![[試乗インプレッション]マツダ「CX-60」XD-HYBRID Exclusive Modern [試乗インプレッション]マツダ「CX-60」XD-HYBRID Exclusive Modern](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/046/397/127/46397127/p1m.jpg?ct=e6b4b64e8061)
マツダ界隈では今年最大のニュースである新型「CX-60」に試乗させて頂きました。
グレードはXD-HYBRID Exclusive Modern(8AT/AWD)。価格は505.4万円。メーカーOPはドライバー・パーソナライゼーション・システムパッケージが+5.5万円のみ。ボディ色はソウルレッド。
既に新型「CX-60」の情報は巷に溢れているので割愛するが、全てが新開発されたマツダ渾身のモデルであることに疑いはない。あえて縦置きのFR。そして大排気量の直6エンジンを搭載。その掲げた志やコンセプトには大いに共感するが、その仕上がりは気になるところ。
特に、各メディアでは「低速時の脚が固い」と随分酷評を受けているから、そのあたりも体感してみたいところだ。
もちろん、マツダファンを自認するからには早速1台オーダーしてマツダのチャレンジを買い支えたいところでは有るが、個人的な趣味嗜好の傾向に照らせばボデイサイスが流石に大きすぎて躊躇しているのが本音。それ故、新型「CX-60」の試乗次第では...と期待を胸にお店へ伺った。
早速ご対面となった新型「CX-60」。カタログから想像していた以上に威風堂々としていて立派なクルマだ。従来のマツダ車は流麗で美しいが、ちょっと線が細いというか、繊細なイメージだったと思う。「CX-60」はそれらとは一線を画す骨太な印象。やはりマツダとしては高価格帯・高付加価値へのチャレンジとなる「ラージ商品群」のトップバッターなだけに表現方法にも変化を感じる。
ただ本音を言えば「一目惚れ」するようなインパクトは受けなかった。もう少しラギット感のあるSUVらしさを備えるか、逆に「美しい」と惚れ惚れするようなデザインを目指すか。ちょっと曖昧さを感じてしまうのが惜しいところ。(特に後ろ姿にその迷いを強く感じる。)
室内に乗り込んでみると、既に評価の高いインテリアの質感の高さには驚かされる。第6世代(魂動デザイン)以降のマツダ車はインテリアの質感向上に取り組んできたが、全般的に暗い(笑)のがちょっと憂鬱に感じていた。その点「CX-60」は質感だけではなく、華やかさもあって好印象。既存モデルもこの路線で改良をお願いしたい。
いよいよ直列6気筒の3.3Lディーゼルエンジンを始動し公道を走り出す。
まず感じるのは、エンジンの存在感。無闇に静粛・静音を追求するタイプではなく、適度にエンジンサウンドを聴かせたいのだろう。特に、直列6気筒エンジンを高回転域まで回していったときのサウンドは一聴に値する。当然、その時のアウトプットも相当なもので、1910kgの巨体を軽々と加速させていく様は圧巻。また、こちらも新開発トルクコンバータレスの8速ATも切れ良くスパッスパッと変速していくからシームレスな加速感が味わえる。
走っていると、頭の中ではオロロンラインで日本海側を北上し稚内を目指すイメージが湧いた。このクルマで長距離ドライブしたら快適でしょうね。北海道一周(約3000km)の旅には最高のパートナーになりそう。
一方で、このモデルは48Vのマイルドハイブリッド(モーター出力は16.3ps/15.6kg-m)を備えるが、ゼロ発進時でもモーターの存在を感じなかった。
マツダらしく速度域の高い欧州志向の味付けでモーターは常に縁の下。国内市場では電動感のあるモーター走行が持て囃される傾向なだけに、市場の評価がどうなるか少し心配である。
個人的には、この程度のアシスト量なら高価なハイブリッドシステムは不要。純粋なディーゼルエンジンモデルを是非試してみたい。車重も約100kg程軽くなるから、走りの印象もかなり異なるのではないかと妄想している。
ちょっと気になったのはエンジンの振動。大排気量のディーゼルエンジンだから、ある程度の振動は有ると覚悟はしていたが、その期待値よりも大きく感じた。特にアイドリングストップからの復帰時はドンッと大きめの振動があり、要改善。やはり、500万円を超える価格帯となれば、もう少し騒音・振動対策には気を配りたい。
テストコースは郊外の直線道路が大半で、ハンドリングについて評価出来る状態ではないが、ボディサイズや重量を考慮すると、かなり操縦性は高く、ステアフィールも爽快で良かった。ブレーキは最近のマツダ方式で、踏んだ分だけ効くタイプ。さらに言えば、ステアリング・シート・ペダルの配置が適切で、好みのポジションがサクッと取れるからストレスがない。こういう基本的なところはマツダ車共通の美点。
各部で酷評された「脚の固さ」については、まぁ許容範囲かな。確かに、低速時は路面の凸凹を素直に拾う傾向が有るが、速度が高まると安定してくるタイプ。日頃乗っているクルマによって評価が分かれるか。ただ、やはりこの価格帯のSUVとしてはもう少し鷹揚かつしなやかにいなすような味付けの方が国内市場では好まれるだろうね。ドイツ系のSUVなんかは結構固いけどね...(汗)
そろそろ結論を。
新型「CX-60」はマツダ渾身のモデルなだけに、随所にこだわりを感じさせるから、マニアとしては語るべきポイントが多い。今回の試乗ですべてを理解したとは到底思えない。しかし、逆に言えば一般的なユーザーにとって理解が難しいクルマなのかもしれないと思う節もある。
今回試乗した48vマイルドハイブリッドモデルはモーター駆動をほぼ感じさせない味付けだから、割安な軽油価格と、実質的には良好な燃費が得られたとしても、国内での評価がどうなるかは注視したい。
個人的なマイカー選びの目線で言えば、価格も手頃な純ディーゼルエンジン搭載車もしくは、鼻先が軽くなる2.5Lの4気筒ガソリンエンジン搭載車に興味をもっている。こちらは12月以降の発売開始となるから、改めて試してみたい。
とはいえ、全長4740mm×全幅1890mmに達する巨大なモデルをマイカーにするのはやはり気が重い。現時点ではそれらを払拭するほどのインパクトはなかった。
試乗後、比較のため「CX-5」のXDフィールドジャーニーにもチョイ乗りさせて頂いた。正直に言えばコッチの方が好印象だった。やはり熟成の進んだモデルなだけに「ん?」と気になるポイントは少なく好印象だった。
とは言え、コレも2.2Lのディーゼルエンジンが鼻先の重さを感じさせるから、2.0Lのガソリンエンジン搭載車を試してみたい。
...結局、色々乗り比べるとより軽量・コンパクトなクルマの方が良いという結論になってしまう。これは好みの問題だから仕方がないですね。

↓比較のためチョイ乗りしたCX-5のXDフィールドジャーニー
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Posted at
2022/09/18 09:06:20