
高校3年の秋・・・誕生日を過ぎて、即 自動車学校へ入校した僕は集中的に教習を受け、教習課程をスムーズに消化して行きました。
教習車の多くは330セドリック、スタンダードのコラムMT、ベンチシートと言う今ならマニア垂涎の的に成りそうな仕様。
そして数十台の内の3台程がS10#系のクラウンでした。このクラウンの中の一台は
『恐怖の○号車』
として、皆から避けられていました。
今思い起こすとハンドルの遊びが酷く(リサーキュレーティング・ボール式の昔の車には良く見られましたね・笑)、全体的にバタついていて何か運転し辛い印象だったのを覚えています。
第三段階の実習の最後「見極め」で、教官に
『ゼブラゾーンを踏んだ』
とイチャモンを付けられ、余分な教習を受けさせられた以外はストレート。
巷間云われているのは
『自信過剰になるのを防ぐ為、よほど完璧でない限り 3もしくは4段階のどこかでわざと落とす』
と言う事。
さて・・・
自動車学校、それは運転免許を取得する為に交通法規や運転技術を学びに行く所・・・同時に複数の高校の多くの生徒が集まる所でもあります。
当然、トラブルは避け得ません(笑)。ある日駐車場に黒山の人だかり・・・
幼なじみで同じ学校だったH君、何かのトラブルで他校の誰かと自動車学校の駐車場でタイマン勝負のようです。
ひょろりと痩せたH君ですが、相手に見舞ったハイキックは首の辺りで逆に手で掴まれてしまいました。そのまま まさに『揚げ足』を取られそうになった軸足を華麗なフットワークで操り、難を逃れました。
結果、H君が反撃し勝ったのですが H君の父は生業を持っていたものの所謂 極道に近く、故に相手がその事を知ってか知らずか 僕としては
(拙いヤツを相手にしちゃって)
と思いました。ま、彼が負けたのは不幸中の幸いだったと言えましょう。
いつごろでしたか・・・お互いが運転免許を取得したあと、H君と街でバッタリ出会った事があります。
僕は通りを徒歩で・・・路地から出て来て一旦停止したボロい510ブルの4ドアにH君が。
「お~!!久しぶり!!」
なんて。
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先に免許を取ったクラスメイト達が僕を迎えに来てくれたり・・・
夕暮れ時の自動車学校はバイクやクルマが集まり排気音・吸気音・ステレオサウンドが入り乱れる一種独特の雰囲気が漂う場所だったのです。
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卒業試験=卒験。
1月の大雪の朝、卒験に臨みました。
コースは交通量もある狭い道、しかも早朝ゆえ除雪されていない凸凹で最悪のコンディション。
助手席の教官以外に3人、運転する受験者と次の受験者2人は後席に。
僕の前のヤツは、緊張してカチカチになっているのが良く分かりました。
対向車が来て、路肩に駐車している車の後方で停車すべきなのに 彼は判断を誤り反対車線に出てしまったのです。
もちろん事故には成りませんでしたが、コレでアウト。
無理もありません・・・路上に出て間もない「ひよっこ」がただでさえ緊張しているのに、雪で凸凹の路面をちゃんと走らせるのが精一杯。
しかし対向車さえ無ければ、彼は受かっていたかも知れません。
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ある日曜日、僕が運転免許を取得した後、未取得の友人I君を
ギャランに乗せて別の自動車学校へ行きました。
そこは日曜日に限り教習コースを無料開放していたのです。
今でもやっているんだろうか?そんな事。
免許保持者が横に乗ると言う条件付だったと思います。そして、手続きらしい事をした覚えもありません。
まず僕がコースを運転しましたが、調子に乗って爆走(笑)
キキ~!!!
過大なロール、そして 細いバイアスタイヤは簡単に悲鳴をあげます。
I君は興奮して
『俺にもヤラせてくれ~!』
なんて。
他にも何組かの一般者(車)がいましたが、よくも通報されなかったな と。
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ついでにもう一つ『自動車学校』の思い出を
学校側は合格率を上げる為に必死で生徒に追い込みを掛けます。
卒験のあと、最後に免許センターで受ける学科試験の為の補習授業での事。
何気に隣の席の女子の回答を見ると、間違っている。僕は小声で
「それ違う。正解は○(×)やろ。△が□だから正解は・・・」
答え合わせの時に、いくつかの問題で僕の指摘が正しかった事が判明しました。
授業後、僕は彼女と何かしゃべりましたが、それは試験の事だった筈です。
その数日後、クラスの女子Y田から言われました。
『ベイカー君、この前 車校の補習授業で隣のコと話したやろ?』
「ん?ダレ?」
正直僕は忘れていましたが
『あのコ、ベイカー君と付き合いたいって言ってるよ。』
「・・・」(確かにしゃべったけど、どんなコだったっけ?)
全く意識していませんでしたが、決して悪い印象ではありませんでした。
どうやらY田の小中学時代の友達のようですが、補習授業の時 僕は私服だったのに、短時間で良く調べられたモンです。
僕には
M江が居ましたし、春には地元を離れる事が決まっていましたから・・・でもハッキリ返事もせず。
また数日後に言われました
『ど~すんの?あのコの事!』
「う~ん」(ハッキリ断れよっバカ!優柔不断!^^ いや それにしても、Y田はM江の事知ってるんだろうか?)
M江が手繰った糸が、僕の学校の女子の誰かに当たった事は間違いありませんが、それが誰なのか未だに知らないのです。