「自動車保有関係のワンストップサービス」で、
無事に車検証の住所変更を完了することができました。
確かに
時間を問わず家にいながらにして、申請が可能です。車検証も郵送での受け取りにしたので、完全に陸運局に行く必要はありませんでした。
国土交通省のシステム上で、国土交通省下の陸運局、警察、県税が連携していて、
確かにワンストップで申請できるようになっています。
日本の根強い縦割り行政を跨いで連携しているのはなかなかだと思います‥‥が‥‥でも‥‥、まあ使えはするのですが、
いろいろイケてないのです。
ざっくりいうと、
・
お役所都合の考え方でユーザに優しくない
・
データベース都合が操作系に漏れ出ている
という特性が各所にあって、途中で
いろいろと難儀するのです。その顛末を改めてまとめて書いてみたいと思います。
なおこのブログは、今日全部書いたわけではなく、申請が進捗する度にちょこちょこ書き溜めていたものです。
(なにかの間違いで国土交通省のお役人さんにもこのブログの内容が届くといいなぁ。)
■具体的な問題その1 ~住民票コード~
まずは、以前のブログでも書いた
「住民票コード」なるものを入力しなければならないという問題です。
一応、住民票コードとは何かを書いておくと、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)上で、
住民を一意に特定するために用いられる無作為に定められた11桁の番号のことです。マイナンバーではありません。
住民票コードを入力しなくても、OSSを使って申請することはできますが、その場合は
紙の住民票を管轄の陸運局に直接提出しにいく必要があります。郵送は受け付けていません。それならば、そもそも電子申請しなくてもいいんじゃないか!?という話になってしまいますので、
電子申請らしく申請しようと思うならば、住民票コードを調べることは必須に近いと思います。一方で、住民票コードに馴染みのある人はおそらく少なく(皆さん知っていますか?)、多くの場合は、自分の
住民票コードを調べるために役所に出向くことになると思われます。電子申請しようとしているのに、ちょっとちぐはぐなことになるわけです。
そもそも、住民票コードを入力させる目的は、
「変更の原因を証する書面」の提出を不要にするためだそうです。でも、申請フローの中で、
マイナンバーカードのICチップを用いた認証もさせるのですよ。それをやるのであれば、住民票コードを入力しなければならない理由がわかりません。紙の住民票をコンビニで取得するときにはマイナンバーカードで取得するわけですし、e-Taxで確定申告をするときにもマイナンバーカードを使えば、現住所等は自動で転記されます。
想像するに、OSSのシステムの作りとして、
住民票コードで住基ネットにアクセスする方法でしか、住民票データを参照できないのでしょう。住基ネットを作った人、あるいは住基ネット賛成派が、その爪痕でも残したかったのでしょうか? もしかするとシステムを作ったのが少し古いのかもしれませんが、そうだとしても、マイナンバーカードによる認証をするんだからそれに合わせて改修すべきでしょう。あるいは電子申請を積極的には使わせる気はないから、それくらいの不便さがあってちょうど良いと思っているのかも知れませんけど。
■具体的な問題その2 ~クレジットカード情報の申請前登録~
このOSSは、頻繁に使うことがあるシステムではありませんので、
初めて使うことになる人が多いはずです。すなわち、利用者がシステムに慣れていることは期待できず、申請前には、どんな申請ができるのか、どのような操作をするのか、どのような申請単位で申請をすることになるのか、そういった
様々なことがイメージができていないはずです。
にもかかわらず、クレジットカードで支払いを行いたい場合、
まだ申請していない個々の案件に紐づける形で、
クレジットカード情報とその支払い上限額を先に登録しておく必要があるのです。なお、ネットワーク経由での電子申請ですから、オンライン決済できる手段を選択するのが自然なことで、クレジットカード払いにしようと考えるのはごく一般的なことだと思います。
普通の取引ならば、なんらかの購入や手数料が必要なことを行う場合、その処理を行った後に、支払い方法としてクレジットカードの登録を行ったりすると思います。
お役所的には前もって支払いを担保しておきたいのかもしれませんが、申請前に上限額を入力させるとか、人を小馬鹿にしているようにすら感じます。
そもそも、自ら申請をしているわけですから、
手数料くらいは払う気があることは自明です。支払い手段の特定などというものは後からで十分なはずです。万が一、なんらかの事情で支払うことができないような事態が発生したとしても、
そのときに却下すればいいだけのことです。ちょっとしたことですが、お役所の傲慢さを感じます。電子申請の手間は、操作している人にしか発生しないので、
申請に際してお役所の人の時間を使うわけでもありません。なぜ先に入力させる必要があるのでしょう。
私は、OSSが初めてでよくわからなかったこともあって、
まずは、変更申請の操作を一通りやってみようと画面操作を進めました。申請した後(何事もなく申請ができてしまった後)になって、クレジットカード情報の登録を行いました。車が2台あるので、二つの変更申請を行ったのですが、それぞれに対してクレジットカード支払いの登録を後から行いました。
でも実際にはこの操作ではだめで、それぞれの申請に紐づけたクレジットカード支払いの登録を、
それぞれの変更申請をする前にしておかなければいけなかったのです。
そんなこと事前に想像できますか?
