
昨日の情報収集の補足です。
備忘録として自分向けに書き残しておくことを兼ねて、
ソレノイドバルブの逆動作について、もう少し書いておきます。
355用のソレノイドバルブ(部番: 159177)はこれです。
車に取り付けてある姿勢になるように写真を回転させ、接続先を追記するとこういう感じになります。

出口と書いたニップルの先に
排気バイパスバルブが取り付けられ、入口のニップルの先にエンジン吸気負圧と繋がる
負圧タンクが取り付けられます。
ソレノイドが通電されていないときには、出口は大気解放となるので、排気バイパスバルブは
平常時の閉じた状態となります。
ECUがバイパス経路を開ける必要があると判断したとき(あるいは、手動スイッチで操作したとき)、ソレノイドが通電されて出口が負圧となり、排気バイパスバルブが動く仕掛けです。
このフェラーリ純正のソレノイドバルブに
似た形の他社用のソレノイドバルブにはこんなようなものがあります。
左が日産用で、右がトヨタ用です。
355用のものに似た形のものを選んでみましたが、入口となる下側のニップルがL字に曲がっていなくて真っ直ぐのものや、上側の大気解放部が出っ張っていなくて筐体の中に隠れているものなどがあります。
日産用のもので内部構造の模式図を描くと、こういう感じです。
(この絵の中のソレノイド単体は、
Moddoreのロック棒の出し入れで使ったものと同じようなものでしょう。)
・通電なしの初期状態では、赤色で示したバルブが下側の
入口と出口の間にあって、出口が大気解放部と繋がっている状態(水色)となります。
・通電すると、赤いバルブがソレノイドに引き込まれて
入口の上にいき、入口と出口が繋がった状態(黄色)になります。
車用のこのタイプのソレノイドバルブは、どのメーカーのものも同じような構造だと思います。
さて、昨日のブログで書いた通り、
カプリスト製と
Eurospares保証の排気バイパスバルブは、純正とは異なり
平常時が開きのタイプです。この2社ともに、ソレノイドバルブもセットになっているのですが、下側の入口と上側の大気解放のエアの接続を入れ替えたいためにそうしているのだと思います。
先のトヨタ用のソレノイドバルブを例にとると、このソレノイドバルブには、実は
上側にもニップルが付いています。
この入口2のニップルに、大気解放用の小さいフィルターが付けてあるのです。
それに対して、フェラーリ純正のソレノイドバルブには
大気解放側にニップルはなく、筐体上部の穴に直接フィルターが被せてある構造だと思われます。したがって、上側にゴムホースを繋ぐことができず、上下を入れ替えることができません。これが、別のソレノイドバルブを付属している理由でしょう。
カプリストのソレノイドバルブを、こびさんの整備手帳で拝見すると、こういう感じになっています。
上側が負圧タンク、下側が大気解放になっています。こうすれば、ソレノイドの
電気的ON/OFFと負圧/大気解放の関係を入れ替えることができます。排気バイパスバルブの開閉逆の辻褄を合わせることができるというわけです。
Eurosparesのものも、商品写真の解像度が低くてわかりにくいのですが、同じようになっています。
さて、正常に機能している間は、この構成でまったく問題ないと思いますが、壊れたときのフェイルセーフ設計としてはちょっとイマイチな感じがします。
そもそも、
平常時が開きの排気バイパスバルブを使うのは、負圧系に問題がおきたときに排気バイパスを開けておきたいからだと思います。それに対し、上記のソレノイド動作にしてしまうと、ソレノイドが電気的に壊れたときには排気バイパスを閉めてしまうことになります。フェイル時の挙動が2つの構成物の間でちぐはぐなのですよね。
やはり、ソレノイドのON/OFFと負圧/大気解放の関係は、通常のまま(355純正と同じ)にしておいて、ソレノイドへの通電の仕方の方を入れ替える方がいいと思います。そうすれば、ソレノイドが壊れたときにもバルブ開きにできます。
じゃあ、それはどうすれば良いか?
まず、純正状態でソレノイドバルブの電気的接続は、こうなっているようです。自分で確認していないのですけどね。
ECUはV1をアースに落とすか否かで、ソレノイドの通電を制御します。私の車もそうですが、多くの車はこれに手動スイッチを追加していることと思います。それはこういう感じですね。
ECUがアースに落とす経路に並列にスイッチを付けて、手動でもソレノイドを通電できるようにしたものです。
ただしこれをやると、スイッチを入れた瞬間に、
「CHECK ENGINE 5-8」というエラーランプが一瞬光るようになります。私の車もそうです。ソレノイドがあるはずの経路がアースに落ちることから、ECUが異常として検知するのでしょう。でも、エラーは一瞬で消えるので大勢に影響はないものなのでしょう。私は爆音スイッチを入れたのか切ったのかを判別するランプとして、むしろ便利に使っています。本当はエラーが出ないようにした方がいい[*]のでしょうけどね。
また、ECUによる制御を完全になくして、マニュアルスイッチだけにする配線にしている場合もあるそうです。これは、ソレノイドからECUに入る線を切ってしまって、爆音スイッチを取り付ける方法なのでしょう。(これではECUがエラーを吐くようなら、切ってしまったところにダミー抵抗を介して+12Vに接続しておく必要があるかも。)
配線的には、ECUと並列にスイッチを入れる方がむしろ簡単だと思うのですが、ECUをわざわざ殺すのはどうしてなのでしょうかね? 先のエラー点灯を避けたいから???
逆に言えば、私のように中古で355を買った人にとっては、爆音スイッチを押した瞬間にだけ「CHECK ENGINE 5-8」が点灯するようだったら、ECUの配線は生きていると判別できるという見方もできるかも知れません。
さて、本題に戻って、ソレノイドの
エア配管を入れ替えるのではなく、電気的制御を入れ替えるにはどうすればいいかですが、こういう感じの回路を既存の配線に間にはさみ込めばいいと思います。
トランジスタを1つ使って、信号のON/OFFを反転させる仕掛けです。Moddoreでいっぱい使っているやつです。ソレノイドにはそれなりに電流が流れるので、パワートランジスタを使う必要があるでしょう。
ただし、カプラの雄雌の間に回路をはさみ込むだけで済ますことはできず、追加回路には電源系としてアース線を1本追加する必要があります。ケーブルが1本伸びたちょっと不格好なものにはなってしまいます。
ここで、抵抗RはECUから見たときにソレノイドを模擬するダミーの抵抗です。できれば無駄に熱を出したくないので大きい方がいいのですが、大きすぎるとECUがエラーを吐くかもしれません。ソレノイドに合わせるならば50Ω程度となると思われますが、1kΩとかにしたいところです。なんとなく大丈夫な気がします。
さてさて、能書きがさらに増えてしまいました。
能書きは良いから
早く現物をチェックすれば?と聞こえてきそうです(^^;。
薄々思っているのですが(先のブログにコメントをいただいたりもしたのですが)、排気バイパスバルブの軸の潤滑を良くするだけで直るんじゃないか説もあるので、おいおいチェックします。
[*] おまけ
こびさんは、このエラー対策をされていますね。上述の回路図に合わせて描くならば、こびさんの回路はこうなります。
確かにこうすれば、ECUによる制御は生かしたまま、マニュアルスイッチの影響を分離できます。この場合もダミー抵抗のRの値をどうするのかがありますね。かなり大きくしても問題ない気がします。
そして、このエラー回避回路と信号反転回路とを併用することも問題なくできるでしょう(ダミー抵抗の値は見直すことになります)。