
排気バイパスバルブが開かなくなった問題は、もうちょっとモノをちゃんと見るとして、ひとまず、現時点の情報(主に
値段)を収集しておきました。
かなり昔から多くの方の355で起きているようですので、定番のトラブルなのでしょう。私の355も、最初から純正ではないバルブがついていましたので、きっと
以前に問題が起きたのだと思います。
まず、バルブが開かなくなる原因としては、
・エンジンの吸気負圧を使って排気管を開け閉めする
排気バイパスバルブ本体(赤丸で囲ったN)か、
・その負圧経路でON/OFFを切り替える
ソレノイドバルブ(同S)か
に問題があるためだと考えられます。
加えて、ホースの劣化による
エア漏れも考えられるかも知れません。
最初にそのうちの排気バイパスバルブ本体についてです。
これは、負圧を使ってダイヤフラム(弾性薄膜)に取り付けた棒を押し引きして、その力で排気管内のバルブの開閉を行うものです。
355の純正部品(部番:155006)は、平常時はバルブが閉じられていて、負圧をかけると開くようになっているタイプのものです。そのため、排気抜けの良いバイパス経路を
通さない方がデフォルトです。なお、排気経路の切り替えを行う多くの車種では、平常時バルブ
開きの方がよく使われるようです。理由は後述するフェイルセーフのためでしょう。
また、ずっと昔からあるトラックの排気ブレーキで使われているバルブが
まんまこういうやつだと思います。フェラーリは、排気音デザインをしているときに、それを別用途として使うことを思い付いたんじゃないでしょうかね。
あと、バルブの構造は違いますが、ターボエンジンのウエストゲートバルブなんかも、負圧とダイヤフラムを使って開け閉めしていると思います。
さて、この155006の供給は、どれくらい前かはっきりしませんが、
相当前からなくなっているようですね。
売っているかどうか調べると、Maranello Classic Partsで新品を売っていて、£2,967.68(=
56万7千円)という
法外な値段が付いていました。う~ん、実用品というよりは、もはやコレクションアイテム‥‥‥。
Eurosparesには新品はなくて、中古が2つありました。
写真を見るに、
かなり使い込まれたものに見えますが、それでも
30万円もします。劣化具合はわかりませんが、どうせ
そのうちに壊れるに違いないと思うので、これもなかなかにしてナンセンスな値段だと思います。
社外品だと、有名どころとしては、
クライスジークと
カプリストが交換部品を出しています。
クライスジークのものは、壊れる純正部品の
強化品として有名なようですね。

でもこれも、17万もします。高いなぁ。
みんカラでも、前のブログでコメントいただいたhide-ssさん他、複数の方がこれに交換されているようです。以前はもっと安かったのかなぁ。
カプリストのものはこちらで、

