
(2020/7/12
電源オフで内部回路をスルーする改造記事へのリンクを追加)
FM補完放送=ワイドFM を旧型なナビで聞こうと、それ用に使えそうなコンバーターを買ってみた。
入力(クルマのラジオ用アンテナ)に入ってきたFM放送帯の信号を、内蔵の水晶発振回路で生成した周波数だけ足し引きした周波数に変換して出力するもの。
まぁ今時、FMラジオつきスマホで聞けばいい、スマホでradikoを受けてBluetoothでナビに飛ばせばいい、って選択肢もあるのは確か。
しかし、たかがラジオを聞くのに都度スマホを取り出して弄くるのも煩わしいし、パケ代を使いたくもない。
それを小手先で何とかできるなら、と、買ってみることにした。
結果としては成功。
我がクルマのナビ本体は、90.0MHz以上の周波数を使っての補完放送が始まるより前の製品、受信可能なFM放送は76~90MHz範囲。
目下受信したい地元のFM補完放送は93.5MHzなので、それをナビで受信可能な上記範囲の周波数に変換できれば、目的は達せられる。
Amazonで900円弱で購入。
大陸から郵便で到着。所要日数13日。
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※2025/03現在、上記リンク先は品切れ?販売終了?で、同じ?商品がこちら↓で売られている。大陸からではなく国内のAmazon倉庫から発送になっている。納期は早いが当時に比べだいぶお高くなった。
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このコンバーターは、内部の発振周波数16/18/20MHzのいずれかをスライドスイッチで選択して使う。
自分の場合なら16MHzにしてクルマのアンテナ~ナビ本体間に割り込ませ、93.5-16=77.5MHzをナビで受信すればいい。
本来この手の製品は自分の目的とは逆に、周波数を上げる用に使われる。海外仕様のクルマを日本国内に持ってきた場合みたく。
しかし仕組み上、足し算した周波数成分と引き算したそれとが一緒に出力されることから、自分みたく周波数を下げたい用途にも使えてしまう、って理屈。
モノはブリスターパックに入ってきた。但し台紙のタイトルはどう見ても別モノ用、取説は添付無し。
得体が知れないものをそのままクルマに持ち込んで使うのは気持ち悪いので、早速ばらしてみた。
外見はアルミ製筺体でがっちりしていそうなのはいいが、3位置あるスライドスイッチのどの位置が何MHzなのかの表示もない。
ケース各部のネジのサイズ選定がアバウトで締め付けがルーズだったり、ネジの頭がどのサイズのプラスドライバーでもしっくりこなかったりは、この手の大陸産品のご多分に漏れず(苦笑)。
ICが使われている。NXPの SA602AD、VHF帯対応のミキサー。
入力プリアンプ、DBM(ダブルバランスドミキサー)、外付け水晶をドライブ可能な発振回路、電源レギュレーターをワンチップに内蔵している。SOPの8Pin。
推奨電源電圧は 4.5〜8V、消費電流はTyp 2.4mA、Max 2.8mA。
https://www.nxp.com/docs/en/data-sheet/SA602A.pdf
ほかに使われているのはトロイダルコイル(トランス)、3種類の周波数の水晶振動子、周波数切り替え用のスライドスイッチ、電解コンデンサ、若干のL/C/R。
クルマのACC電源12Vに直結ではICが耐えられない故に、何某か電源周りに載っている筈と見てみたら、ツェナーダイオードと抵抗470Ωとで簡易な電圧安定化がされている様子。
ICの消費電流が3mAかそこらだから、ツェナーに10mAか程度を流しての簡易な安定化で足りるのだろう。もともと振幅方向の雑音に強いFM信号を通すゆえ、さほど上質な電源は要らない。
箱の外で12V電源に気休めのヒューズを入れるとしても、0.2Aかそこらで良さそうだ。追って実測して決めるが。
入出力間でFM放送帯以下≒AM放送帯522k〜1602kHzをスルーするBPFらしきは組み込まれている。
よってAM放送受信に関してはこのコンバーターを介しても、特に支障はなさそう。
FM放送の基本波もそのままスルーしてくれる作りであってほしかったが。。。その為の回路はなかった。
本来DBMの原理上入力の基本波は通過しないので、何某かバイパス回路が入ってないと、このコンバーターを介すことで既存のFM放送が聞けなくなってしまう。
とは言うものの、ミキサーの入力側と出力側とが回路配置的にかなり接近していて、意図的に入出力間アイソレーションを悪くしてある感じだ。なるほど、特別な回路は無くても何とかなりそう(笑)。
トロイダルコアを使ったトランスで、ミキサー入力部の不平衡-平衡変換もやっている。
総じて、目的に対し最低限ながらも、それなりに心得た設計のようだ。
なお、同軸ケーブル(ナビへの出力側)の基板への接続処理がお粗末だったので、手直しした。
設計品質と製造品質は別次元らしく(笑)。
とりあえず家の中で試してみることにする。
目的の補完放送が77.5MHzで、更に77.1MHz/82.5MHzの既存放送がそのままスルーで聞けたら御の字。
既存放送に関しては感度低下してしまいそうだが、まぁそこはいずれ実車で確認してみる。実用に堪えればいい。
もしかすると、77.1MHzの放送波とこれが変換出力する77.5MHzとの干渉があるかもしれず。でも0.4MHzも違えば何とかなるか。。。
ダメなら別の水晶を試せばいい。14.0MHzだと良さげだから(補完放送用の90~95MHz全域が76~81MHzにて受信可能になる)、今でも無用な20.0MHz水晶を取っ払って載せよう。
もうひとつ懸念として、このコンバーターの入力段にFM放送帯(+補完放送帯)だけを通すBPFがないことから、FM放送帯より低い周波数帯の電波もこれの周波数変換の対象になってしまう、という点が挙げられる。
特に62~76MHz範囲の電波が行き交う中で使うとなると支障が出てくるかもしれず。
その辺、
ラジオライフ誌バックナンバーで紹介されているコンバーターの作例のごとく、BPFを備えた作りな方が無難なのは確か。
この辺も追って試してから考えよう。
参考まで。手元の現物から内部回路図を描いてみた。
一部の定数が書いてないのは現物から判読不能=部品に刻印無しだったため。あしからず。
(2018/5/31一部修正)
続きは
こちら。
(2010/7/12追記)
その後このコンバーターの内部に改造を加え、外部で電源オフすると内部回路をスルーするようにした。
詳細は別エントリーの
こちらにて。