任務は、最近帝国内で出没する宇宙海賊の壊滅が目的である。」

第5艦隊幕僚達が旗艦シグナスの中央作戦室で会議を行っていた。
なお、議事進行は艦隊参謀長のマーティン・ボドルジーク少将である。

「その宇宙海賊の戦力の規模はどのくらいなのですか?」
「詳しくはわかりませんが、2~300隻程度と思われます。」
「では、今回の任務は楽にすみそうですな。」

最初の質問をしたのは航空隊総責任者オルフィス・ゲーゲルフェン大佐であった。

「お空の小鳥はピーチクパーチク言ってりゃいいから楽でいいよなぁ。」
「何だと!? 聞き捨てならぬセリフだな、オパーレ大佐?」

噛みついてきたのは、陸戦隊総責任者アルフレッド・オパール大佐であった。

「宇宙海賊っつってもなぁ、ただ艦艇を叩きゃいいって訳にはいかねぇんだよ。
アリと一緒でどこかにある宇宙海賊のアジトを探し巣から退治しなきゃ艦艇だけ叩いてもまた現れるの繰り返しになるのを防がねばならないのさ。それくらいは熟知しとけよ。」
「おのれ、言わせておけば…」

第5艦隊就任以来この2人の行き違い仲違いは日常茶飯事であった。

「2人とも、その辺にしとけ!」

参謀長が止めに入る。

「……。」
「……。」

とりあえずは収まったがお互い睨みつけたまま議事は進行する。

「そもそも、なぜ帝国ひと桁艦隊が雑用的な海賊退治をしなければならないのです?」

核心を突いてきたのは、幕僚達の末席にいたザフィーラ少佐(先の戦いの戦績で大尉から
少佐に昇格した)であった。

「いい質問だ。それについては私から説明しよう。」

語り始めたのは他でもない艦隊司令ホラード・ギルゼナッハ中将である。

「実は…。」

本来帝国艦隊で1ケタ数字の艦隊は帝都防衛及び帝国が重要な責務の戦いをする際に派遣される艦隊である。なぜ雑用的である「海賊退治」をせねばならないのか、については帝国ならではの貴族社会でもからみが関係していた。

ギルゼナッハ中将は帝国4元帥のうちハワード・ブリマシュアン元帥の派閥に属する。
そしてそのブリマシュアン元帥の管理区であるベクトラーナ星域でここ最近宇宙海賊の被害が増大していて特に「義賊」と帝国貴族の邸宅を襲撃したりの被害が多くなり早急な対応に迫られたからというのが実情のようだ。

「まあ、貴族は自身の所有物に対する執着心は高い、略奪はしてもされるのには慣れてない…」
「もう、よかろう。それ以上の発言は慎め。」

オパール大尉はたたき上げの実力派であるだけに発言が厳しい。
ボドルジーク少将が制止したが、これは今に始まったことではないので、淡々話はと本題に入る。

「これまでの調査では、惑星ナンカーンと惑星メルカドが宇宙海賊のアジトではないかとの推理がされている。そこで、陸戦隊はナンカーンをそして空戦隊はメルカドを調査して、アジトがあるかないか調べてくれ。」

「了解。」
「了解っと。」

「では、詳しくは各総責任者の指揮の元、指示を出すように。以上で解散。」

こうして、第5艦隊は宇宙海賊退治に出かけるのであった。




「なんか、変な話ねぇ。調査なんて。」

今回の任務をザフィーラから聞いたコルサは戸惑いを見せていた。

「まあ、シェーンハイトは宇宙空間専用機だから、私達が直接出撃しての出番はないわね。」

シャローラが今回は私達は留守番的な役割だという事で珍しくのんびりムードであった。

「せっかく昇進したのに、残念ですわね。」

ザフィーラ以下シェーンハイト隊のみんなも先の戦いでの奮闘に際し昇進して現在は彼女達は少尉、ハラピーは中尉となっていた。

「でも、ハラピーには惑星調査団のメンバーに入ってもらってるわよ。」

ちょうどそこにやってきたザフィーラがそう言う。

「え、何で?」
「どうしてハラピーだけが?」
「なぜなの?」

3人が驚きの表情を見せる。

(ハラピーは今回の任務、複雑な心境でしょうね)

ザフィーラが心の中でそうつぶやく。



「ふぅ。8年ぶりか…。」

惑星調査団の乗るシャトルで惑星メルカドを眺めながらそうつぶやくハラピー。
この星に何があるというのだろうか?


