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2021年10月03日

なんで2キロ差なの?

なんで2キロ差なの? 前回,ジムカーナで前後のバネレートがなぜ10キロも差がついてしまうのか?の理由が理解出来ました.

続く疑問は,サーキットユースではなぜ前後2~4キロ差くらいに留めるのか?です.一番最初に思いつく理由は「前後でロール剛性に差が出ないようにするため」でしょうか.ただ,ロール剛性の働きは何となく理解しているものの,「2~4キロ差」という数字の根拠が見えてきません.

そんな折,「レバー比」の事を調べていたら,主だった車種の数値を把握する事が出来ました.
(最近の車種しか残ってないですけど,HKSのサイトはデータが詳しく載ってて便利ですね)

 EG6   ・・・ F:1.50  R:1.20
 EK4   ・・・ F:1.56  R:1.23
 EK9   ・・・ F:1.56  R:1.23
 DC2   ・・・ F:1.50  R:1.20
 DC5   ・・・ F:1.10  R:1.70
 FD2   ・・・ F:1.11  R:1.27
 ZF1   ・・・ F:1.12  R:1.05
 GK5   ・・・ F:1.05  R:1.07
 ZC32S ・・・ F:1.00  R:1.36
 ZC33S ・・・ F:1.02  R:1.25

残念ながら一番欲しいEF8の値は見当たらず,1.45とか1.57といった数字を見かけましたが,正確性は不明です.近い年代のEG6~DC2が大体似た値ですし,サスペンション形式が同じダブルウイッシュボーンなので,恐らくここら辺の値なんだろうなぁ~と思っています.


ちなみに,「レバー比」というのは,ホイールが1mm動くとスプリングは何mm動くか?の比率だそうで,次式で求められます.

 [レバー比] = [スプリング位置のストローク] / [ホイール位置のストローク]


(AutoExe 貴島ゼミナール :チューニングを楽しむための動的感性工学概論§15より)

例えば,「レバー比」が1.5の場合,ホイールが1mm動くとスプリングは1.5mm縮む事になるようです.ダブルウイッシュボーン形式のクルマが,ストラット形式のクルマよりも相対的にバネレートが高い理由は,この「レバー比」からくるスプリングの縮み量に由来しているようです(縮み量が多いので底突きし易い→バネレートを高くしないといけない).


こういった形式による差を吸収して比較するために,ホイールの位置に作用するバネレートで考える「ホイールレート」という概念があるそうで,これは以下の式で求められます.

 [ホイールレート] = [バネレート] /([レバー比] × [レバー比])

手元にEK4の純正のバネレートの数値があったので(F:3.8キロ R:2.2キロ),試しにこれで計算してみると,

 Fホイールレート = 3.8キロ /(1.56 × 1.56)= 1.6キロ
 Rホイールレート = 2.2キロ /(1.23 × 1.23)= 1.5キロ (-0.1キロ)

前後でほぼ同じ値になるんですね・・・.

ハッ!Σ(゚ロ゚;)!!

これはもしや・・・と思い,EF8のレバー比がEG6と同じだと仮定して,吊るしの車高調(F:7キロ R:5キロ)で計算してみると,

 Fホイールレート = 7.0キロ /(1.50 × 1.50)= 3.1キロ
 Rホイールレート = 5.0キロ /(1.20 × 1.20)= 3.5キロ (+0.4キロ)

現在,私のEF8に付いている車高調(F:14.3キロ R:9.8キロ)だと,

 Fホイールレート = 14.3キロ /(1.50 × 1.50)= 6.3キロ
 Rホイールレート = 9.8キロ /(1.20 × 1.20)= 6.8キロ (+0.5キロ)

サーキットユースでは有り得ないと思われるジムカーナ車両のバネレート(F:18キロ R:8キロ)だと,

 Fホイールレート = 18.0キロ /(1.50 × 1.50)= 8.0キロ
 Rホイールレート = 8.0キロ /(1.20 × 1.20)= 5.6キロ (-2.4キロ)

もしかして,「バネレートの前後差は2~4キロ差まで」と言われるのは,ホイールレート換算で前後同じくらいにする事に由来するのか・・・?と思いました.


では,ホイールレートが何に影響を及ぼすのか?というと,クルマの左右方向の荷重移動量です.


(VD講座:10. ロール剛性計算より)

「ホイールレート」は上図で言うところの「Ks」に該当し,「ホイールレート」が大きくなるほど,コーナリング中に内側のタイヤ→外側のタイヤへ移動する荷重の量(ΔW)が増える事が分かります.

従って,前後でホイールレートに差があるという事は,前後で左右間のタイヤの荷重移動量が異なるという事で,これが異なるとどうなるか?というと,定常円旋回が出来ないという事だと思います.ドライバーは舵角一定・アクセル一定で操作しているつもりでも,クルマの方が勝手にアンダー or オーバー挙動になっていく・・・という事かと.そんなの乗りにくいに決まっているので「差は2~4キロに留めるべき」と言われるのも納得ですね.


以上,「なんで2キロ差なの?」の考察でした.

仮に,この前後のレート差の許容範囲が「レバー比」に起因しているという考えが合っている場合,「レバー比」を変えれば「2~4キロ差でなくても良い」という事になりますよね.「レバー比」に直接影響を及ぼすアームの変更は,車検対応のクルマで考えるとかなり難しいですが,「レバー比」がホイール位置から求められるのであれば,インセットの変更で多少融通が利く気もします.ただ,フロントの場合はインセットを変更すると「スクラブ半径」も変わるので,話がややこしくなりますね.

疑問は少しずつ解消しているのですが,分かれば分かる程「やっぱりサスペンションって難しいなぁ~」と思う,そんな日でした.
ブログ一覧 | セッティング(ダンパー) | 日記
Posted at 2021/10/04 19:18:36

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この記事へのコメント

2021年10月4日 21:06
フロントが極端に重く、しかもレバー比の大きいCL7だと、30k/14kあたりが普通なんですが、これも計算してみると前後のホイールレートは同じくらいですね。

新しくボディ剛性の高い車だと、ボディを剛体と見なすことができ、ロール時内輪の前後ともの荷重が外輪2本に移動する(フロントとリアが分離していない)という話を読んだことがあります。そうだとすれば、FFでも前後とも同じくらいのロール剛性が必要になってくるのかも。

でも、速い人上手い人でもそれぞれ言うこと違うので、足回りのセッティングはよく分からないですw
コメントへの返答
2021年10月4日 23:14
ヘビー級(?)のCL7でもそんな値になるんですね.

「ボディを剛体と見なせる」という見方は面白いですね.そういう着眼点はなかったので,なかなか新鮮です.情報有難う御座います.

速い人・上手い人が皆言う事が違うのは全くもって同感ですw

レベルが上がれば上がる程,それぞれの方法論(スタイル?)みたいなものが確立されて,言う事が違ってくるんでしょうかね・・・?

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