
3日、スカパーのPPVでハッスルマニアを観た。もちろん和泉元彌やレイザーラモンHGが出るという時点で、“ノア的ガチンコ”などは毛頭期待はしていない。関心はただ一つ、「どんなエンターテインメントを見せてくれるのか?」。
第二試合、かつての女子プロのスター、デビル雅美、アジャ・コングに加え、サプライズキャストとしてジャガー横田が出てきた。確かデビルとジャガーは、20年くらい前、全日本女子プロレスでタッグを組んで王者になったんじゃなかったっけか....そういうかつてのオールドファンには堪らない要素を含んでいる辺りも、“計算”なのだろうか。だが試合の展開は、そんなオールドファンをよそにショーマンシップで進んでいく。あのアジャが、“乙女キャラ”で「何すんのよ~♪」とか言いながら試合している。が、全女時代を知る私が見ても、意外と違和感はなかった。試合はアジャが、貫禄?を見せ勝った。ブルとの“金網デスマッチ”が脳裏をよぎった。今ブルは、何をしているのだろう....確かプロゴルファーを目指していたはずだけど....。
長州が出てきた。謎の「X」は藤原喜明だった。維新戦士&テロリスト。私もリアルタイムじゃ見たことないような歴史を背負った二人が、“アメプロ”のリングに上がる....相手の二人はよく知らない。坂田亘....以前は格闘技路線の選手?
“アメプロ”のリングでも、長州は変わらずリキラリアットやサソリ固めを繰り出した。ラリアット時の足の素速さは相変わらずだ。試合は組長が、外人のナックルパートでK.O.されてしまった。グローブの中に、凶器でも入っていたのだろうか....。
お次はいよいよある種の「メインカード」、和泉元彌の試合だ。最初に鈴木選手の入場。
WWE時代と同じように、奥さんが“ゲイシャ・ガール”の格好でセコンドについている。鈴木選手は193cmあるそうだ。顔も名前も、何だか佐々木健介の影がちらついている。ひょっとして健介に憧れていたクチなのだろうか。いつか健介と対戦して欲しい。
続いては、和泉元彌の入場....と思いきや、節子ママと“鬼瓦軍団”だけが入ってきた。鈴木がマイクを持ち、「元彌がいねーじゃねんかよ!」節子ママに向けてお尻ペンペン....そのペンペンがスピーカーからの効果音?を呼び、いきなり和泉流の世界に突入....場内暗転、元彌が空から舞い降りてきた。場内は一気に“和泉流”の世界へ....。
試合はそれなりに見応えはあった。ド素人同然の和泉元彌が、ネックハンギングやバックブリーカーで締め上げられる。「ヤバイって!死ぬって!」とTVの前で思わず声を上げてしまった。ポイントは鈴木の奥さんの“乱入”だった。パウダーを元彌に掛けようとして、鈴木に誤爆。錯乱した鈴木が奥さんにフライングラリアット(奥さん失神)、呆気に取られている鈴木にトップロープから「
空中元彌チョップ」で3カウント。この辺についてはコメントする気も起きないが、これらの試合にはWWE同様、すべてシナリオが存在するということだ。つまり全てが“ショー”。楽しめればそれでヨシな訳で、「あんな技効くわけない」とか文句垂れるのは、御法度と言うかナンセンス。
メインは小川&大谷&HG vs 川田&安生&インリンの6人タッグ。いかにも素人向けのショーカードだが、学生プロレス出身のHGはともかくインリンて。試合になる訳ねーべ。HGとインリン以外はちゃんとしたレスラー。試合になる。だがHGやインリンが出てくると途端に“ショー”。正直どちらのテンションで観れば良いのか、切替えが難しい部分があった。13分の時間中、正直HGのインリンに対する“股間攻撃”しか憶えていない。股間を駆使した三角締めから、失神K.O.でHGがインリンを葬った。
印象に残ったのは、川田である。試合後の“余興”では、マイクパフォーマンスにまで加わっていた。全日時代、三沢と並び、人一倍寡黙で「男の中の男」という印象の強かった川田が、一体なぜアメプロのリングに....。友人に言われた、「お金には勝てないんじゃないの?」の一言で妙に納得してしまったものだが、それにしても....。
スポーツナビによると、今月23日の「U-STYLE Axis」というU系のリングにも上がるようだ。ちなみにこの「U-STYLE」のバックにも、PRIDEやハッスル同様、
DSEの存在がある。
今年3月に全日を退団→フリーとなってから、川田は団体の枠に囚われず いろんなマットに上がっている。そういえば、先日の
ノアでの対三沢戦のインタビューで「俺ももう先は長くないし...」というようなことを言っていたように思う。もうレスラー人生が残り少ないことを悟り、残りの時間を精一杯、団体の枠に囚われずにいろんな世界を見てみたくなったのだろうか? そんな風に想いを馳せると、なんだか川田のことを応援したくなった。私の脳裏には、ハンセンに果敢に挑んでいた頃の川田の姿が今も残っている。あの頃のハングリーさを忘れずに、川田にはいろんなリングで頑張ってもらいたい。そしてその姿から、私も幾ばくかの“勇気”を分け与えてもらえれば....と思った。川田の今後から、当分目が離せない。
さてイベント全体の感想はと言えば、予めマスコミを賑わせていた和泉元彌とレイザーラモンHGの試合以外は、ショーとしてあまり楽しめなかったような気がする。WWEほどのシナリオの練り込みもなく、キャストもまだ“寄せ集め”に過ぎず、安定したスターが揃っていない。本来なら、和泉元彌やインリン様やHGのような“素人”に頼らず、WWEのように人気レスラーのみで興業を打てるようじゃないといけない。まだまだエンターテインメントとしてはヒヨッコ。これからということなのだろうが、私にはWWEのような本格エンターテインメントに成長するとは思えないフシがある。日本人は、アメリカ人のようなアホさ(良い意味での)がなく真面目なので、必ず「あれは真剣勝負なのか?スポーツと言えるのか?」と疑問を抱く人が絶えないと思うからだ。志半ばにして、頓挫してしまうような気がしてならない。 ....が、そんな私の不安をよそに、どんどん成長していって本格的で面白いショーを見せて欲しいという気持ちもある。
川田の今後と共に、「ハッスル」の今後からも当分目が離せなくなりそうだ。
Posted at 2005/11/07 15:54:22 | |
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