
喜望峰を左にターンした後のコンテナ船は、インド洋を斜めに横断してシンガポールに向かっています。
南アフリカを過ぎた後は、もう何もない広大な海を航海するのかと思いきや、インド洋にも島々があるのですよね。まだまだシンガポールには着かないので、今日はその辺りの島々について。
まずは、
マダガスカル。
コンテナ船は、5/29にちょうどマダガスカルの南沖を通過していました。
マダガスカルは、「おさ~るさぁんだよ~」の
アイアイで有名なところですね。ここは世界で4番目に大きな島で地図上でも目立ちますので、多くの方はご存じのことと思います。結構大きくて、日本の1.6倍の面積があるようです。
大昔の8800万年前頃に大陸から分離したそうで、
野生生物の90%以上が固有種なのだそうです。そう聞くと、ちょっと行ってみたくなりますよね。
ここは、人類が定住を始めた最後の地とも言われているようで、遠く離れたボルネオ島あたりからやってきた人々が定住を始めたんだそうです。小さな
アウトリガーカヌーでインド洋を横断したっていうんだから驚きます。
3つ上の地図の真ん中に見える
アンタナナリボという街が、マダガスカルの首都だそうです。小学生の頃の
国と首都の暗記が流行ったとき[*]の記憶によると、首都は
タナナリブだったと思いますが、今は違うようです。Wikipediaによると、アンタナナリボ(Antanànarìvo)が正式名で、タナナリヴ(Tananarive)ともタナ(Tana)とも呼ばれるのだとか。別の資料にはアンタナナリボの旧称とあるので、昔はタナナリブだったのでしょう。
[*] 首都言い合いの勝負は、トーゴ/ロメ、カメルーン/ヤウンデ、マダガスカル/タナナリブ、チャド/ンジャメナあたりが言えるかどうかが勝負だったなぁ。なお、チャドの首都ンジャメナは、ンガリエマ滝とともにしりとりで2回までは「ん」で終わってもいいという特別ルールに使っていました。
そんなマダガスカルは、国民一人当たりのGDP(名目GDP@2024年)が
569ドルしかありません。マダガスカルは約2800万人の人口を有するかなり大きな国なのですが、
国民の80%以上が1日2.15ドル以下で生活する極度の貧困状態にあるそうです。国の統治機構にも問題が多いらしく、インフラも行き届かず、治安も貧困による犯罪が多発していて非常に危険な状況にあるようです。
アジア・オセアニアでは、後発開発途上国(LDC)が大きく減りつつありますが、マダガスカルはLDCから抜け出す道筋がまったく見えない極めて厳しい状況のようです。10年周期で繰り返される政治的混乱、それによる投資の抑制、インフラの整備の遅れ、気候変動影響でさらに悪化する慢性的食料不足、都市部のスラム化、等々により、抜け出せない負のループに陥っているようです。そう聞くと、やっぱり行くのは厳しそうです。
地図を見ると、場所的になんとなく過ごしやすそうな豊かな島を想像してしまうのですが、
実態は真逆、世界には残された課題がまだまだ多いようです。
船はその後にマダガスカルの東へと進み、次の島に近づきました。
マダガスカルの東にある
ユレニオンと
モーリシャスです。
モーリシャスはそこそこ名が知られていると思いますが、今回調べて、初めて
ユレニオンという名を知りました。こんなところに、モーリシャスに匹敵する大きさをもつフランス領の島があるのですね。
ユレニオンはマダガスカルの流刑地として使われた後に、17世紀にフランス人が入植した地のようです。フランス本土向けの観光開発はされているようですが、日本ではまったく聞かない島な気がします。実際、ネットを調べても、
日本語の情報はほぼ何もないようです。謎の島ですね。
そのお隣の
モーリシャスは、1968年からの独立国です。アフリカ大陸からはかなり離れていますが、アフリカの国家の一つに数えられています。
この国の国民一人当たりのGDP(名目GDP@2024年)は、
11,883ドルでアフリカ第2位だそうです。ガバナンス(統治能力)も優れていて、
アフリカNo.1の政府の質と評価されているようです。治安も凶悪犯罪は少なく、周辺諸国と比較すると良い方なようです。日本からの旅行ツアーもたくさんあって、普通とは
一味違うリゾートを楽しみたい人に人気ですよね‥‥‥知らんけど。
モーリシャスと言えば、似たような感じの国に
セーシェルがありますね。
セーシェルは、マダガスカルの北の方にある島国なので、船の航路からはかなり外れてしまいますが、ここが
GDPアフリカ第1位(21,532ドル)の国だそうです。政府の質はモーリシャスに次いでNo.2の評価のようで、こちらも高級リゾート地として有名ですね。こちらにも行ってみたいけど‥‥おそらくもう行くことはないかな‥‥。
こうして調べてみると、安定した発展を遂げたモーリシャスとセーシェルの2国とは対照的に、海を隔てた隣国のマダガスカルが厳しい状況にあるということが、もどかしい感じもしますね。土地も広そうだし、気候も悪くなさそうだし、どうやら地下資源もあるそうなのですが、世の中なかなかうまくいかないものです。
さて、船の航路に話を戻してと。
コンテナ船はさらに進み、さらに東にある
ロドリゲス島までやってきました。
4つ上の地図の右の端の方に「ポート・マチュリン」と書かれた小さな島がそれです。
この島は、モーリシャス領の一部で、モーリシャス島からは北東に560kmの距離にあります。第一次産業中心の人口4万人程度の静かな絶海の孤島のようですね。観光開発もあまりされていないようです。
ここに行くことはさすがになさそうですが、コンテナ船は島が大きく見えるであろう島のすぐ近くを通ったようなので、スピットファイアが代わりに見てくれたことでしょう。ってコンテナの中だから見えないか。
さてと。
タイトル画像にあるように、船はすでにロドリゲス島の北東に通り過ぎていますが、ちょうど
喜望峰とマラッカ海峡の入口の中間地点あたりにやってきたことになります。
この後は、インド洋のほぼど真ん中にあるイギリス領近辺を通ることになります。
ここの事情はさらに深いようなのですよね。
また別途、そのことについて書きたいと思います。
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2025/06/03 20:25:32