
なかなかピンとこない解り難いが大切な話しです。
この試験結果は「資源エネルギー庁委託事業」で、(社)潤滑油協会が2020年3月に報告したものからの抜粋で、オイルの劣化に関する貴重な情報が掲載されており、読み取れる方は関連情報にPDFリンク先を貼っておきますので原文をしっかり読みこまれたい。
ガソリン車の超低粘度オイルによる省エネを目的とした試験と調査情報となり、ディーゼルエンジン用オイルとは若干の違いがあります。

※出典冒頭の報告書より抜粋
●W-16やW-8という超低粘度のエンジンオイルの成立要件
・油膜厚が極薄なので低粘度ということもあり、ポリマーによる増粘は無い。つまり走行でせん断による粘度低下は発生しにくい。
・摩擦低減のため、有機モリブデンを異次元的超高濃度で配合している。
・酸化によるスラッジ(有機モリブデンの死骸)発生がオイルラインの詰まりとなる事を防ぐため、ガソリンエンジンオイルとしてはC3規格(ロングドレンオイル)同等の塩基価6.14mgKOH/gとしている。アルカリ性が強く、発生した酸化物を分解するとこの値が減少し、これが無くなると酸性へ転じ酸値が上がり酸化物のスラッジが析出しエンジン内部が錆びます。
●有機モリブデンの効果
実験結果では6400キロ走行して、有機モリブデン濃度は280ppm低下している。スカDエンジンオイルではそもそもそれほど高濃度ではなく、想像では多くて200ppm程度の配合ではないかと思います。他のDL-1も同様。
・つまり有機モリブデンによる摩擦軽減効果は5,000キロ持たないという意味です。濃度50ppmを切ると体感上の効果が感じられなくなることより、計算上では3400キロ辺りで終わっていると思われます。
●塩基価の効果
オイルはアルカリ性。酸性になるとエンジンの金属パーツが錆びたりスラッジが大量に発生して沈殿しますので、アルカリ性を保たなければなりません。
・塩基価は6400キロ走行して4.96mgKOH/g低下している。1.18mgKOH/gとまだアルカリ性を保っており酸価は変動しておりませんので、あと1500キロほどこのオイルは走れる計算になりますが、早めのオイル交換が安全です。
・ACEAのC3規格のオイルは塩基価が6台が多くこの実験で使われたものと同等、DL-1では3~4台が多いと思いますので、特にDL-1のオイルで5000キロを超える使用は限界点に達する可能性がある事を理解しておかないとならないでしょう。
・ナロードさんが出している特殊な酸化防止剤(鎧系)のようなスペシャルな対策を打たない限り強靭なC3規格でも国内のストップ&ゴーやちょい乗りでのシビアコンディションでは8,000キロ持たない結果となっているようです。
・実験は実験室での疑似環境による結果データなので、実車環境では外気温・湿度・空気中の不純物・走行による振動・オイルラインの汚れ蓄積による循環量不足などの影響で、もっと厳しい結果となる事が考えられます。
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エンジンオイル | 日記
Posted at
2023/01/19 23:06:19