昨夜に引き続き、睡眠薬をばらまきます。今回は第二回。
第一回.ディーゼル燃料のセタン価向上効果に関する研究
第二回.セタン価向上剤のディーゼル燃焼排気への影響に関する研究
●1.前回はセタン価向上剤の主たる目的が、着火性の向上と、ノッキングの軽減であることを話した。それと合わせて、セタン価向上剤の作用原理について、研究論文をママ引用し、皆さんよく眠れたと思います。(埼玉55も爆睡でした)
●2.今回は、セタン価を上げるとによりディメリットはないのか?を考察していきたい。東京大学大学院の環境システムコース・環境安全システム工学より研究論文が出されており、それについて考察する。
セタン価向上剤のディーゼル燃焼排気への影響に関する研究
http://envsys.k.u-tokyo.ac.jp/cgi/res_paper/data/1330865742_1.pdf
(1)研究論文をそのまま引用する
本研究では、セタン価等の燃料性状が、ディーゼル燃焼排気中における有害物質の排出量に及ぼす影響を系統的に評価することで、PM およびPAHsの生成機構の解明と、環境に適した燃料を提案するための基礎的な知見を得ることを目的とする。。・・・これを検証した論文です。
★Fig.2、Fig.3 にそれぞれ、低負荷条件および高負荷条件におけるPM、SOF、soot の重量測定結果を示す。セタン価の増加によってsoot の排出量が増加している。着火遅れ期間の減少に伴って拡散燃焼期間が増加したことにより、soot が増加したと考えられる。
★また高負荷時においては、芳香族成分の存在する燃料C、D からのsootの生成量が大きくなった。これは前述したように、芳香族成分はsoot の前駆物質となりうるためであると考えられる。---ここまで引用。まずもって、用語がわかりません。sootは煤。それだけ理解しておきましょう。
(2)燃料には種類がある ここから埼玉55が理解できずに書いていますのでご注意ください。
種類ごとのセタン価向上剤「有りセタン価50・無しセタン価40」の燃料に対し、「低負荷・高負荷」運転を行い、soot(煤)の増加をFig.2、Fig.3に表しています。軽油の種類?パラフィン系と芳香族系との事で、産油地の油田により違いが大きい。ムムムッ。自分の入れている軽油がどこの油田なのかで結果が異なるのか?・・・ということになりますかね。
そういう事なんです。もうカオスの世界。Table1にH/C比(水素・炭素の割合)が記されておりますが、パラフィン系と芳香族系では大きく性状が異なりますね。ブレンドされていたらどうなるのか?業転(業者間転売)の場合は?と心配は尽きません。心配するのは埼玉55だけだろう!
(3)原産国別の輸入量データより
別途、経産省と石油連盟の情報からエネオスがまとめた原産国別の輸入量データがあり、それによるとサウジアラビアを代表とする中東湾岸諸国産が89.6%とほぼほぼを締めており、まず、89.6%の皆さんは混合基原油(パラフィン基原油とナフテン基原油の中間の原油)由来の軽油を入れており、芳香族炭化水素の煤が多くなるという特性には当てはまりにくいと考えます。歯切れ悪すぎ。
(4)石油便覧によると
a.パラフィン基原油:パラフィン系炭化水素を多量に含んだ原油をいう(ミナス、大慶)
b.ナフテン基原油:ナフテン系炭化水素を多量に含んだ原油をいう(ベネズエラ)
c.混合基原油:パラフィン基原油とナフテン基原油の中間の原油をいう(中東原油89.6%)
d.特殊原油:一般に芳香族炭化水素を多量に含む原油をいい、種類が少ないので特殊原油と呼ばれている(台湾、ボルネオ:0.9%)
◆原産国別の輸入量
https://www.eneos.co.jp/binran/document/data/pdf/25.pdf
◆エネオス石油便覧 かなりの情報があります。
https://www.eneos.co.jp/binran/index.html
●3.研究論文との関係は?
研究論文は、実験の条件が大きく異なります。自分のGSの油田がどこかなんて、店長も知らない話で、知るすべもありません。ただ、実験で得られたデータはひとつの事実であり、そのままスカDにセタン価60を適用した時の状況に重ねることはできなくとも、芳香族炭化水素を多量に含む原油由来の軽油にセタン価価向上剤でセタン価を上げると、高負荷運転時にsoot(煤)の排出量が増えるという現象は否めない。
●4.結論
・煤が増えることがあるかもしれないということを気にするのはやめましょう。
・中東湾岸諸国産の89.6%の方々は枕を高くして寝れます。
・煤が増えたという体験がある人は、ガソリンスタンドを変えてみましょう。
・煤が増える事で悪い影響があると考える人は、予防の為にスートル入れましょう。煤は比較的簡単に燃える。本当に悪いのはオイル由来のアッシュです。
・セタン価60何が悪い?について他には思いつかない。
■寄道話し
調べてみるとよく解らなかったですね。ここはぜひメーカーさんで、煤が減るのか?増えるのか?スカDで試験して公開されるとスッキリしますね。いい結果だとセタン価向上剤がみんな倍ほど入れるでしょうし、悪い結果だと、スートルの併用率も上がりますね。私は排気系の煤はどうでもいいので、セタン価55を常にしておりスートルも愛用しております。DPFは煤で詰まるのではなく最後はエンジンオイル由来のアッシュでつまります。
論文のまとめでは:PM およびPAHs の排出量削減のためには、水素添加などの方法による軽油の低芳香族化と軽質化が有効である・・・とあり、水素系の作用を与える添加剤があるのか?気になりますね。収穫は石油便覧。眠剤代わりに読み漁ろう。
本件調査中に、GSにより給油時の泡立ちが多いGSと少ないGSがあり、油田の違いなのか?添加物質の違いなのか?興味が湧いてきました。
論文はぜひ、寝る前にベットに入り、布団をかぶって読みましょう。
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2021/05/27 22:08:16