先日のTC1000でのテスト結果から,リアスプリングのレートを12キロ→14キロに上げた事でクルマがインリフトし易い特性になったようです(まぁ,こうなるだろうとは思ってはいましたが・・・苦笑).
こうなると,バネレートを2キロ上げた事でリアのリバウンドストロークは一体いくつ減ったんだ?と気になってくるので,簡単に試算してみる事にしました.
まず,私のEF8のリアの軸重は337kg(大分
古いデータなので今はもっと重い気もしますが)なので,1輪当たりに掛かる荷重は,
337kg / 2 = 168.5kg
次いで,リアのレバー比を
1.23と仮定すると,
168.5 × 1.23 = 207.2kg
ここから,各レートでの縮み代を求めてみると,
12キロ ⇒ 207.2 / 12 = 17.2mm
14キロ ⇒ 207.2 / 14 = 14.8mm (-2.4mm)
という事で約2.4mm短くなったようです.たった2.4mm・・・と思いたくなりますが,
ダンパーの1ターン分が約3mmなのでそれなりですかね.
現在の
リアで使っているスプリングは7インチ≒178mm なので,1G状態での長さは,
178 - 14.8 = 163.2mm
同じく
リアダンパーは以下(↓)のような設計となっていますから,
車高30mmダウンを許容限界として設計されていると仮定すると,
196 - 30 =166mm
となり,ほぼ1G状態の長さ=ダンパーの有効ストロークですね.厳密には2.8mm調整代が残っていますが,1ターン分(3mm)も残っていないので使い切っていると考えて良いでしょう.これではヘルパースプリングを入れてリバウンドストロークを稼ぐ,といった手も使えなさそうです.
となると,次レートアップした時はスプリング長を6インチ(152mm)化するしかない訳なのですが,その場合,
16キロ ⇒ 207.2 / 16 = 12.95mm
152 - 12.95 = 139.05mm (-24.15mm)
といった試算から,現状より25mm近くリバウンドストロークが減る事になるので,かなーりインリフトに苦しまされそうな未来が見えます・・・.リアのレートを上げる時はフロントのレートも一緒に上げる事になるので,額面通り25mmインリフトするとは思っていませんが,いずれにせよ,次のレートアップは少し慎重に進めた方が良さそうです.
そういう訳で,当面の間は今の仕様のままとなりそうなのですが,暑い時期はともかく,冬になるとダンパーオイルが固くなってインリフトが助長される懸念もあるため,もう少し細かく減衰のセット出しをしておこうと思うのですが,ここで1つ最近よく分からなくなっている事があります.
それは,「リアのリフト量を減らしたい」と思った時に,減衰力は上げるべきなのか? 下げるべきなのか?
「上げるべき」の考え方は,「リアの減衰力が低いとダンパーが伸びる速度が速くなり,リアの浮き上がりに対する抵抗成分がないため,リフトを助長させる(だから,減衰力は上げるべき!)」というもの.
一方,「下げるべき」の考え方は,「フロントが沈んでリアが持ち上げられた時に,リアの減衰力が高いとダンパーが伸びるのが遅くなり,リフトを助長する(だから,減衰力は下げるべき!)」というもの.
何となく「リフト」という現象に対して,リアを軸にして考えるか? フロントを軸にして考えるか?の違いな気もしなくはないのですが,どちらも言っている事は正しいように思えるので悩ましいです.
個人的には,FF車である以上,重たいフロントを軸にして考えるべきかな?と思っていて,「フロントが沈むから,リアが浮くんだ」説の方が納得感があります.なので,どちらかと言えばインリフトで困ったら「減衰力は下げる」方向でアジャストする事が多いです.
とは言いつつ,これもケース・バイ・ケースなんじゃないか?と最近思っていて,
例えば,リアが伸び切った状態でもタイヤがまだギリギリ地面に接地している場合(図の左側),一応接地はしているので,減衰力を下げて伸び易くする事にはあまり効果がなく,逆に減衰力を上げてダンパーを伸びにくくした方が前傾姿勢は弱まる気がします.
一方,リアが伸び切った状態でタイヤが完全に浮いてしまう場合(図の右側),これはもう浮いてしまっているので伸びの速さ云々は関係なく,如何にしてこの「浮いている時間」を減らせるか?が焦点になる気がします.となると,減衰力を下げてダンパーを伸び易くした方が「浮いている時間」が相対的に減る気もします.
という事で,減衰力を上げるか? 下げるか?は,リアが伸び切った状態でタイヤが浮くか? 浮かないか?がポイントになる気がしているのですが,これは一体どうやって見極めれば良いんだろう・・・?と頭を抱えています(笑).

(先日こもりん.さんに撮って頂いた画像を見ると,ちょっとした操作の違いで,浮く・浮かないがあるようですしね・・・)
以上,リフト量の皮算用でした.
現状のセットでも既にリアはリフトし掛かっているので,次のレートアップは慎重に進めようと思うのですが,皮算用した結果,「完全に浮く」方向になるのだとすると,リアの減衰力はもっと下げる必要がありそうです.ただ,そうするとピッチング方向はともかく,ロール方向が不安定になるのであんまり嬉しくないなぁ~とも思っています.
次は,ピッチング方向とロール方向を分けてセットする手立てが必要になってくるのかもしれませんね・・・.
【'24.07.14追記】
リアをジャッキアップしてリフト状態を再現し,1G状態の車高と比較した結果以下でした.
0G ・・・ 168mm
1G ・・・ 151mm (-17mm)
17mmのダウン量から逆算すると,
17 × 14 = 238kg
238 / 1.23 = 193.49kg ≒ 194kg
194 × 2 = 388kg
となるので,やっぱり重くなってますかね・・・(泣).
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セッティング(ダンパー) | 日記
Posted at
2024/07/04 12:15:10