   -つづく-


次回は8月11日の予定です。
2008年07月18日 イイね!

エルディア聖灼伝 10

   間 章   思い出



「お兄様…。」
「いいかい、お兄ちゃんはまた仕事で遠くにいくけど、お母様を困らせるんじゃないぞ。」
「うん、わかった。」
「コルサはお姉さんなんだから、ターセルの面倒もよく見てやってくれ。」
「う…うん。」
「お兄ちゃんはコレサがお利口に留守番してくれるから、安心して仕事に出掛けられるんだ。
感謝してるよ。」
「お兄様、大好き。」
「ボクもだよ。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。はっ!?」

「…夢? どうやらいつのまにか寝ちゃってたみたいね。」



銀河西暦4979年(帝国歴679年)10月12日、ペトグランチェスト航路会戦後次の戦いに備えるべく空母ローベンプリンセンの格納庫でコルサ・ベルリネッタは整備をしている間につい寝てしまっていたようだ。


「懐かしい夢を見たような…。」

コルサは10年前の出来事が夢で出てきていささか動揺していた。

「思えば、アイツがお兄様に似てるのが悪いのよ!」

アイツとはライオネル・ハラピーの事である。

「最初、アイツがシェーンハイト隊に入ってきた時はびっくりしたもんね。」

今でも覚えている今は亡き兄との最後の会話。
コルサは、今から戦争に行くという軍人の兄マシュンゴ・ベルリネッタから母と妹を頼むと、そして何より大好きな兄からのお願いを全うすべくがんばってきたコルサ。

しかし、兄はコルサに任せたまま帰ってこなかった。


「…戦死しました。」

その一言を聞いた母は怒り狂った。そのまま精神病院へ直行となった。
夫も軍人で戦争中に戦死、そして今度は兄までも失った。

(わかってはいたのよ、わかっては。でも…)

最愛の夫、そして初めての子をも失った母の精神はその出来ごとに耐えられなかった。

「お母様…」

母が病院行きとなり、コルサ。ターセルのベルリネッタ姉妹は父の数少ない親戚であったアウネスト・シュタッドウィン氏の所で生活するようになった。

決して居心地のいい所ではなかった。確かに衣・食・住に困る事はなかったが、この家に安住の場所はなかった。

必然的に学校を卒業したコルサは妹とともにその家を出た。
居場所のない家にいるより苦労してもターセルと2人で気兼ねなく住める所にいこう、と。

最終的にコルサが務めた仕事は皮肉にも軍人であった。

(皮肉にも程があるわ、でも…)

まだ若いコルサが家とターセルを養うのに使えるお金を稼がせてくれる仕事はなかった。
身体を売る商売を知らなかったのがよかったのか悪かったのかは何とも言えないが、
彼女の経歴で高給が稼げる仕事は当時軍しかなかった。

さしあたって戦力を欲していた神聖エルディア帝国は高給というエサで戦力の確保に当たっていた。そのおかげで重犯罪人以外は本人の希望があれば軍人になれた時でもあったから、入隊はスムースだった。

とにかく苦労の連続だった。訓練・戦術・作法、覚えることは山ほどあった。

(もう、やめたい、でも…)

