先週末、シロッコを少し動かしたら、オイルパンの直下に直径15cmはあろうかという、大きなオイル滲み…(汗)
「ん?!フィルター交換した時にこぼれたオイルが、どこかに溜まってて、それが下まで垂れたのか? それともフィルターの取り付けに問題アリ?(ちゃんとはまっていない)」
と思ったのですが、どう見ても滲みを作ったオイルの量が多すぎる…。
オイル溜まりとまではいかないものの、シミの中心部分は垂れたそこそこのオイル量で光っているではありませんか…。
すぐさま地面にはいつくばって車体の下を覗くと、オイルパンがオイルで滲み、うっすらとした雫になりかけています。
無論、オイルパンをキャッツアイや路上の落下物にヒットさせたような記憶は一切、ありません。
先日オイル交換するまでは漏れていなかったので、漏れの原因はどうみてもドレンボルトが怪しい…。
手持ちのラダーレールを使ってできた車体下の狭い隙間へ無理やり頭から潜って、ドレンボルトを確認したところ、やはりドレンボルト周辺にだけオイルが滲んでいて、どうやらオイルが漏れた箇所はドレン周辺で間違いは無さそう。
▲パーツクリーナーで綺麗に拭き掃除した直後の状態
暫くの間、目の前僅か十数センチの距離でじっくりと観察していましたが、オイルが漏れてくる様子はなし。どうやらジワ~っと、かなり時間をかけてゆっくり漏れている模様…
「珍しいな~、いつもならこんな素人じみたイージーミスを起こさないハズだけど…。
まさかとは思うけど、ネジ山でもナメたか?(冷汗)」
などと、勝手に交換作業してもらった店長のせいだと決めつけ、少し増し締めすれば漏れは直るだろうと高を括っていたのですが、ドレンボルトの締め具合を確認すると、チカラを入れてもビクともしないほど、しっかりと閉めこんである…。
この瞬間、これ以上の増し締めはオーバートルクで危険と判断。
最悪、オイルパンのネジ山部分を歪ませるか、ネジ山をナメてオイルがダダ漏れになってしまう最悪のパターン。
応急処置として、手持ちのオイル(匠オイルの残り)を少し補充してから、きちんとプロに診てもらうことにしました。
秘密基地へ向かうと、既にリアアクスルをバラしたクルマがリフトアップされていて、リフトが使用不能。
やむを得ず作業場のフラットな場所で、シロッコのフロントを車体左右からジャッキで持ち上げてドレン周辺を確認すると、エンジンの熱でオイルが温まったせいか、早くもオイルが滲み始めていました。
ボルトの締り具合を確認してもらいましたが、やはり自分と同じ見解。
きちんと締めこまれているから、これ以上、無理して増し締めするのは返って危険。
『見た感じ、ドレンボルト周辺のオイルパンには全く問題が無さそうだから、多分ドレンボルトとパッキンの相性が悪いんだな…。こりゃオイルを全部抜いてドレンボルトを外さないとダメだわ…』
一瞬の早業で別なドレンボルトに差し替えられないかと思い、純正ドレンボルトを持参で行ったのですが、どれだけの早業でドレンボルトを差し替えたとしても、ジャッキで傾けた状態では作業場内にオイルをブチ撒けてしまう危険があるし、まだ冷えきっていない高温(まだ80℃以上)のオイルを作業者が被ってしまう危険もある。(寝そべった仰向けの作業姿勢では絶対に回避不能)
さらに再発防止のためは、漏れた原因をきっちりと追究した方が良い。
しかし、交換したばかりオイルを捨てるのはもったいない。
(交換後の走行距離は僅か10kmちょい。フラッシングにすらなっていない短距離)
まさかドレンボルトを外して、またオイルを入れなおす羽目になるとは…。
そこで一旦、綺麗なオイルジョッキかバット(容量5L)へ、エンジン内部のオイルを全部抜いてから、ボルトを外して確認することになりました。
しかし入れ物がバットだともう一度、オイルを戻す時にこぼしてしまう可能性があり、抜いて置いてある間に異物混入の危険もあるので、オイルジョッキを車体の下に置いて溜まっているオイルを受けることに。
ところが今度はジョッキの入り口が狭く、勢いよくオイルが出ると、ジョッキでは受けきれずにやはり大惨事になってしまう…。
そこでドレンボルトは完全にオイルが抜け切るまでは外さずに、少し緩めチョロチョロと出る程度にして、オイルが抜け切るまで暫く待ち。
(傍から見るとかなりシュールな光景で、写真を撮っておけばよかった…)
オイルが全部抜けてから、ドレンボルトを外した店長が…
『あぁ…コレが原因だ。純正のドレンボルトと見比べてみて。
純正のボルトはボルトの付け根がテーパーになってるでしょ?