■具体的な問題その3 ~クレジットカード情報を登録していなくても申請できてしまう不思議~
百歩譲って、クレジットカード情報と支払い上限額を申請よりも前に入力するという妙な要求に
納得したとして、先にクレジットカード情報を登録していなくても、
何の問題もなく電子申請できてしまうということ自体も問題です。
他の払い方をする人もいるからという言い訳なのかもしれませんが、クレジットカードで払うという入力は途中でしているのだから、他の払い方と区別ができないはずがありません。したがって、
最後に申請ボタンを押す前までに、
紐づけ可能な支払い登録があるのかないのかくらいは確認して、もしもなければそれを
警告すればいいのです。
でも実際はそうはならず、あたかも
なんの問題もないかのように申請ができてしまい、かつ、申請の管理番号とともにを申請したことのお知らせと、
申請の進捗状況が確認できるサイトの案内までメールで届くのです。
そんなことになれば、普通は申請は受領されたんだなと思うわけです。
でも実際は違うのですよ。
■具体的な問題その4 ~申請できたと思わせておきながらの「未受付」~
申請後しばらくして、ステータスを見ることができるサイトで確認してみると、
ちゃんと案件として申請があることがわかります。ステータスも見れます。これをもってして、申請できているよね?と、再度安堵するわけです。
ただし、その画面をよく見ると
「未受付」なる謎のステータスにはなっています。下の方には、決済情報がないとかメッセージが出ています。
そうすると、クレジットカード情報は後から入力したんだし、ステータスを確認できるくらいに申請は受け付けられているわけだから、「未受付」とは、その名の通り、
「まだ受け付けられていない(受付処理待ち)」という意味ではないかと思うわけです。新年度になったところだし、自動車税納付直前だから、
申請が混んでいるのかなと。
それで数日様子を見ていたわけです。でも一向に進捗しないのです。よくわからないので、問い合わせ窓口に電話で聞いてみたわけですよ。
そうすると、「未受付となっているならば、下の方に決済情報がないと書いている通り、
申請は受付られていないという意味です。」とおっしゃるわけですよ。電話での口調は優しいですけども、当たり前でしょ? なんでそんなこともわからないの!?と言わんがばかりのニュアンスで。はぁ??そうですか。
データベースのステータスとして、受付できていない状態のことを「未受付」というラベルにすることに違和感はありませんが、
「未受付」なる謎の日本語を画面に示されても、私にはその意味は理解できません。それを一歩嚙み砕いて、
なぜ、「受付できていません」と表示しないのでしょうね。そう書かれていれば、そもそも電話で問い合わせなどしていません。
かつ、問い合わせ窓口の電話はかなり繋がりにくいものでした。システムをわかりにくいまま放置しておいて、問い合わせ電話対応の仕事を増やしているんじゃないのかと勘繰りたくなります。
「未受付」なる言葉で、受付に失敗している状態であると悟れというのは、使う人のことを軽視しているとしか思えません。
というか、「未受付」というステータスを提示することがわかりにくいということ自体がピンときていないのかもしれませんね。自動車保有関連では、特別に定義された用語を使うことが普通なので、そういう特殊用語を使うことに慣れすぎていて、
「未受付」とだけ言い放つことに違和感を感じないのでしょう。用語の定義は自分で調べろと。
■具体的な問題その5 ~支払いはワンストップじゃない~
今回私は、住所変更(変更申請)を行ったので、一連の申請入力の中で、車庫証明を取得するための申請も行っていました。
問題その4の後に、もう一度申請をやり直したので、クレジットカード支払いとの紐づけがなされた変更申請ができていました。その後、順調に警察署による審査に進んでいました。駐車場所は新築の私の家の敷地内なので、新たに駐車場所がデータベースレコードとして追加されたことと思います。おそらくは知らないうちに現地確認に来られて、数日後に無事に車庫証明はおりました。
その進捗がメールで届き、もはや日課のステータス確認サイトを見ると、車庫証明取得のための
保管場所証明申請手数料2,100円を振り込めと出ているのです。
「クレジットカードの登録はどうしたの?」と一瞬思いましたが、すぐに悟りました。そうか、申請処理フローは連動しているけど、縦割り行政が本領発揮して、
支払いは一本化していないのだと。保管場所証明申請手数料は、Pay-easy(ペイジー)ないしはATMから振り込めと出るわけです。
より一層、クレジットカード登録のために
