
今日のブログは、若干車関連の話をしつつも、直接的にはあまり関係のない話です。
昨日、ご覧になった方も多いと思いますが、「中国で急速に反日感情が高まっている」という話題がニュースになっていました。TV地上波でも取り上げられていましたね。
日本への印象が良くないと答えた人が、昨年から24.8%も増えて87.7%に急増しているとのこと。尖閣諸島を国有化した2013年並みに悪化しているそうです。そのときとは違って明確な理由があるわけではなく、SNSの反日的書き込みの影響と言われているようです。なにかヤバいことが起きそうな風潮になってきているんでしょうか‥‥心配です。もしも詳しい方がいらっしゃいましたら、もう少し解説していただけると幸甚です。
一方で日本も中国の印象は安定してずっと悪い(89%)ので、騒ぐ程のことでもないようにも思えます。が、日本では「関係は重要」と考える人が多い(67.1%)のに対して、中国にはそれが少ない(26.3%)というのが大きく違うところでしょう。
すなわち、日本人は
「中国は嫌いだけど、仲良くしておきたい」
と思っているのに対し、中国人は
「日本は嫌いだし、どうでもいい」
と思っていると。
そんな風土がどんどん醸成されていけば‥‥ヤバいでしょうね、普通に考えて。
昨日、そんなニュースに触れてしまったので、もう1か月以上も前の話なのですが、気になることを思い起こしてしまいました。日本ではほとんど話題にならなかったと思う中国による軍事演習の話です。
それは、対日本の話ではなく対台湾の話なので、中国視点からすると内政問題なんだから対日本と一緒にするなと言われそうですが、個人的にはかなり気になった記事です。
それがこちら:
https://cigs.canon/article/20241028_8415.html
これによると、中国共産党機関紙である環境時報にて、「中国は台湾のエネルギー輸入の封鎖ができるんだぞ」と、まるで脅しのように報道されていたというのです。ご丁寧に台湾のエネルギー事情の弱点に関する解説付きで。
(こういう報道が繰り返されると、中国国民の中に、自国軍の能力を誇りに思いつつ「調子に乗っているとそのうちやっちゃうよ」という風潮が醸成されていきそうです。)
そうか‥‥、軍事に詳しい人は当たり前に考えるのかもしれませんが、台湾有事ってこういうシナリオもあるんだ‥と思いました。
なんとなく、ウクライナやパレスチナで起こっている悲劇を見せられてきたせいが、実しやかに危機を語られることが多い台湾有事が起こるとすると、空爆と地上戦を想像していました。そうではなく、資源に乏しい島が故に海上封鎖をするのだと。まあ、そりゃそうか。太平洋戦争の引き金になったのも資源の輸入制限だっけ。
そんな一大事は早々起きないと信じたいところですが、想定しないことを何度も大規模演習するはずもなく、中国のやる気はゼロではないでしょう。中国としては、台湾にある設備をそのまま欲しいでしょうから、空爆ではなく兵糧攻めにするのは理に適っているとも言えるのかも知れません。海上封鎖してエネルギー供給を絶てば、現状の台湾の状況として比較的早い段階で電力供給ができなくなるそうです。そりゃ、一大事になるでしょうね。
こんな話を聞いても、台湾のことなので、日本にはそんなに影響がないのではないかと考える向きもあるかもしれません。が、そんなことはないでしょうね。
台湾には半導体産業が集積しており、時価総額が1兆ドル(150兆円超)規模の世界最大かつ世界最高技術をもつ半導体専業ファウンドリのTSMCがあります。釈迦に説法な詳しい方には、言わずもがなかも知れません。
世界覇者であるこのTSMCは、アリゾナにも先端プロセスの工場を現在建設中ですが(熊本にも建設したが最先端ではない)、今現在は、世の中中の最先端チップは、すべて台湾にたくさんあるTSMCの工場に依存していると言って過言ではないでしょう。
世界覇者は成長も著しく、10月単月で過去最高の1兆5千億円の売上がニュースになっていました。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO84688370Y4A101C2TEZ000/
一大ブーム真っ只中のAI用チップ(強者nVIDIA)も、iPhoneのAppleチップも、Qualcommの先端チップも、TSMCがなければ作れません。どんなに優れた回路設計技術をもっていても、TSMCの半導体プロセス技術がなければ最先端チップは作れないのです。ファウンドリとしてはライバルのはずのインテルですら、自社プロセスをあきらめてTSMCに製造委託しているくらいですから(挽回を狙っていると思いますが)。
TSMCは単に企業規模が大きいだけではなく、他に技術的に代替できるところがありません。世界最高峰の半導体製造装置を作る唯一無二のASML

も、TSMCがなければ新しい装置の開発すらできないでしょう。
例えば、トヨタが操業できなくなっても車は調達できますが、TSMCの場合はそうはいきません。性能が落ちるインテルやサムスンのファウンドリに移るしかないとしても、半導体プロセスを変更することは一朝一夕にはできません。
TSMC以外にも、世界的大手EMS(Electronic Manufacturing Service)の本社の多くが台湾にあったりします。EMSの工場は中国や東南アジアにあっても、その頭脳の多くは台湾にあるということです。台湾が封鎖されたりしたならば、それらの影響も少なからずあるでしょうね。
みんカラ的視点で見ると、台湾に自動車メーカはありませんが、車そのものに使われる電子部品、あるいは車の製造装置に使われる電子部品の依存度は高いでしょう。世界中の自動車産業に大いに影響が出ると思います。
また、話のスケールが大分落ちてしまいますが、欧州の自動車メーカ純正品をはじめ、高級ホイールの一大生産地のはずなのでその影響も大いに考えられます。
台湾が海上封鎖されるなんてことになれば、アメリカや日本、西洋諸国は大混乱になるでしょうね。特にTSMCの売上の大半(2年前で売上の66%)を締めているアメリカは、特に影響が大きいはずです。
もしもそうなると‥‥、アメリカはどう動くのでしょうね? 中国と本気でやり合うことはしたくないでしょうし、でも放ってはおけないでしょうし。
で、日本は? 遺憾砲を打って、指を咥えて見ているだけ‥‥かな‥‥。
イエメンのフーシ派がドローンなどによる威嚇で紅海を事実上封鎖しているため、注文したポルシェが喜望峰ルートになってしまって届くのが遅くなる影響を受けているような方がいらっしゃっることと思います。日本近海で似たようなことがもしも起きたならば、日本への直接的影響はそれとは比べものにならないことになりそうでもあります。それでも、有効な手はほとんど打てないんだろうな。
車趣味を楽しめるのも、呑気にみんカラにブログが書けるのも、平和があってこそです。本当に台湾有事なんてことにはなって欲しくないですね。どうすれば回避できるのか、何かできることはないものでしょうか。
さて、そんな有事の場合を考える前に、
「台湾はアメリカから半導体産業を盗んだ」 [*]
と、公言しているトランプさんは、大統領に就任した後、対台湾で何を言い出すのでしょう‥‥?
変なこと言い出さないでね、と、切に願っております。
[*] わかりやすい言い回しをしているだけかもしれませんが、同一国内だったら名誉棄損や威力業務妨害で訴えられるレベルに思います。泥棒扱いとは、強者はなんでも言えるんだなぁとびっくりします。
実態は、手厚い国策支援も含めてですが、アメリカも日本も単に台湾に研究開発競争で負けただけでしょ!? って思います。
Posted at 2024/12/03 20:59:43 | |
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