大阪で元消防士長が無免許運転で100回以上... 免許証はタスポですか!?
1年半前に飲酒運転で逮捕されて免許ないのが判らなかったの?(`・ω・´)
無免許で救急車や消防車運転100回以上! 元消防士長の免許証は「タスポ」だった
【衝撃事件の核心】大阪府高槻市消防本部に勤務していた男性元消防士長(39)が、約1年半にわたり、無免許で救急車や消防車を運転し続けていた。患者を病院に搬送するため、あるいは火災現場に急行するため、細心の注意を払うべき緊急車両の運転にあたる消防職員が無免許だったという驚くべき事態に、市民からは不安の声があがっている。市民の生命・財産を守るという責任ある職務に就きながら、なぜ元消防士長は1年半もの長期間にわたって無免許で救急車や消防車の運転をし続けたのか…。
■うなだれる元消防士長
問題発覚につながる事故が発生したのは昨年12月2日午後6時ごろ。元消防士長が運転する救急車が、大阪府北部の高槻市内で急病患者を搬送中、車の側面を橋の欄干に接触させる物損事故を起こした。
患者にけがはなく、事故も軽微だったことから、救急車はそのまま患者を病院に搬送した。
「『物損事故を起こした』という連絡を受け、患者を搬送した病院に行くと、隊員が全員青ざめた顔をしていた。『一体、何があったんだ』という思いでした」と振り返るのは、元消防士長の上司だった同市消防本部の松村賢一消防司令長。
松村消防司令長が事故を起こした救急車をのぞき込むと、元消防士長が後部座席にうなだれた様子で座っているのが見えた。
事情を聴くと、元消防士長は重い口を開いた。
「いやあ、実は、1年半前に飲酒運転で逮捕されまして、免許ないんです」
■元消防士長の評判
高槻市消防本部によると、1年半にわたって無免許で緊急車両を運転していたのは、高槻市消防本部中消防署大冠分署に勤務していた元消防士長。
大阪府内の大学を卒業し、平成10年4月に高槻市消防本部に就職。消防学校を卒業した後、同年10月に同西分署に配属。大冠分署には昨年4月から勤務していた。
関係者によると、真面目で部下の面倒見もよく、「一つ一つの仕事を丁寧にこなす」(同市消防本部幹部)など、上司からの評判も上々で、現場に派遣される隊の責任者を務めることもある「消防士長」には昨年4月に昇進したばかりだったという。
そんな元消防士長が免許の取り消し処分を受けたのは、一昨年3月に発生した事故。大阪市内でビールを数杯飲み、JR高槻駅からバイクで帰宅途中、前方の軽乗用車に追突する事故を起こした。
幸い、軽乗用車を運転していた女性にけがはなかったが、元消防士長は道交法違反容疑(酒気帯び運転)の現行犯で逮捕され、同5月に免許取り消し処分を受けた。だが、警察に対しては一貫して「無職」と偽り、上司にも事故を報告することもなかった。
免許を失ってから元消防士長が救急車や消防車を運転していた回数は、少なくとも100回以上にのぼるという。
■指で隠しながら“提示”
消防本部の職員は毎朝、朝礼で免許証を取り出して上司に向かって掲示してチェックを受けるが、元消防士長は免許証の代わりにたばこ自動販売機用の成人識別カード「タスポ」を提示していた。
消防士長は革製のパスケースにタスポを入れ、指で一部分を隠しながら“提示”。周囲はこれに気づくことはなかったという。
「免許証がタスポだったことを見抜けなかったのは残念。改善策を徹底するよう指示した」(同市消防本部幹部)。
高槻市消防本部では問題発覚後、提示の際にケースに入れることを禁止する措置をとった。
元消防士長は「(タスポを提示する)毎朝は胸が痛みました」などと話していたという。
消防車や救急車を運転する際には、現場に急行するために赤信号の交差点に進入することもあれば、道路の逆走が必要になることもある。
緊急自動車の運転には、一般のドライバー以上に高度な運転技術と瞬時に交通状況を判断する能力が求められるのだ。
緊急自動車を運転する資格は、普通か大型の自動車免許を取得してから3年以上が経過したうえで、車両や放水ポンプなどの装備品の構造についての筆記試験や実技試験に合格する必要がある。
元消防士長は大型免許を取得していたため、特に大型の消防車を運転することもあったという。
■なぜ黙っていたのか
なぜ元消防士長は無免許を上司に申告しなかったのだろうか。
その理由について、消防関係者は「飲酒運転をめぐる処罰の厳格化で言い出せなかったのではないか」と推測する。
元消防士長が起こした酒気帯びで物損事故を起こしたケースについては「長期間の停職か懲戒免職のどちらかしかないレベル」(同)という。
元消防士長は、自身の逮捕が明らかになることで職を失うことを恐れたのだろうか。
信頼していた消防・救急隊員の不祥事に、地元の市民からは不安の声もあがっている。
事故現場の近くに住む主婦(74)は「1年半も無免許運転だと知って驚いた。町内では、救急車呼ぶよりも誰かに頼んで病院行こうかなんて話す人もいるぐらいです」
一連の問題発覚を受け、高槻市消防本部は昨年12月、市や消防本部の幹部で構成する懲罰委員会を開催し、元消防士長の懲戒免職(同月8日付)を決定。また、管理監督責任を問い、上司の中消防署大冠分署の分署長と警備係長を減給10分の1(2カ月)、中消防署の警備第二課長を戒告の懲戒処分、ほかに消防長ら6人を訓告とした。同市消防本部は「再発を防止し、市民の信頼を回復したい」としている。
また、大阪府警高槻署は、元消防士長を道交法違反(無免許運転など)容疑で書類送検する方針だ。
なんとかこのまま逃げ切りたい-。安易な気持ちで続けていた無免許運転が、大きな代償を招いたことは間違いなさそうだ。