No.30(2012)マツダ技報 SKYACTIV-D エンジンの紹介 より
この話は旧型SH形式のスカD2.2に限ってのお話です。
冬場は、なぜ煤が大量発生してDPF再生間隔が悪化するのか?について、PCI燃焼の無煙燃焼領域について話をしようと思っていましたが、あまりにわかりにくいので、冷間始動時に限ったD-AWSについて解りやすい原文をご紹介します。
●6.1 未燃成分低減技術(マツダ技報原文ママ)
低圧縮比化および多量EGRの導入は,エンジンから排出されるNOxを低減させる一方で未燃成分であるHC/COは増加する。更に燃費を改善すると排気ガス温度が低下するため,触媒が活性するまでの期間が長期化する。これら問題を解決するため,後処理システムを前モデルのアンダーフット位置からクローズドカップルド位置へ移動させるとともに,エンジンスタート時にD-AWS(Diesel Accelerated Warm-up System)を採用して,触媒の早期活性を可能にする技術を開発した。D-AWS時は,排気ガス温度を上昇させるために★吸気を絞り,最大で★8段のマルチ噴射を行っている。D-AWS中のNOxはIDEVAで★内部EGRを利用して抑制している。D-AWS採用でテールパイプHC/COが20~40%低減でき,触媒の貴金属量を前モデルより低減することができた。
ちなみに、DPF再生時も8段の噴射で通常の2倍強燃料を吹いています。通りで燃費が悪い訳です。
●冷間時からのスタートは、つまり、吸気も排気も我慢してEGRをグルグル回しながら、燃料を倍(通常時は3~4段噴射)の8段噴射してるという話しです。D-AWS時は当然燃料リッチとなり、酸欠状態なので煤が大量発生します。マフラーに手を当てると、排気ガスの量が驚くほど出てこない事が解ると思います。煤を増やしてでも、NOXを削減したということです。
このことより、寒ければ寒いほど、NOX対策の触媒温度が上がるのに時間がかかり、冷間始動時のD-AWS時に車両を動かすと、煤の大量発生と燃費の悪化を招きます。恐らく水温が50~60℃?前後でエンジン内の何かが作動する音が聞こえてきますので、その辺りが切り替えポイントかと考えられます。
この解釈があっているのかは解りませんが、埼玉55はこの音がするまで暖気をしており、夏は早いですが今時期は5分くらいはかかっています。
●劣化ポイントとしては、D-AWS時は2種類のEGRで温度上昇を図っており、排気弁からのEGR逆流は内部EGR(かなり高温)といい閉塞する要素はまず無い、HOOT-EGR(やや高温)からの還流は外部EGRといい、煤によるEGR合流部分の閉塞が進んだ場合EGR量が予定より少なく、温度の上昇に時間がかかる事になる。
●やはり、DPFやインジェクターに問題が無くとも、SHエンジンの鬼門は5万キロ~8万キロともいわれており、早めのオイルミスト対策、RMC-3EによるEGRバルブからのEGR合流部分の清掃などを行うか、DSC洗浄でスッキリする事が大事かと考える。
●ディーラーで部品交換するコストは
①インマニ 材47,673円 工47,520円
②吸気シャッターバルブ 材32,763円 工20,790円
※インマニと吸気シャッターバルブを同時交換する場合は、吸気シャッターバルブの工賃は不要
①②合計で 材工127,956円。
ディーラーにインマニにくっついているEGR合流パイプの部分だけ交換できるのか確認するのも手である。物理的には可能な部分であるが、部品がインマニと分かれて取れれば可能であろうが、どのみちインマニは外さなければならないので、47520円の工賃はあまり変わらないと思われる。

Posted at 2021/11/19 07:51:50 | |
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