技術の手の内化。

トヨタは必要ならば半導体も作る。

　排気ガス規制に対応するにはＥＦＩなどのエンジンの電子制御化が必須となりトヨタも部品メーカーであるデンソウのＥＣＵを随時開発委託し購入していました。　エンジンの頭脳と言われるＥＣＵ開発が手の内になく、クルマ開発の中でブラックボックス化が進む様子に、これではトヨタはダメになると気付き、１９８０年代後半に内製化（手の内化）を進めたのはトヨタの歴史の中では有名な話です。　こうした内製化を、トヨタではのちに「技術の手の内化」と呼ぶようになり、その目的は技術のブラックボックス化を防ぐとともに、同様の部品を外部から調達する際に調達先の提案内容を正しく理解・評価し適正な原価・品質を確保することにあったと言われています。

　最初に目的としていたエンジンＥＣＵの量産が軌道に乗ると、ＥＣＵ内のブラックボックスとも言える半導体の手の内化が当然のように必要となり、半導体の開発から製造まで手を広げることになりました。　この手の内化を、お手本としたデンソーを始めとしてトヨタ関連メーカーであるアイシン・豊田織機などの既存メーカーにも幅広く手掛けさせて、お互いがブラックボックス化しないことで調達先の提案内容を正しく理解・評価し適正な原価・品質を確保したＥＣＵや半導体を、各社が開発製造できる対等の力関係を作り上げてきたのだと思います。　世界的な半導体不足と言われる中で、影響を最小限に収めているのは、案外タイトル画像のようなトヨタやトヨタ関連メーカーの内製半導体が支えになっているのだろうと思っています。