
前ブログの
'64 シルバークラウド Ⅲ の近くにファントムが居ました。
普及版のシルバークラウドがシルバーシャドウになり、そのクラシカルルックを脱ぎ捨てても尚 RRのフラッグシップたるファントムはこんな古風でフォーマルな姿をまとっていたんですね。
美しいリヤクォーター・・・
堂々たるサイドビュー・・・
wiki 記事によれば
1968年から1991年までに374台が造られたそうです。
加筆分:
MF誌'75/5号 特集ロールスロイス 「試乗レポート ファンタム Ⅵ」(レポートは成江 淳 氏)より抜粋
『リムジンの世界というものが、近来かなり姿を変えてきた。すなわちシャシーを供給してボディを別々につくって組み合わせるようなものは、今やイギリスですら特殊な"クルマづくり"になってしまい、事実上このファンタムをつくるH.Jマリナー・パークウォードと、
デムラー・リムジンをつくる
バンデンプラス社ぐらいになってしまった。』
『しかしながら、現在もまだこのフォーマルな大型ボディを使わなければ格好のつかない世界が、特に伝統ある特別な国々に残されているのである。さる67年に、本誌でファンタム5世のレポートをお贈りしたことがあるが、当時はH.Jマリナー・パークウォードのコーチワークのほかに、ジェイムズ・ヤングの架装する ややなだらかなルーフラインとテールをもった同シャシーのリムジンがあり、そのときのテスト車がそうであった。パークウォード・コーチより多少ソフトなムードだったので、とくに個人オーナーに好まれていたようだが、今日は(現在は)フォーマルなパークウォード・コーチのフル・シックスライト・リムジンのみが生産を続けられている。』
『当時ジェイムズ・ヤングを選んだような人たちは、今ではシャドウ、あるいはコーニッシュで満足している。そんな時代感覚の違いもあるように思える。』
『ドアは(よく言われる冷蔵庫のドアどころか)お蔵の扉を開け閉めするように重い。』
『ショファーズ・ポジションはさすがに高い。』
『両フェンダーが良く見えるので、運転は外観から想像するよりずっと楽である。』
『V-8 6.2Lに加えてオールパワーシステムなので、この巨体を動かすのは思いのほか容易である。』
『フロントシートでは文字通り静粛である。ローレンス・ポメロイの名句の如く、まさに時計の音がこの高級車でいちばん高い音だということを思い出しても、そう抵抗を感じないほどである。』
『ファンタムのリヤ・コンパートメントはよく応接室に例えられるが、、事実は非常に厳しい階級制度をデザインの主題に置いている。(御者台つまり運転席はパティションによって遮られている他、リヤシートは完全に一段高い位置にあり、侍従や秘書の座るべき前の折りたたみ式シートもきわめて低い)。したがってこのクルマのオーナーは、それだけの格差に匹敵する身分を持ち合わせていない限り、立派に見えず 不釣合いにしか見えない雰囲気なのである。』
『リヤはそれほどの感動はない(静粛性に関してフロントに比べ)。もちろんエンジン・ミッションのようなパワーソースからはだいぶ離れていて音の距離減衰のために、むしろ聞く事は難しい。そのかわりロードノイズと4速自動ミッションの変速ショックとかの音がフロント以上に聞こえる。』
『リヤ・コンパートメントの静粛性にかんする限り、シルバーシャドウはモダンな工法を駆使して見事な仕上げを見せてくれた。。やはりファンタムではその工法の旧式な事が最大のドロウバックとなっている。』
『しかし、しょせんファンタムはオーナーにとっても毎日の足ではなく、いわば階級の象徴のひとつとしての道具として、その威厳を保つ為に欠かせない存在である。』
『たとえば各国の王侯貴族のためには、ぜひ長くつくって欲しいと思う。皇室のパレード、国賓向けにはぜひとも必要だと思う。いっぽう忙しく活動する実力派ビジネスのエクゼクティヴたちには、ためらいなくRR社の伝統をもとに築かれた、最新技術を誇るシルバーシャドウのシリーズのほうをおすすめする。』
ランドールーフの例/MF誌'75/5号 特集ロールスロイス より
時代は大きく変わりました。
ブログ一覧 |
欧州車 | クルマ
Posted at
2015/09/01 09:19:28