変更申請の入口で止めていたのはなんなんだ!?とまたまた思いましたね。車庫証明費用は振り込みで支払うのであれば、先に車庫証明の審査をやらせろよ、と。
■具体的な問題その6 ~支払済なのに支払い期限を提示し続ける不親切さ~
保管場所証明申請手数料は、即日Pay-easyで振り込みました。日課でもあるステータス確認サイトで申請状況を確認すると、ちゃんと納付状況は「済」になりました。なお、納付区分には「栃木県」と出ていて、収納機関名にも「栃木県」と出ています。
「済」となっていれば、まあ状況は明確ではあるのですが、そうなっていてもなお、それよりも
右側に「納付期限」が表示され続けるのです。最新状況は右側に出ると思ってしまうので、一瞬、あれっ?まだ納付しないといけないの?と錯覚します。
普通は納付済ならば、意味のない納付期限を表示し続けるのではなく、
表示するなら納付した日を表示すべきでしょう。あるいは日付なしの済だけで十分です。
参考に納付期限がちょこっとどこかに書いてあってもいいかもしれませんが、一番右の重要そうなところに示すことではありません。納付した日は表示されてないのに、納付期限だけが表示され続けるのです。お役所の「とにかく支払え志向」が漏れ出ているイヤな感じもします。
まあ、おそらくはそこまでのつもりでそうしているのではなく、
データベースのレコードをそのまま表示しているだけなのだろうと思います。データベースの中身を咀嚼してわかりやすくユーザに示す気はないシステムであることは、未受付で十分わかっているので、ここもそういうことなのでしょう。
■具体的な問題その7 ~交付された後のヘンテコな郵送処理~
保管場所証明申請手数料を納付後には、保管場所標章交付手数料520円を振り込めとなり、それもPay-easyで振り込みました。
それを終えると、その後にようやく最初に登録したクレジットカードの登場です。程なくして、検査登録手数料350円がクレジット決済されました。なお、納付区分は「国庫金」になっていて、収納機関名は「-」となり表示されていません。
この段階になってから、支払い方法を選択させればいいじゃんって、また強く思いましたね。なんで
処理の最後の最後のこのために、最初の最初ではじかれなければならないのかと。
まあ、それはおいておいて、その後に登録したメールに進捗が届きました。ステータスを確認すると
無事に「交付」になりました。
それを見て、ようやく交付されたのね、
あとは郵送されるのを待てばいいんだな、と呑気に構えていたのですが、
それではだめだったのです。
申請時には、車検証の物理的な取得方法として
郵送を選択しており、(変更申請なのですから当たり前ですが)
住所もしっかり入力していたわけです。
決済手段もあるわけだから、
そのまま車検証が送られてくると思うじゃないですか。
でも、待っていてもだめなのですよ。それにはちょっと後から気が付きました。
よくよく交付となった進捗確認画面を見ていると、上の方に小さい字で、
今の車検証を郵送で送れと書いてあるのです。もっとデカい字で次のアクションだけを書けばいいのに。「データベースをそのまま見せる」思想でできていて、ユーザに積極的に何かを知らしめる気はないのでしょう。
まあ、それはおいておいても、車検証を送れって‥‥‥
「へっ?そうなの?何のために?」
と思うじゃないですか。車検証を携行せずに車に乗ることは違反ですから、送れって何(?)って。直観的に、新しいものと古いものを入れ替えたいから古いものを提出しろと言っているのだと思ったのです。でもよく読むと、
送る車検証は写しでもいいと書かれているのです。写しでもいいということは、車検証を入れ替えたいわけではありません。ということは、どうやら、
郵送するにあたって、新しい車検証を照合するために今の車検証が必要であるということのようなのです。
さらには、自分の
住所氏名を記入したレターパックを同梱して送ってよこせというのです。
「へっ?何を言っているの?」
なかなかしっくり理解できません。どうやら、
出来上がった車検証を郵送するところが、システム上繋がっていないということのようですね。
陸運局の人が、送られてきた
レターパックを開けて、中に入っている
車検証を見て、でき上っている新しい車検証の中から
一致するものを人が探して、返信用のレターパックに詰めて送るんでしょう。なんで電子申請しているのに、そんな変なことになっているんでしょうね。
申請で郵送を選択していたならば、
車検証が出来上がるときにラベルシートに登録住所を同時に印刷しておき、それを封筒に貼って車検証を入れて、そのまま発送すればいいだけです。なんで、利用者から車検証(の写し)をわざわざ送らせて、中身を確認して新車検証を人が探す
