VW東京さんの御尽力で次期愛車候補としても有力な「新型ポロ」を思う存分走らせて貰える機会に恵まれた。たった12kmしか走行していない完全なおろしたての新車をお借りしました。先日も20分程度の
ショートインプレッションを書いたが、かなり好評のようでアクセス数もうなぎ登り。今回は約300kmほど走らせていただきました。
まずは簡単にスペックのおさらいを。全長3995mm全幅1685mm全高1475mmホイルベース2470mmで車重は1080kg。エンジンは1.4Lで最高出力85ps/5000rpm 最大トルク13.5kg-m/3800rpmを発揮。ミッションは7速DSG。今のところモノグレードで「Polo 1.4 Comfortline」が203万円(税込)となっている。我が愛車のマツダベリーサ(全長3975mm全幅1695mm全高1530mmホイルベース2490mmで車重は1100kg)とサイズ的にはかなり近い。全長・全幅は誤差の範囲だが、違いはポロの方が55mm背が低いこと。更に言えば、Aピラーがグッと倒れ込んでいるので2台を並べると数値以上にポロは背が低く感じた。
先代のポロにも幾度と試乗してきたが、先代と比較して新型はデザインでエモーショナルになった分、視界や室内の明るさという意味では退化した。ここは好みの別れるところだろう。
エンジンを始動させてまず驚くのが、その静粛性。最近のVW車は随分と静粛性に気を配る様になったらしい。つい最近までVW=騒がしいっていうイメージだったんだが。エンジン音などのメカニカルノイズが小さいと言うよりは防音・遮音効果が高い様だ。金庫のような重めのドアを「バスッ」と閉じれば、かなり外部の喧騒から隔離される。まぁ個人的には静まり返ったVW車って違和感というか、寂しい感じがあります....。電動油圧パワステは(タウンスピードでは)結構軽い。私の好みではもう少し手応えがあってもイイが、女性ユーザーにはこのセッティングの方が好まれるのだろうか。
ソフトパッドが惜しげもなく使われるインテリアは造形的にもゴルフ6との近似性を感じさせる。「1.4 Comfortline」は革巻ステアリングが装備されなかったのが惜しい。これと運転席用のアームレストさえ装備されれば、私はもう他には何もいらない。贅沢にも6スピーカーが奢られるRCD310(純正オーディオ)は素人の私の耳には充分満足の行く音を出す。あとはオンダッシュの小型メモリーナビ(PND)を装着すれば完成だ。
ポロを受け取り、混雑する都内を抜け自宅へ向かう事約90分。距離にして35kmの道のりだったが、マルチファンクションインジゲーターに表示される平均燃費にビックリ。オール一般道で帰宅ラッシュの時間帯だったから、ストップアンドゴーの多いトロトロ走行が50%以上を占める行程にもかかわらず、15km/L台をキープ。もしベリーサならば経験上11km/L前後。通勤でマイカーを使用するような方には無視出来ない数値だろう。
翌日は昼から夜にかけて、私の評価コースとなっている秩父方面へ向かった(往復で約200km)。この日も国道16号を中心にかなり激しい渋滞に巻き込まれたが、左上の写真の通り17.7km/Lを記録。10.15モード値17.0km/Lをあっさりと超えてきた。まだ各部に固さの残る新車であることを考えると凄いですね。(経験上、VW車の10.15モード値は簡単に超えられるが、日本車のモード値はまず無理ですね。)e-燃費.comによるホンダ・インサイト(現行型)の実用燃費データは19.8km/Lらしいから、ポロは充分にエコカーとして胸を張れる性能がある。(それでもエコカー減税の対象ではないというのが我が国の不可解なところだ。)返却間際に給油した際の(満タン法による)計測データも15.9km/Lを記録した。(燃料はハイオク指定である)
一方、燃費のために多少犠牲になった感があるのが走り。主にDSGのプログラミングと言っても良い。7段という贅沢な多段ギアをもち、徹底的にどんどんシフトアップして行くことで高いギアを保ち、常にエンジンの回転数を低く抑えることが当然のように基本。車線変更や交差点などで瞬発力が欲しい時に特に感じるのだが、アクセルの踏みこみ量に対して実際の加速が物足りない。上り坂や減速しながら交差点を右折し、再び加速したいときなどは「キックダウン」をして加速力を確保したいところだが、どうしてもクルマ側が3速以下にはシフトダウンしたくない様で、モッサリとした走りになりがちだ。結局、更にアクセルを踏み込む事でキックダウンをさせるから"グワッ(↑)"とエンジンの回転数が上がってしまう。自分はこの特性に慣れるのに結構時間を要した。クルマ側も多少は学習効果があるのか、後半は違和感が減っていた。
これからポロを試乗される方には信号発進時などは積極的にDレンジではなく、Sレンジを使っていただきたい。クルマが単純に非力なのではなく、燃費指向のセッティングなのだと言うことがお判り頂けるはずだ。10分程度のチョイ試乗では「力ないね~」で終わりそうな予感。
これまで乗ってきたDSGは過給器が組み合わせられることが多く、トルクの細い普通の1.4Lエンジンだからその特性が露呈してしまうのか、低速時のギクシャク感は多少残っていた。特にクリープ的なトロトロ走りにはスムーズさに欠ける面がある。初期モデルにはつきものとは言え、DSGには改良を期待したい。一方、高速道路ではさすが欧州生まれの安定感を披露する。都市部でストップアンドゴーを繰り返すよりは、郊外で比較的長距離を走るようなユーザーにマッチしそうだ。
203万円という手頃な価格や5ナンバー枠に収まるジャストサイズ。充実した安全装備や低燃費性能など、新型ポロはかなり話題も豊富でお買い得なクルマと言える。国産同クラスのライバルと比較しても価格差を納得させるだけの内容があり、充分な競争力があるだろう。
正直なところ、私は来年中の導入が予定されている1.2TSIに期待したい。現状の組み合わせでは走りに物足りなさが残るからだ。余談だが、ポロからベリーサに乗り替えたところエンジンノイズの大きさに驚いた。ベリーサはかなり静粛性にこだわったクルマなのだが.....。次回はゴルフ・ヴァリアントの「TSI Trendline」に乗ってみたい。ワゴン好きとしてはポロ1.2TSIと悩む対抗車種になりそうです。
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Posted at 2009/11/20 00:38:23 | |
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