一般財団法人石油エネルギー技術センターのワーキンググループでJATOPと言うのがあります。重油がだぶついているので、本来重油のものから軽油を作って軽油に混ぜる研究をしています。設備投資の問題があり、右から左にはそうはなりませんがスカDエンジン(低圧縮タイプ)には激厳しい成分変化となります。
さてそのJATOPの研究成果発表会の資料がネットに転がっており、宝の山のような情報であります。その中からDOCの差圧グラフを抜粋して、DPFが詰まるのではなく、DOCが詰まる という話をします。(環境はセタン価43で小型配送トラック)
●DOCの詰まり
さいたま市内から池袋へ片道20キロを車で通勤しますと、70~90分かかります。チャリの方が早いと思われます。
その時DOC入口温度は150~170℃、失活寸前で、DOC内部に未燃焼燃料のHCが徐々に堆積して行きます。180℃を境に堆積する・しないで分かれ、250℃以上で堆積したHCが徐々に酸化分解するようです。

クロマトグラフの高沸点成分が溜まります。
●DPF差圧とDOC差圧(セタン価43の場合)

JE05試験を48回繰り返して試験した結果。
・DPF差圧は3.0→3.8(+0.8kPa)
・DOC差圧は0.4→2.7(+2.3kPa)
・48回のJE05試験中に4回DPF再生を手動で行っておりますが、DPF再生で余計に噴きかけられた未燃焼燃料がDOC内部に堆積している事が解かります。
・これはDOCは温度が低く、堆積したHCを酸化分解するより多くの新たな未燃焼HCを噴きかけられたため起こる現象です。トラックの手動再生装置固有のアルアル現象ですね。
・スカDエンジンはDPF再生中走行しますので、DOC入口温度は350℃を超え、この実験に使われた手動再生型の車両と比して結果は異なってきますが、やはり溜まりすぎるとDOCの酸化触媒の劣化を起こします。
●季節は冬、対策はかなり回して走る
セタン価43ですので、真冬の北海道というところでしょう。セタン価が低いと、燃焼室内での着火遅れが大きくなり、燃焼しきっていない未燃焼燃料(HC)がDOCに堆積しやすくなる。触媒入口温度が180℃以下だとドンドン堆積して行きます。
・アイドリングなど燃料リッチのマップは特に厄介そうですね。燃焼室で燃えなかった未燃焼成分なので簡単には燃えない物の集まりです。エンジンをぶん回して吹き飛ばすか(これは※埼玉55理論)、250℃以上で1時間以上走ると徐々に酸化分解され(これはDOC研究者の研究結果)ます。
※北海道時代は高速に乗るとギアを下げ、3500で10キロ位走ると、溜まっていたHCが白煙化してきれいに抜けていました。省エネ運転ばかりするのはDOCにとっては危険です。
●DPFクリーナーは?
ディーゼル2など差圧パイプから注入してもDOCはDPFの上にありますから、綺麗になりません。やるならDOCの上から温度センサーを抜いて入れるのが良いのかと思いました。詰まっている自覚のある方は試しに実験してみてください。
Posted at 2023/10/17 12:52:53 | |
トラックバック(0) | 日記