無駄な人手作業をするようなシステムにしているのか、理解に苦しみます。発送まで情報を繋げば、陸運局の職員の手間も最小限にできるはずです。ネットで電子申請するくらいなのだから、リモートで完結できるように郵送までセットでシステム化するのが自然でしょう。
下僕達(じゅうみんのみなさん)は「とにかく陸運局に来い」が大原則なのでしょうか。
また、そもそも、郵送を選択したときに、「自分の住所を書いた返信用のレターパックを入れたレターパックで車検証(の写し)を送る」という
二重に送料がかかるようなことになることもたいへんにわかりにくいのです。そんな無駄なことになるならば、郵送を選択しない人だっておそらくいることでしょう。OSSを使って入力を進めているときに、郵送がどのように行われるものなのかを説明する別ページに飛ぶことはできたのかもしれませんが、余計な寄り道をすると申請処理に戻ったときに変なことになるかもしれないとか思うからやりたくないのです。ボタンを押して申請を進めていくだけで、郵送とはどういうことになるのかをするのか、わかりやすく提示することはできるはずです。
さて、郵送が必要なことに気が付いてから、
レターパック540円2枚を買いに行き、車検証の写しと返信用のレターパックを詰めて、陸運局に送りました。しょうがないので。
陸運局に到着したと思われる日に、ステータスの更新のお知らせメールが届きました。
「あれ?車検証は交付になっていたんだから、もうシステム上の処理はないんじゃないの?」
と思いましたが、馴染みのステータス確認サイトでステータスを見てみました。
すると、特に状態遷移上での変化はないように見えるのですが、小さい字で出ていた
郵送で送れというところがなくなっています。なるほど車検証が届いたことで、申請システム上でのステータスを微妙に変えたということですね。郵便事故はなかったという多少の安心感は得られはします。
う〜ん‥‥、そのステータスの差は、ステータスを管理するデータベース観点から見れば大きな変化なのでしょう。データベースをそのまま見せる思想でできているシステムとしてはユーザに知らしめたくなるのでしょう。が、実際には
そこにはそんなに有益な情報はありません。微妙に変わったステータスを見せにいかせる案内をするのではなく、直接的に「車検証が郵送されました。」とメールで知らしてもらう方がはるかにわかりやすいです。そもそもすぐに到着するのですし。
それで、今日、車検証を受け取りました。ようやく変更申請が終わりました。
‥‥‥と思ったのですが、中に、古い車検証を送れと書いた紙が入っています。‥‥あぁそうか、今度こそ車検証を入れ替えたいということか‥‥。まあわからなくもないけど、じゃあ送料は
二重にかかるのではなく、三重にかかるということですね。なんじゃそれ!?
わざわざ送らせなくても、確実にハサミで切って捨てろでいいでしょう? クレジットカードを送り返せという会社はありません。信用できないなら、せいぜいハサミを入れた写真を送れでいいでしょう? ゴミをわざわざ送料払って送らせなくてもいいのに。
と、まあ、いろいろあるわけですが、国土交通省には、
私が精緻にマニュアルを読まずに操作したのが悪いと言われそうです。
が、普通そんなもんだと思います。事前にマニュアルを一通りしっかり読んでから、システムを使い始めるという人は稀でしょう。
とことん、
使う人に寄り添おうとする気はないシステムなのです。ちゃんと探せばどこかに書いてはあるのですが、普通はリーチしないところだったり、大変わかりにくかったりするのです。民間だったら、会社のイメージダウンをしかねないと感じ、すぐに閉鎖するレベルの操作系だと感じます。
そもそも目的にないのかもしれませんが、電子申請にできるだけ移行して、職員による
人手の手間を極力減らす自動化をしようという本気度はまったく感じられません。現状の処理手順はおおむねそのままに(職員の仕事は減らさずに)、一応、電子申請できるパスを通してみました、みたいな感じのものなのです。
中途半端に使いにくいままのシステムにしておくことこそ、無駄だと思いますけどね。ちゃんと電子申請システムがどうあるべきか真面目に考えて、使いやすいシステムに改修して欲しいところです。
一方で、お役人は本当に大変に優秀な方が多いとも思うわけです。なのになぜ、システムがこんなにくそになるのか、理解に苦しむというか、お役人の優秀さとシステムのだめさが繋がらないのです。たぶん、優秀な人は他のことに忙しくて、IT化なんてどうでもいいこと扱いなのでしょう。
利用者が使いやすいことを第一義に優先し、
広く電子申請を普及させて窓口業務をぐっと減らせるくらいに効率化できるものを目指して欲しいものです。