
過去ブログのタイプミス訂正:SEA粘度表は× 正しくはSAE粘度表です。
ここまでのお話でエンジンオイルの粘度を徐々に上げて行く必要がある事はご理解いただけたと思います。そしてその実行手段がMAZDAには無い。つまり、オイル管理についてはディーラーの手を離れるという事になり、どのように考え、どのように進めるのが良いのかという話をします。
理論ですので守らなきゃ!と特にこだわる必要はありません。いつも奥さんに怒られているお父さんは、オイル交換ぐらい自分の好き勝手にしましょう。・・・もう僕たちに怖いものは何も無いゾ!(お前に云われたら怖くなったわ!)
オイルは何を選んだらいいのか?わからないという人とお急ぎの方は★印だけ見ましょう。
●SAE粘度の把握方法
SAE粘度を細分化して、使っている(使いたい)オイルの粘度が40なのか45.5なのかを把握して、それをベンチマークとして、40だけどオイルミストやオイルの希釈が多い場合+5の45くらいを試す。それでも足りなかったら50くらいを試す。50超えでサルでも解る体感上の違いが訪れます。
ネットで40℃と100℃の時の動粘度がセンチストークス(cStやmm2/sで記載)で公開されているものがあります。書いていない場合ブレンダーだと聞いたら教えてくれます。それを例の表で40なのか45なのか換算します。
●オイルミストの確認方法
ガッツリ走ってオイルフィラーキャップをすぐ開けて、オイルミストがもうもうと長い時間出ている場合は×です。全くでないオイルはありませんが粘度UPで激変します。
新油からしばらくオイルミストが出てやがてなじんで落ち着きます(エンジンの中でオイルの重合体合成の化学反応が進んだ結果を埼玉55はなじみと言っています)が、スカD0W-30など鉱物油や部分合成油はなじむ前にオイルの寿命が先にきます。
なじみについては化学の世界なので説明が難しいので(株)オプティのエンジンオイル編の動画で概念をご理解下さい。C20~30というあたりの話です。関連リンク貼っておきます。
オイルキャッチタンクがあれば1000キロ走って何㏄捕集できたとかわかりやすい。冬場は大量の水分が混ざるので判断できません。ネットでNoack(蒸発損失率)が公開されていれば低ければ低いほどオイルミストが出ないので良い。
●エンジンオイルの希釈の確認方法
新油を入れたときに、「L」ジャストに合わせる。Lは5.1L、Hは6.1Lなので、1000キロ走ってDPF再生が5回で何㏄増えているのかで、1回あたりの増化量を計算する。この1回あたりの希釈量が増えていくのはインジェクターの劣化と関係があるので、LOG取りをお勧めする。
●オイル交換時期の考え方
MAZDAの走行距離による交換の話は完全に無視します。みんなそれでイタ目に合っているのですから。
正しい考え方は3つ
①アルカリ性がなくなったら交換する・・・これもオプティの動画に入っています
例:全塩基価 mgKOH/g 7.83(pHではありませんので)残存塩基価が1.00になる前に交換する。
プロの判定方法です。一般人がリトマスでチェックするわけがない。化学的に数値化して管理ができますが、オイルの5つの役割の内の1つだけの視点ですが絶対に外してはならないポイントであることは事実です。
数値では5~8くらいのものが売られており高いほど酸化に強いオイルですが2~3万キロ走らないかぎり1.0(この時点がpHの中性を指す)までは低下しないと思います。
煤やブローバイガスが酸化物質の軍団で、オイルの酸化を進めますがオイルを酸性にするまでは行きつかないと考えます。先に他の役割(わかりやすいのが希釈で潤滑性能)がダメになって交換するケースがほとんどです。
②オイルの希釈量で交換する
これは最も確実な方法です。一般人でも可能です。必ず冷間時にチェックしましょう。冬場は特に流動点降下剤の影響でインジェクターの霧化不良が起きやすく希釈速度が早くなります。
さすがに1000cc希釈は良くありません。前の検証ブログでは計算上W-30がW-20になってしまいました。経済性を考えれば500cc限度くらいで交換がいいでしょう。本来粘度がドンピシャでインジェクターの汚れやピストンリングの固着化が無い場合はほぼ希釈しません。
③添加剤の寿命で交換する・・・埼玉55の基準です。感覚派の方にお勧めです。(えっ?どの口がそういうこと言ってるんだ?)
