2022年06月24日
DPF圧損回復作戦(ヒドロキシアパタイト編)
この話しは詰まったDPFのアッシュを化学の力で溶かしてDPFを透過させようと言うお話しです。泡でやるDPFクリーナー系でアッシュを溶解してDPFを透過できるものは有りません。
こぉさんの治験ではアッシュの主体を石膏と仮定して、アルカリ性の石膏溶解剤で治験を行った。結果、それなりにフィーリングは改善されるが、DPF差圧は減った感が無い。埼玉55やakitaobacoさんでは効果があったが何かが違います。
では、詰まっている物が石膏では無いとするなら、三次勇太氏の論文情報ではヒドロキシアパタイトだったのではないのか?という事になる。
●アッシュの成分の違いはエンジンオイルの違い
市販のDL-1では石膏、スカDオイルではヒドロキシアパタイトと考えられる。中古で買うと整備記録書に記載されていればいいがほぼ解らないのではないだろうか。
これは三次勇太氏の論文よりスカDオイルを燃焼させ、疑似アッシュを作成して成分分析を行った際にCa,Pは検出されたが肝心のSが検出されず、他のオイルとは異なりリン酸カルシウム系の化合物がアッシュの主体という話より導かれた結論である。
●ヒドロキシアパタイト(HAP)の物性
難溶性とある。難溶性塩の溶解度は非常に小さく主に酸性度(pH)に影響される。酸で溶かしてイオン化した溶解液ごとDPFを透過排出する目論見だ。成分のCa対Pの質量比は3.29:1でCaが多い。
●溶解液
金沢孝文氏・梅垣高士氏共著の「リン酸カルシウム塩類-酸液系の溶解熱」の論文から塩酸とクエン酸でHAPを溶かした時の溶解量のデータが手元にある。
塩酸0.1% 150ml/1hで0.26g
クエン酸10% 150ml/1hで0.56g
難溶性と言われた石膏が薬液100ml/1hで8gだったことを考えると超難溶性と言え、時間比では14倍となる。トホホな作業だ。
●溶解液モデル
DPFに溶解液(クエン酸水溶液)を浸透保水させて溶かして、薬液をゆっくり加量しながら排出する作業から計算すると。
600mlの濃度10%なので、精製水540ml、クエン酸固形物60gで600mlの濃度10%となる。クエン酸は安いので循環させずに使い捨てするとして、精製水2400mlに対して、クエン酸固形物を240g溶かして600ml×4セット分(4h)の溶解液を作成する。
600ml÷150ml×0.56g×4セット=8.96g
●施工時間と回数
丸一日かけてラボベースの試算で8.96g、実際はDPFは不純物が多く、溶解度は若干落ちると思われる。これを数セット繰り返して60gあると思われるヒドロキシアパタイトの減量を行う事になる。時間についてはクエン酸濃度を上げて調整は可能かと考える。
●課題
ちなみにこの時のpHは1.42で20%溶液ではpH1.21となる。かなりの強酸性水溶液である。DPF筐体の鉄・鋳鉄は確実に錆びる。DPF本体はSiの焼成物なので影響は無いが、酸化還元の媒体として担持されている貴金属については実験できないので解らないというところが正直なところだ。樹脂やゴム類についてはSDSより攻撃性は低い事が解かっている。
pHを載せたがpHが低いから良く錆びるという事は無いので、スチール・アルミ・ステンレス・真鍮などベタな金属で腐食試験を行う事とします。
焼成した骨粒を溶けるのか?試験も合わせてやりたいですね😋
●逆洗はやりません
埼玉55方式は逆洗しない方式で、物理的作用をいれておりません。これはDPF下段のO2センサーだかが水没した時に必ず影響が出る為です。長時間強酸の溶液に漬けるとある程度の腐食は免れませんので、後でいくら水洗しても性能劣化は起こると考えております。
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Posted at
2022/06/24 19:13:33
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