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機械加工で手仕上げやってる人には馴染みのツールだと思いますが、要するにバリ取り、面取りの工具です。
もちろん市販もされていますが、今回のこれはすり減って使えなくなったヤスリをグラインダーで削って作った私自作ツールです。これがまた汎用性が高く便利なツールで、今回10年ぶりくらいに作りました。

私がこの世界に入ったとき、現場でいろいろ教えてくれた職人さんがいまして、グラインダーだけでドリルをうまく研ぐ方法とか、ハンマーひとつで歪みや曲がりの矯正の方法などさまざまなことを教わりました。そのときにこのササッパの作り方と使いやすくするコツなども一緒に教わったのです。

その方は当時すでに72歳くらいだったのですでに他界されているのですが、戦中戦後のモノのない時代に育った方の知恵と工夫はほんとに素晴らしく「ないものは作る」「できないと言う前にどうすればできるかを考える」というまさに日本のものづくりの精神を持った方でした。こういう人たちが戦後の日本を復興発展させてきたんだなとほんと今さらですがあらためて尊敬します。まさに「亀の甲より年の功」です。

そんなわけでこのササッパは小さな工具ですが私にとってはとても大きな想い出がある工具なのです。

そんな老人たちを今の若者は「老害、老害」と蔑んでいるのが虚しいです。自分たちだっていつかはその年寄りになるというのに。
私の子供の頃はテレビでもよく「お年寄りを大切にしよう」って当たり前のように言ってましたが昨今はそういう言葉聞かなくなりましたね。

このあいだ某匿名掲示板でこんなことを意見を見ました「べつに職人に教わらなくても今はネットでいくらでもやり方を調べられるし」…

まだ世の中を知らない若者らしい意見ではありますが、こういう人は「見えることや頭でわかったことと、それが自分にできることはまったく別だ」ということがまだわからないんでしょう。

本やネットの情報、知識だけでものづくりはできません。

最初は懐かしさから衝動的に買って適当にレストアしておしまいにするつもりでしたが、すっかりオリジナルパーツや汎用パーツの開発車両みたいになっています。

ポッケやフォーゲルはそんなに数売れたバイクじゃないだろうし、現存する台数もカスタマイズする人もモンキーやゴリラに比べて極端に少ないだろうと思いますが、思っていたより大切に維持されている方が多いようで驚いております。

しかもポッケとかエンジン積み替えちゃう人が多いと思っていましたが、いやいや、けっこうノーマル状態を保ってる個体も多いみたいですね。オリジナルで作ったヘッドガスケットが思ったより枚数出ていて、現在3ロット目なので驚いております。それに何より私自身も皆さんとの交流を通してとてもいい勉強になっています。

これからもいろいろ思いつきでいじって楽しみたいと思います。