
オイル希釈というものを初めて聞いたのは、2012年12月に初めて先代のスカDエンジン搭載のKE型CX-5を新車購入した時です。
ディーラーの整備士より、徐々に増えてくるが故障ではありませんので気にしないように。ただ、定期的にオイル交換に来るようにと言われ、この人何言ってんだ?と思っていました。
平均的に月3千キロ弱走りますので本来毎月オイル交換です。ディーラーが言うには汚れはカーボン系ですが1万キロは大丈夫。という事で、半年毎のメンテパックにオイル交換を組んで、足らずは3ケ月に1回自費で交換しました。
新車からオイル管理がOUTですね。何でも話し半分に聞くべきですね。MAZDAが1万キロと言えば5千キロが限界でしょう。月3千キロ走れば、ひと月でスカDオイルは終わっており、残り2月は厳しい状況で9千キロまで走り、エンジンに負担をかけていたという事になります。
皆さんは私が距離を乗るからと観ているかと思われますが、走らない方がオイル的には厳しい状況となります。
■オイルの寿命への要因
・走行距離が多いと(添加剤による清浄・分散性が落ち、カーボンがコロニーのように集まり始めスラッジ化が進む)
・油温が低いと(90℃がベスト)チョイ乗りの低温での走行(油温が上がらないまま終わる)がオイルの劣化を急加速させる。
●さて、今日の話はオイル希釈が進むとオイル粘度がどのように下がるのか?を試算します。実証実験ではありませんので、実態は計算結果より厳しい状況かと考えております。
●スカDオイル 0W-30の場合
MAZDAはオイルに関して情報を出していないので新油時の100℃動粘度はわかりません。ここでは、仮に粘度30のセンター値を用いて計算します。
①5千キロ走行して、1リットル増加(5.1「L」が6.1「H」になった)。
100℃時の動粘度計算:(10.9×5.1+1×1)/6.1=9.28
★35(センター値)が20の上限に近い29前後の数値に5ポイント強低下しました。
②5千キロ走行して、1リットル増加(5.6「センター」が6.6「Hと×の間」になった)。
100℃時の動粘度計算:(10.9×5.6+1×1)/6.6=9.4
★35(センター値)が30の下限に近い30強程度の数値に5ポイント弱低下しました。
③5千キロ走行して、127.5CC(2.5%オイル希釈限界率)増加(5.1「L」が5.2275になった)。
100℃時の動粘度計算:(10.9×5.1+1×0.1275)/5.2275=10.66
★35(センター値)が35のままでSEA粘度で低下しなかった。
●まとめ
①は論外、②はギリ、③は全く問題なし
・軽油の100℃時動粘度を調べるのが面倒なので、1mm2/sを代入した。
・希釈のみで計算したが、オイルの掻き残し(オイル上がり)の燃焼も全ての車に起きており、1リットル増えていると実は1.25リットル増えているような話になります。
・スカDオイル粘度を中央値としたが、根拠は無いので、②も完全アウトかもしれません。
・面白いのは同じ1リットルの希釈でも、①と②のオイル量の違いで数値に違いがみられる。6.1リットル(「H」レベル合わせにすると、「X」まで行っても、30の粘度帯の下限で耐えているかと思われます。
●おまけ
5000キロ走って200キロ毎にDPF再生して1リットル増えた場合、DPF再生回数は25回で1000cc増えており、1回あたりの希釈量は40ccとなる。
5000キロ走って300キロ毎にDPF再生して0.5リットル増えた場合、DPF再生回数は17回で500cc増えており、1回あたりの希釈量は29ccとなる。
オイル粘度を変えずに、この量を観察していくと、インジェクターの霧化能力の劣化が判明します。詰まりは極端な悪化、摩耗は徐々に来るので気が付くと極悪な状況になっている。
ディーゼルウエポン入れてインジェクターの問題が改善しない場合は、詰まりではなく摩耗していますので、我慢できないレベルになると要交換となります。
◆レベルゲージのマーク間の容量
・「L」→「H」の増加は1リットル
・「H」→「×」の増加は1リットル
・「センター」→「×」の増加は1.5リットル
・「L」→「×」の増加は2リットル
◆SEA粘度規格 100℃の動粘度(150℃)
粘度:センター値、範囲下限<範囲上限 [上昇ピッチ]()カッコ内は150℃時の耐焼き付き
20: 7.45 5.60 < 9.30 [0.37] (2.60)
30:10.90 9.30 < 12.50 [0.32] (2.90)
40:14.40 12.50 < 16.30 [0.38] (2.90)
50:19.10 16.30 < 21.90 [0.56] (3.70)
60 24.00 21.90 < 26.10 [0.42] (3.70)
※150℃時2.6以上ないとオイル膜が薄くなりすぎて エンジンが焼き付くことがあります。
■寄道話し:インジェクターを変えたがオイル希釈が発生する場合は、オイルの粘度不足か、オイルリングの固着化が考えられます。
粘度は30を40にするとかある程度の手は打てますが、オイルリングの固着化は厄介です。上と下から対策を施します。
上は燃料に入れるタイプのワコーズさんなど、下からやるのは、遅効性のエンジンクリーナー(即効性は経年車には気持ちが悪いので止めておきましょう)でバーダルリングイーズなど。1万キロに1回はやっておきましょう。
上は、トップリングの上っ面でシリンダー壁との間で比較的、洗浄効果が出やすいかと思います。満タン2回(2本)くらい。
下が、セカンドリングとオイルリングで、オイルリングは構造も複雑で(関連URLに参考貼ります)、固着していなくても汚れが溜まり動きが悪くなるだけで影響が考えられます。
上だけやっても下には届かないので上下合わせ技で、根気よくやりましょう。