これも、16万3千円もします。やっぱり高いなぁ。ただし、9年前には10万円で売られていたようですので、値上がりした模様です。
そして、カプリストのこれは、平常時がバルブ開、負圧を掛けるとバルブ閉となるようです。そのため、逆動作するソレノイドバルブも付属します。純正のソレノイドバルブは、〈通電なし:大気解放、通電:負圧〉であるのに対し、〈通電なし:負圧、通電:大気解放〉となっているということですね。
F355のDIYと言えばのこびさんが、これに交換されています。
ここで、平常時にバルブを開けるようにしたいのは、エンジンが
高回転&高負荷のときのダメージ(排気抜けの悪さによる)を考慮して、もしも切り替え機構が壊れた場合に開放側にしたいためでしょう。でも、カプリストのやり方だと、
エア負圧系に問題が起きた時にはバルブ開に確かになりますが、
ソレノイドが電気的に動かなくなったときにはバルブ閉になってしまいます。本当は、ソレノイド動作はそのままで、電気的にON/OFFの方を反転した方がいいんじゃないですかね。そうすれば、ソレノイドが動かないときもバルブ開とできます。
電気の反転回路は後付けでも簡単に作れますしね。ただし電源線を引っ張って来ないといけなくなるので、カプラON互換にならないからそうしなかったのかな。
他にも、Eurosparesが、155006/AとしてEurospares保証の
独自の後継部品を用意しています。
ダイヤフラムのケースの周りにエアギャップを設けて遮熱カップが付いています。なんか良さそうですね。
が、在庫はしていないようで、値段は問い合わせとなっていてわかりません。純正中古の値段からして、予想としてはきっと高く設定されていると思いますが、一応値段だけは問い合わせ中です。‥‥っと、ブログを書いている隙に返信が来ました。素早い対応ですね。で、値段は19万8千円でした。やっぱり高いなぁ。
Eurosparesのものも、平常時バルブ開のタイプで、ソレノイドバルブも付属するようです。カプリストのものと同じ考えの設計なのでしょう。カプリストのものもそうらしいのですが、高価なステンレスガスケットが付属するようですので、その点は親切です。
ということで、私が探したところでは、355にそのまま対応している製品としては、ざっとこんなところでしょうか。まあいずれにせよ、高すぎます。
というのも、排気系に取り付けるバルブには、価格帯がまったく違う
汎用品が存在するからです。内径が、2inch(51mm), 2.5inch(63mm), 3inch(76mm)の3種類が標準的なもののようで、少し検索するだけでたいへんたくさんの製品を見つけることができます。
その中で355用に最も近いものは63mmだと思いますが、アリエクだと2千円~、アマゾンでも4千円程度で売っています。
こういうのを見ちゃうと、なんだかなぁと思うわけです。簡単に言えば、フェラーリ用というだけで
値段が100倍違うということなんですよね。下手すると品質は逆転しているかも知れないのに。
でも、2.5inchの汎用品だとちょっと径が小さい気がするのです。それで、もう少し調べてみました。すると、65mm、66mmの排気バイパスバルブもあるようです。

3サイズの汎用品と比べるとやや高いですが、それでも
355用よりははるかに安い値段で売っています。
ただし、汎用品もこれらも、パイプ端の形状が専用品とは違うので、排気漏れを起こさないように取り付ける工夫が必要となる点がイマイチではあります。THOUTHERさんは、こういうタイプのバイク用のものを流用して修理されたようです。素晴らしいですね。先駆者です。
さてさて、次は、ソレノイドバルブです。
この絵で同じものが2個並ぶ左側が排気バイパスバルブ用です。もう片方は、
エキマニに2次エアを入れるかどうかの制御用です。
これ(部番:159177)は、Eurosparesに在庫がありました。1個しかないですけども。

1万9千円ですね。
排気バイパスバルブに比べればずっとマシな値付けですが、これも
ものの割にはかなり高いと思います。
普通の仕様のただのソレノイドバルブでしょ?って思ってしまうので。
車では、吸気負圧を動力源として使うことは一般的なことなので、そのON/OFFを制御するソレノイドバルブは、いろいろな車で使われています。そのため、いろいろなタイプのものがたくさん出回っています。
いろいろあるとは言っても、大気解放部にもニップルがあるかとか、フィルタが付いているかとかの細部の違いなだけで、それ以外はニップルやコネクタの向きと固定方法が違う程度の差だと思います。
同じオットーサイクルの他社エンジンと比べて、フェラーリのエンジンの吸気負圧が特別違うものであるはずもなく、電源電圧も当然同じ12Vなので、機能的にはほぼ同じものと言っていいと思います。
こういう周辺機能部品にフェラーリらしさを示す必要はないと思うので、個性を発揮するのではなくて、量産他社部品を採用して欲しいところです。
‥‥と、下調べはこれくらいです。
私の車は、ちょっと見た範囲では、
・排気バイパスバルブは手で動くけれど抵抗が大きいような気もする、
・負圧は来ているけど弱いような気もする、
というどっちつかずの状況なので、能書きはいいから、まずはもうちょっとちゃんと見ないといけません‥‥ね。
それを受けて、どの範囲をどうするか考えることにしましょうか。