今日は本来我がピュンピュン号のこれからの計画について考察したものをUPする予定でしたが、気になる話しがありのっけから寄り道したいと思います。
高すぎるセタン価は悪い。そのような話があり、埼玉55は直接主張している方の文書を目にしていないので、何を根拠に悪いとしているのか判りません。セタン価を上げる要素は高度な化学の世界であり、知られていないことだらけです。
全2回に渡り、高すぎるセタン価の危険性についてどうなのか?考察して行きたいと思います。話しが小難しいので、寝るか、寝ないのであれば心して掛かれ。
第一回.ディーゼル燃料のセタン価向上効果に関する研究
第二回.セタン価向上剤のディーゼル燃焼排気への影響に関する研究
●1.前回までの振り返りとして「セタン価はなんぼ?高濃度アルコール基剤」の話の概略
(1)セタン価は最高60、一般的にJIS一号軽油(セタン価50以上)を給油した時、セタン価は52として、ディーゼルウエポンを規定量入れるとセタン価55となる。
(2)ディーゼルウエポンやスートルにはスカD禁止の高濃度アルコール基剤が含まれない。タンクタイガーはアルコール基剤であり、それを取って悪いと言っていると話にならない。マツダがなぜ高濃度アルコール基剤を禁止としているかの理由がわからず主張するのも、誰かが言っているというレベルの話にすぎない。
あくまで埼玉55の知見では、燃料系統のゴム・樹脂製部品に含まれる可塑剤が、高濃度アルコールに触れることにより溶け出して(触れなくても少量は出てきますが)、ゴム・樹脂製部品の機能を果たさなくなる恐れがあることをMAZDAさんは言っているのかと考えております。
(3)別ブログで、ディーゼルウエポンの成分は全く知りませんが、成分の揮発に伴い、ネトネトした粘性物質がみられるので、一応小分け容器の清掃をお勧めした。全体の希釈率より問題になる量とはならない。
●2.セタン価向上剤の主たる目的:冬季軽油の凍結を防ぐために流動点降下剤を投入しており、セタン価がJIS2号では45以上に低下する。
セタン価とはそもそも燃えやすさの数値指標であり、外気温の問題以外に、燃料そのものが燃えにくい(着火しにくい)状態となっており、この着火性の改善という事が目的の一つにあります。
もう一点は燃えやすくすることにより、ノッキングを防ぐ(軽減する)という事です。ノッキングは小さい物はわかりにくいですが、大なり小なりがしょっちゅう起きています。
ナチュラルサウンドスムーザーのおかげで感じ取れないだけです。ただ、ノッキングはエンジンにとってよろしくない現象です。
セタン価向上剤の効果として、他に、燃費の向上とか色々謳われておりますが、大きな目的はこの2点です。
●3.今回は、一般的なセタン価向上剤のセタン価を上げる仕組みについて、1994年の東大の研究論文がありますのでその存在をご紹介します。ここでは、埼玉55は解説しませんので、概略このような仕組みでセタン価向上剤はセタン価を上げている事を理解されたい。
(1)研究論文の主張を原文ママ引用する
ディーゼル燃料の前着火段階ではラジカル連鎖反応がおこっている。Fig.7に炭素数が5以上の直鎖炭化水素の前着火反応のスキーム5)6)を示す。
炭化水素はまず水素が引き抜かれてアルキルラジカルになり,そのアルキルラジカルに酸素が付加してアルキルペルオキシラジカルとなる。アルキルペルオキシラジカルがさらに連鎖反応を起こし着火に至る。
セタン価向上剤は熱分解によって生成するラジカルがこの連鎖反応を促進することによりセタン価を向上させていると考えられる。・・・これを検証した論文です。頭が、頭が痛い。ディーゼル機関を発明したディーゼルさんも、なぜ、軽油が燃えるのかはわかっていなかったと思います。
(2)この連鎖反応をもたらす成分
添加剤メーカーにより、この連鎖反応をもたらす数種ある成分のどれかを使っているのですが、何を使っているかは問題ではなく、この原理でセタン価を上げているということを頭の片隅に刻み込んで今日は寝ることとしましょう。
■寄道話し
調べてみると未知との遭遇ですね。私はその効果に恩恵を受けスカDを楽しみたいと思います。よく解らない事象は「インジェクターは必ず詰まる」の犯人はカルボンさん、どこの国の人?のようなものであり、正しく理解するのが難しい世界ですね。
リンク先の論文は、ぜひ、寝る前にベットで布団をかぶって読みましょう。
次回第二回はカオスの世界です。訳がわかんなくなります。結果、いいのか?悪いのか?見た人全員分からなくなります。じゃあ、見ない方がいいですね。化学のプロがいましたら、助太刀願います。
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2021/05/26 22:15:50