ここ数日、新聞などでトヨタがプリウスを値下げするというニュースが乱れ飛んでいる。現行型のプリウスをインサイトのエントリー価格と同等(189万円~)に値下げするというニュースや、5月に発売されるという次期型プリウスのベースモデル価格が205万円であるなど、当初予想されていた次期型プリウスの250万円前後という価格からすれば、かなり低いラインに設定されそうな気配だ。まぁ今のところ噂レベルという事を了解の上で、考えてみたいのだがこの背景は間違いなくホンダ・インサイト対策であろう。インサイトが初月1.8万台の受注を獲得したことにトヨタが危機感を募らせたと言うことだろうか。現行型プリウスのベースモデルは「1.5 Sスタンダードパッケージ」で233.1万円とインサイトのベースモデル「G」189万円と比べると44.1万円も高価。燃費性能面では現行型のプリウスと比較した場合、インサイトはシンプルな機構を採用する事もあってカタログ上の燃費では一歩劣るのだろうが、プリウスとの価格差をガソリン代(ランニング)によって取り返す事はかなり難しいと思われる。それ故、インサイトには存在意義があったわけだ。しかし、現行型のプリウスが仮にインサイトと同等の装備レベルを持ちつつ、同等の価格を実現したとすれば、インサイトの売れ行きにブレーキがかかるのは間違いあるまい。プリウスよりも安いことがインサイトの特徴なのだから。
しかし、トヨタというメーカーは本当に情けないというか、ガッカリしている。ストリームをコピーしたウイッシュの例を取り上げるまでもなく、トヨタはライバル潰しにご執心なメーカーである。しかし、今回の件についてはそう簡単な問題ではあるまい。まず一番大きな問題として、既に購入済みのプリウスユーザーはどうなる。昨年のガソリン高騰時にプリウスは飛ぶように売れた。納車待ちも数ヶ月という状況だったから、値引だってほぼ言い値の世界だったろう。それなのに、1年も経過しないうちに2割以上の値下を実施されてしまうのだ。間違いなく、下取価格にも値崩れが発生するだろう。また、世界的な市場を見渡せばハイブリッドカーの普及はまだこれから。トヨタとホンダがお互いに切磋琢磨することで製品にも幅が出ると期待していたところであるが、トヨタの戦略はあまりにも近視的なホンダ潰し。ユーザーにとって一時的には安価にプリウスを買えるというメリットがあるかもしれないが、長期的にはデメリットの方が多い。インサイトが出たからこその値下げなのだ。もし、ホンダがトヨタの攻勢に屈してハイブリッド車から撤退したときのことを考えるべきだ。世界一の販売台数を誇るトヨタが、よくもここまで恥ずかしげも無くあからさまなライバル潰しを本当に実施するのだとすれば、私は大いに非難されるべきだと思う。せめて正々堂々と(?)、インサイトのライバルとなるプリウスよりも小型の5ナンバーハイブリッド車を開発するべきだろう。
							
						
					 
					
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						Posted at
						2009/03/17 23:23:43