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2023年11月05日 イイね!

車を言語化する難しさ

車を評価する上で一番楽なのは数値化です。

ドイツのアウトビルトなどがテストデータ優先みたいなインプレッションをしていますが、あれはあれで貴重です。

正しい計測をしている場合、そのデータを羅列するだけでも車を選ぶ場合などにおいて、非常に参考になりますし、ある程度の知識としてデータ量を頭に入れておくのは必然でしょう。

ただ、そのデータとは外寸内寸及び絶対性能値のみならず、価格や販売網(店舗数など)とその資本力、購買層の傾向や嗜好といったようなものまで含められたものであることが、車を言語化する上で求められていると思います。

その上で、自分の好みのバイアスを掛けるか、否か、ここが重要なんだと思います。バイアスを掛けない論評はアウトビルトもそうですが、概してつまらない。ただ、絶対評価としてそれは不偏であり必要かと思います。

バイアスを掛けたものは、それはそれでファンが付くし、面白いけど、時として批判になるのでアンチも出るし、やり過ぎはただの中傷になります。

蛇足ですが、素人考えながら、この議論に上がるには相応のレベルがあってのことだと思います。

あるアナウンサーが最近カージャーナリスト気取りみたいな事を書いていますが、まぁなんて言うか、、、1000万円の価格からして失望した、とか辛辣評価をしているんですね。内容があまりに薄っぺらいし、そもそも過去の1000万円のそのブランドと比べているようですが、為替を考えてないし、そもそも論として車歴を見るとあまりに経験不足過ぎて話にならない。

そのレベルは個人ブログ程度で納めるべきもので、メジャーなメディアに出すもんじゃないだろうが・・・と思うのですが、プロも大した事ないのでそんな風になるんでしょう。ホント、今出ているカージャーナリストなんて、有象無象もいいとこです。

というわけで、本線に戻りますが、個人的な言語化のセオリーを踏んだうえで、素人の自分がある車を「バイアスなし」と「あり」で書いたとします。

書ける資格があるとすれば、例えば僕が理屈抜きに愛してやまないアストンマーティンの先代ヴァンテージと現行ヴァンテージの比較、、、とかでしょう。

まず、バイアス無し。

現行ヴァンテージは先代と比べて飛躍的にメカニズム面に置いて進化しており、技術面でつながりがあるメルセデスのAMG-GTと共通した2シーターFRスポーツカーのセオリーを踏んだ、正しいスポーツカーとしての立場を確立している事に、まず驚きを感じる。

先代ヴァンテージは、基礎的技術を2000年初頭にデビューした初代ヴァンキッシュのものを踏襲しており、2020年に差し掛かろうとする頃にデビューした現行ヴァンテージと比べると技術の先進性は数世代分といっても過言でなく、比べるべくもなくNewヴァンテージはより速く、より快適で、よりハイテクであることを約束してくれる。

具体的に、まず内外装において、内装は完全に世代を超えており、IT面においてもメルセデスの一世代前をベースとしながらコマンドタッチ可能なナビなど、少なくとも現代のユーザーが許せる及第点をブランドとして初めて超えてきていると思う。
また、デザインにおいても新しいデザインランゲージを獲得している、有機的なデザインは、今に置いては奇跡的なくらい大きな皮革面積を誇る内装に置いて、十分以上の満足感をもたらす事は間違いない。

走行面に関しては、先代ヴァンテージがアストンマーティンの範疇におけるスポーツカーであった事に対して現行モデルは他社のライバルとしてなりえる立場にまで成長した事を感じる。

まず、トランスミッションは先代のマニュアルORシングルクラッチロボミッションと比べ、圧倒的な洗練性を持ったものに変わり、しかもそこに接続されるのは最新世代のメルセデスAMG製V8ビターボエンジン。

先代の4.7リッターV8どころか、V12モデルさえを4リッター8気筒で超えて来るパフォーマンスは、まさに新世代アストン。

先代から受け継いでいるトランスアクスル配置も相まって、FRスポーツのお手本ともいえる挙動に終始する。面白いのは、テールハッピーなアストンのキャラクターを残しており、ここに置いては絶対的にはAMG-GTの能力には叶わないと感じる瞬間も多い。また、同じエンジンとはいえサウンドチューニングは全く異なり、これもまたブランドにおける考え方の違いを感じさせるものである。

総じて、他ブランドの同等車種が値上げしたこともあり、エントリーとしてみても魅力的なNewヴァンテージは、アストンマーティンの新しい顧客層を掘り起こすチャンスを見出した、新世代の異端児ではなかろうか、、、、、