生活もかかっていた為、むげにやめる事もできなかったが、唯一妹の笑顔だけがコルサの心の支えであった。


「お姉ちゃんには世話をかけっぱなしでした。」

ターセルも姉の頑張りは肌で感じていた。2つ違いとは言えその苦労の度合いは通常の3倍は違うであろう。
優しかった兄、妹想いの姉に支えられ、不幸な境遇のターセルも素直に育っていった。

だがしかし、

「何であんたまで軍人に?!」


学校を卒業後、ターセルが選んだ仕事はなんと軍人であった。

コルサは反対だった。ターセルまでもその手を血に染める仕事には就いて欲しくなかったからである。

「お姉ちゃんがいなかったらこんな普通の生活は出来なかった。確かに軍人になるのは賛成しないと思うけど、これからはお姉ちゃんのサポートをしたいの!」

コルサはその後も説得を試みたが、ターセルの決心は変わらなかった。

「わかった。じゃ、がんばって私の背中を守って。」
「うん、お姉ちゃん。」

2人は厚く抱き合ってお互いの気持ちを確認した。





「コルサ曹長?」
「…」
「コルサ曹長!」
「うわっ、な、何!?」

思い出にふけっていたコルサは急に声をかけられあたふたした。

「な、何の用? ハラピー少尉。」

「もう訓練の時間ですよ、コルサ曹長。」
「え、えっ?」

慌てて時計を見る。今日のシェーンハイト隊の訓練時間は過ぎていた。

「ザフィーラ隊長から探してきて、と言われたんで。」
「そ、そう、わかったわ。今から行くわ。」
「もう、頼みますよ。」

そのセリフを発した時のハラピーの笑顔が非常に兄に似ていたので、
更に戸惑うコルサであった。

(落ち着け、落ち付け、私)

「い、いいからさっさと行きなさい。ここを片付けたらすぐに合流するわ。」
「わかりました。」

(ふう、まだまだね、私も…)

久々に兄の笑顔を見た感じがしたコルサの表情は晴れやかだった。





「こっちですぅ~。」

訓練場所前にはターセルが2人を出迎えていた。

「呼んできました。」
「お待たせ、ターセル。」

「うん。」

3人の表情がとても明るい。


「よし、みんな揃ったわね。」

シェーンハイト隊々長ザフィーラ・ベルギノーゼが3人の初見のメンバーを連れてやってきた。

「とりあえず3人の補充メンバーがさっき到着したので紹介しとくわ。」

「どもっ、ヴァンクール・フォライゼン准尉です。」
「シャンパーニ・ハインリッヒ曹長です。」
「ピカソ・アインフェウト曹長です。」

補充メンバーの3人は、すべてシェーンハイトサポーターであった。

先の会戦ではシェーンハイトサポーターは30機もいたが急には補充がままならぬ為、当面はシェーンハイト3機とシェーンハイトサポーター10機の計13機で再編される事となった。

しかし、その面々は個性的かつ能力の高いメンバー構成が叶った。

その成果は次の戦いでも存分に発揮される事となる。




「総大司教殿、次回の作戦の準備が整いました。」
「ふっ、今度はぬかるでないぞ。」
「はっ、今度は総大司教殿のご期待の答えるよういたします。」
「うむ。よい成果を期待しておるぞよ。」
「はっ、では。」

ギルドラド惑星共同帯最高顧問ゴースティー・トイフェル総大司教は例によって
「闇の間」にて次回の対戦準備が整った旨の報告を受けた。

「く~っくっくっくっ。まだ、これからじゃ、慌てふためくがいいエルディアの邪教者ども!」


 -つづく-


次回は7月30日予定です。

プロフィール

「完全に色褪せたよ。┐(´д`)┌」
何シテル?   07/25 12:02
色々ありまして、乗り換えです。 人生初のホンダ車かつパープルです。 引き続き宜しくお願いいたします。。♪   一般人からみたらオタク系だと思います。...
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トヨタ アルファード オプティマスプライム (トヨタ アルファード)
半ば衝動買いです。(笑) 車体でお金掛かったので、今回はエアロ関係無しです。まあ、標準グ ...
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