でも、この社外のボルトはテーパーになってない。
だからパッキンのセンターがズレて僅かな隙間(1ミリにも満たない隙間)から少しずつ漏れちゃったみたい。厚手の潰れるパッキンじゃないとダメだったみたいだわ…。
もっとよく確認すればよかったゴメン、ゴメン。
でも、今時潰れるタイプのワッシャーなんて、ウチの店じゃ殆ど使わないぜ~(苦笑)』
▲VW純正ボルトの写真を撮り忘れたので、代わりに拾い画像ですが、わかりやすい参考例。ボルトの付け根部分がテーパー形状になっています。コレがポイント。
▲オイルが漏れたボルトがコレ。
ボルトの付け根部分がネジ山よりも狭くパッキンがズレやすい。
一段高くなっている部分がない。その代わりにボルトのアタマにツバがついていて、パッキンを大きく抑える構造。
ネジ山の根本部分がテーパー形状になっていると、閉めこむだけで自然とセンターが出て、オイルパンへの密着度が高まります。
しかし今回、オイルが漏れたチタン製のマグネット付きボルトはネジ山の根本が少し細くなっており、ワッシャーを入れて振るだけでチリチリと金属音がするほどの遊びがたっぷりだとわかります。
今までドレンボルトの細かい形状など、あまり気にしたことがありませんでしたが、また一つパーツを選ぶ際の勉強になりました。
ではなぜ、前回このドレンボルトではオイルが漏れてこなかったのか?
という疑問がわいてくるのですが、その答えがコレ▼
▲左が漏れたアルミのワッシャー。
右が漏れ無かったドレンボルト付属のワッシャー。
今後、自分でワッシャーを調達するためにボルトに付属されていたワッシャーを保管しておいたので、じっくりと違いを比較することができました。
付属していたワッシャーは、漏れたワッシャーよりも少しだけ大きい(幅広)のがわかります。
内径はどちらも同じ13.8ミリですが、厚さで0.5ミリ、外径は2ミリの差。
内径が同じで外径で2ミリだから、ワッシャー自体の幅がたった1ミリ違うだけ。
しかし、このたった1ミリ違うだけでも漏れてしまうことがあるようです。
オイルパンのドレンボルト穴周辺は厳密に平坦に出来ているわけではないので、パッキンが小さかったり、薄かったりするとお漏らしすることがあるらしく、今回はそれに加えて、パッキンのセンターが僅かにズレたという複合的な要因でお漏らししたのだろうという結論に至りました。
滅多にあることではないけれど、極稀に起こるクルマがあるらしくて、どうしても漏れが収まらない場合は、高耐熱・耐油のシリコンガスケットをワッシャーの両面に塗布して対処する時があるとか。(大抵の場合、挟むワッシャーの種類を変えれば解決する)
念のため純正のドレンボルトに戻し(本当は純正ドレンボルトも使い捨てです)、新品のパッキンを使用して、一度抜いたオイル(4.7~4.8L程度)をもう一度エンジンへ戻してゲージで確認したところ、ゲージのMAXの目盛を越えていて少々足し過ぎ…。
『いつもガンガン、エンジンをブンブン回しているから直ぐに減るよ。
これくらい多くても大丈夫(笑)』
だそうです…(汗)
「もうそんなにやたらと踏まないよ!」と反論したいところでしたが、断言しきれなかったのは自分です。(当たらず遠からず…)
たった1ミリ されど1ミリ…
クルマ全体のサイズからしてみたら、些細な大きさにも関わらず、エンジン内部でもないのにこんな不具合が起きることがあるのだと、自分の考えを今一度、改める機会になりました。
ちなみに、この3日間経過観察していますが、漏れている形跡はありませんので、オイル漏れは収まったと思います。