埼玉55の言うところの3500rpmでややざらつきを感じた!という話です。耐摩擦・摩耗性能が落ち始めるのは2000キロで3000キロ強で効果が終了。添加剤のおいしい時期は短いのです。IF-WS2は持ちがいいとのことなので楽しみです。レッドゾーンまで回さない人は完全無視してください。
問題は清浄・分散剤、例のCaスルホネートでしょうか。自己消費しながら煤やガム質・スラッジ・汚れを溶かし込んで油中に分散させます。オイルは黒くなってもべつにいいのですが、それが本来の汚れ度合いを見えにくくしています。
指先に少量取って揉むとざらつきを感じる。固体系の添加剤を入れるとこの方法では判らなくなる。毒性が強いので丹念に指を洗いましょう。
④白い紙に垂らして汚れの広がりを見る。プロの簡易分析法です。標本がありそれと見比べて劣化具合を判断するようです。有料サービスなので埼玉55工房レベルではできませんが、標本を自分なりに集めてこれから研究したい領域です。
100均のスケッチブックでできるかな?新油、500キロ、1000キロ、2000キロ、3000キロ・・・での広がり方の違いがオイルによって変わりそうで面白い。(余計な研究するな。またスカDプロジェクトが遠のくゾ!)
さてさて、ここらからが少し難しくなるよ。
●エンジンオイルには基油の種類別にグループがあります。
・グループ1(鉱物油) ディーラーで入れている純正オイル。
・グループ2(少しいい鉱物油) ディーラーで入れている高い純正オイル。
・グループ3(VHVIとかHIVI)鉱物油を高度に精製しており、鉱物油であるが化学合成油として扱われている。高性能である。
少しわかりにくいのは、VHVIとHIVIは少し違って、VHVIをグループ3+とする考えがあるようだ。グループ3+は高温時の粘度低下がより少なく、実質グループ4のPAOと性能上あまり変わらないという話。これであっているのかな?
・グループ4(PAO)化学合成油
・グループ5(代表としてはエステル)化学合成油
スカDオイルは情報公開しておりませんので断定できませんが、オイルミストの量の多さ、オイルキャッチタンクに溜まる成分の色や状態よりグループ2の鉱物油に有機モリブデンを添加したものかと考えております。
●お勧めのグループは
合理的なのはグループ3の(VHVI)系です。性能とコストのバランスが取れています。グループ4やグループ5は少々高価です。高性能という点ではVHVIをはるかに凌いでおりますが、基油としての生産量が少なく、みんなが入れるだけの量は流通しておりません。
●自分で交換 or 業者で交換(黄色い帽子などの量販店は除く)
自分で交換する人は訳もない話ですが、業者で交換する人はグーネットピットで探すのがいいと思います。スカDエンジンのオイル交換時のリセット作業は知らない業者がほぼほぼなので自分でみんカラで調べてやりましょう。
埼玉55は峰岸モーターズさんで交換しています。自前で交換すると廃油が焼却処分となり、もったいないので業者で交換しています。業者はさらに引き取り屋に渡して、集められた廃油は再精製して重油とブレンドされ船舶燃料等で活躍しているようです。
業者さんの持ち込み作業代相場は2000円前後です。私の場合は20Lを3缶も置かせていただいており季節ごとのレシピでブレンドを楽しんでおります。おいしいコーヒーとお茶菓子がついて、1時間ほどプロの整備士と1対1で作業する側の人の意見を聞けるので安いもんだと考えております。
皆さんもこれを機会にいい出会いがあるかも ムフフ(違うだろ!)