こんな感じ。



次、バイアスあり。

旧型を乗っていて、その良し悪しを解っている身とすれば、新しいヴァンテージは、無し。

まず、アストンマーティンを語るうえで絶対的に必要なものは、雰囲気。パッと見て、何故この形にしたのか解らないフロントデザイン(グリルが途中のマイチェンで前のスタイルに戻る謎、というか前期のスプリッターみたいなグリル枠はダメだろ)。
先代ヴァンテージはDB9をデザインの元としつつ、主にBピラー以降をぎゅっと凝縮する、ある意味で乱暴なデザイン変更をしているわけですが、どうした事か純粋な2シーターFRスポーツとしては比類なき美しさを実現しているのは驚きしかないです。
普通なら寸足らずか、またはZ4Mクーペみたいな異形になりがちなところを、掛け値なしの美しい造形にもっていってるのは、イアン・キャラムなのかフィスカーなのか、どちらか知らないけど、切れている。

美しいだけでなく、DB9にはない緊張感を漂わせる事によって、よりスポーツする意思を明確に示しているわけで、あまりにも似ているくせに、あまりにも上手いな住み分けをしているのは、正直DB11とヴァンテージのデザイン分けより全然うまいと思います。その上のDBSってのも微妙にまた違うデザインランゲージで、なんか最近のは中途半端に統一感あるんだよなぁ、あれなら無い、か、ある、にして欲しい。

さらに言えば、各種パーツのコストは明らかに先代が上。ドアのメッキモールなんか、先代は「これ銀食器ですか?」というレベル。磨き上げると、これは普通じゃない・・・と思わせる輝き。内装にしたって、すぐにベロベロになる革とか、なんかすぐに割れるウッドパネルとか(使い方次第です)、美しさや様式美しか考えてない。

まぁ車に使う部材じゃないですね。カーボンにしても、ヴァンテージSはフロントは下部まで回り込む造形で、一発当てたらどうなるの?という感じ。現行は正直そこまでの「異常さ」は感じません。簡単にいえば、樹脂感強い。それ面白くない、でも足にするならこれだな、と思います。
オートカージャパンの笹本のおっさん、どうせ乗るなら云々と言い訳していたけど、現行ヴァンテージはエブリディアストンしてなんぼだろ、と思いました。

肝心のハシリは、パフォーマンス面はついに他と刺し違える絶対値になったのは間違いなし。なんせ、先代は、、、例えば価格面でお友達の911ターボとか、あのあたりとどうにも刺し違える事は無理でした。

なんせ、怖い。そういう意味では新しいのは怖さが無くなり、そして凄い速い。AMG-GTSと比べても、むしろこっちのが快適じゃないか?と思わせるくらいに、先代と比べて癖もなく、、、

ただ、個人的には700Nm級のトルクがいきなり下からぐ!っと出るので、その度にリアタイヤが路面をかきむしり前に進まなくなるのが、なんだかなぁ・・・と。

この辺りは、991.2型で「ターボで気持ちよくするとはなんぞ」と心得たポルシェが上手い。アストンマーティンは、確かにお尻が出てナンボのブランド味なのですが、現行のは何となくただただ空転する感じで、ある種の孤高さがあった過去のそれとは違うように感じてしまうんです。

デフのセッティングやタイヤメイクスを変えて、且つサスペンションのリセッティングで相当変わるとは思いますが、一時期「ヴァンテージのペースカーが遅すぎる!」とF1でバカにされていたのを思い出すことは思い出す味付けなのは間違いないないでしょう。

勝手な妄想ですが、まずデフはもっと前後グリップを優先させるとか、何か出来ないものか。タイヤは正直P-zeroじゃ役不足、その上のトロフェオでAMマーク入りをお願いしたい。足は素直にモノレートでぐっと固めたほうがシャシーの強固さも活きる気がします。

足して割れば、新しいヴァンテージは十分にアフォータブルだし、911や他と比べた時に、やはりアストンは刺さる!と思うのですが、それは他と比べた話であって過去の「性能はダメなんだけど、様式美は凄いのよ」というアストンとはちょっとな、、、と。

個人的な理想は、VHシャシー世代、それより前の完全なるクラシックアストンを持ちながら、例えばシルバーメタリックなどで地味に装う現代アストンを5年の耐久消耗車として使い切るカーライフですね。まぁ、、、天文学的な予算が必要なので到底無理ですが。

総じて言えるのは、そういうのをひっくるめて、嫉妬や羨望も認めつつ、それでもボクが選びたいのは先代ヴァンテージ、という事です。



と、全然違う文章になります。

どっちが面白いのか、私には解りませんが、確実にバイアス掛けたほうは、現代モデル乗っているユーザーにとっては不快になる可能性があります。

ただ、これってどうにもこういも偽りなき自分の感想であって、でもそれって一応ある種の基準を設けたうえで文章化しているつもりなので、決して好みの押し付けとか現代に対する否定でもないつもりなんです。

その、つもり、が読み手にどう思われるかが、本職さんの仕事なのでしょう。まぁ、僕にはそこまでは出来ません、お金にしてませんしね。

車って、作られる過程は文章とか絵を数値化して、理論化するわけですが、それを評価するとなると今度は文章化が必要なわけで、本当に面白いなぁと毎度思います。
Posted at 2023/11/05 23:51:46 | コメント(3) | トラックバック(0) | 日記

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