●揃える材料(持ち込みの場合)
・オイル 下記の★を参照
・オイルフィルター 5000キロとか長めに乗る人は毎回チェンジです
・ドレンボルトパッキン 毎回チェンジです
●オイルの銘柄と粘度調整方法
(1)ブレンドで調整したい方
計算方法は以前のブログ2021年06月15日「オイル話の第?弾、ブレンド入門編(うなぎと梅干)」で細かくお知らせしましたのでそちらを参考にしてください。上から下げるのが特性変化が少なく、基本と考えております。
(2)一発で決めたい、安い方がいい方
W-40粘度の使えるオイルの種類は限られております。機能・性能・コストからするとTAKUMI10万キロ走行車用のものが一押しですが、車体の状況により選択肢は増えます。
★国内のブレンダーでネット買いができる比較的安価で実用的な化学合成油
① TAKUMI AID SEAL 10W-40(HIVI) DL-1相当 91.13(40℃) 13.64(100℃) 43.00(SEA粘度換算) 16,000円/20L
② MIKADO T-BLEND 5W-40(VHVI) C3 SN --.--(40℃) --.--(100℃) --.--(SEA粘度換算) --,---円/20L
③ LOVCA DEISEL-SPORT 0W-40(VHVI+PAO) DL-1 73.93(40℃) 13.22(100℃) 41.89(SEA粘度換算) 16,800円/20L
④ LOVCA EURO-SPORT 5W-40(VHVI+PAO) C3 78.00(40℃) 13.37(100℃) 42.29(SEA粘度換算) 15,800円/20L
これが今日の本題です。外の長い話は全て忘れてOKです。あと2~3銘柄ありますが、コストを重視しながら自分も入れていいと考えるものをチョイスしました。
②は確認中。数値が解ればUPします。良ければ冬ブレンド用に1缶キープ予定。
新興ブレンダーのラブカ人気ですね。④は本当にお買い得。10万キロちかくいくと、シール保護剤の入ったTAKUMIのAID SEALは貴重な存在です。
(3)お金はあるので、自分でいろいろやりたい方
ミカドさんでmPAO150を20L購入してください。あり得ないほど高粘度の基油です。これを粘度計算をしながらW-40のDL-1やC3へ少量混ぜて、+5、+10、+15と自在に作ることができます。
キチンとスポイトで取ってメスシリンダーで計量できるくらいの方にお勧めします。極少量で粘度調整できるので、元のオイルの規格(DL-1やC3)を維持できる。計算ではTAKUMIの10W-40にmPAO150を125cc混ぜるとSAE粘度は43→50.92となり160回分も使える。(確実に先に死んじゃう!)
(4)DPFは消耗品と割り切った方
これはもう、埼玉55のことでやりたい放題ですね。DPFとは全然関係ないレーシングオイルを入れたりして遊んでいます。(よく詰まらないね?あなたは天ぷらあぶらでも入れときな!)
皆さんのイメージとは逆で、レース用はエンジン保護のため、硫黄、リン、硫酸灰分がDL-1より多く(詰まり不純物が多いオイル)、DPF装着車には使用できません。
■寄道話し
何事もほどほどとか、丁度良いという事が大事ですね。mPAOは増粘剤として添加するにはこれ以上ないくらい理想的な基油ですが、売っている単位が20Lからとは。せっかくの一つの答えが無くなりますね。自動車整備工場ならいざ知らず、個人となると販売ロットがマッチしません。
TAKUMIのFPB投入で粘度48までは何とかなりますが、それ以上はデックさん方式(正統派、でも高いよ~)か埼玉55方式(やりたい放題個人ブレンド)になります。
国内ブレンダーの場合DL-1と書いているが、認定を取っていなくて(お金がかかるので)数値的にDL-1相当というのがほとんどではないかと思います。そこは会社として信頼ができそうなのか?がポイントでしょう。
■Q&A問答集
そんなに好き勝手やっていて失敗はないのか?今のところ重大事故発生はありません。1度ブレンド量を間違えましたが、すぐ気が付いて抜きました。
ディーラーに行ったとき何か言われないのか?オイルフィルターだけ純正をつけとけば、何も言われたことは無い。車検を受けても、オイル交換不要と云う。
おまけの告白:オイルフィラー締め忘れてエンジンかけて走って、べちゃべちゃになったことが2度あります。(それ重大事故だろ!)JR点呼方式「オイルフィラーヨーシ!レベルゲージヨーシ!EGRパイプヨーシ!」が大切ですね。