国産車における自動運転のトップランナーは依然として生産終了しているホンダ・レジェンドに搭載・限定販売された「ホンダセンシングエリート」です。
レベル3の実現をしているのは、この車だけで、Lidarセンサーを付けているのはレクサスLSのアドバンスドライブも同じなのですが、ノーモーションで車が勝手に何でもしてくれるのはレジェンドが実は上手なんです。
このホンダセンシングエリート、官公庁リースをメインにしたのかどうか知りませんが、一般的なところに出てくることはほぼ無く、初めて実物を見たのですが、それもそのはず100台しか作ってない。
そんななので、乗る事もないだろうと思ったらジャパンモビリティショーの場外試乗車に存在したので、乗ってみました。
高速道路での所作は驚きというか、ほんと、誰か優れたショーファーに運転を任せた感じになります。レーンキープや前後の調整の仕方が機械的じゃなくて、動きが何故か人間の操作、しかも上手な人間の操作に感じる不思議な感覚に陥りました。
メルセデスのレーダーセーフティやボルボのインテリセーフを始め、その辺りの各メーカーがすでに実現している自動運転制御より、はるかに洗練されていて、不安感が少ないのです。
なるほど、ソレくらい出来ないと、これが出来るわけないな、と思ったのは、完全にハンズフリー状態で、しかも搭乗者と会話を楽しんでいたら設定速度内で非常に自然に勝手に追い越しを掛けて戻る、という動作を車がしたんです。
まぁ、普通の出来事なんですが、でもそれが出来るクルマがこれしかないわけで、やはり普通じゃない。いや、普通に感じるくらいに自然にやってのけたので、本当に驚きでした。
一旦ハンドルを握る、とか、ウィンカー操作を必ずする、とか、何か1クッション入れればそれを実行する車は他にあるのですが、レジェンドのセンシングエリートが凄いのは、高速道路上であれば120kmh以下の速度域で勝手に何でもして、挙句降りるインターに向けて第三車線にいたとしても第一車線まで自動で戻るし(目的地設定をしていれば)、とにかく割り込みにも強いし、何につけ凄い。
ところが、これ他に積む予定が無いんですよね。Lidarセンサーが高いのもあるのですが、次に出る既存の改良版であるホンダセンシング360で十分現状の市場要求には応えられる、という認識なんだそうです。表向き。
ホンダって、離れ業でトヨタがやらんことをやるんですが、本質に結び付かずに終わる悲しい案件がたくさんある気がします。
そして、蛇足ながら思ったのは、久々に乗ったホンダ・レジェンド(マイチェン後は初めてでした)の乗り心地が、、、苦笑。
3.5リッターのNA6気筒がDCTと相まって、まぁ気持ちいいし、デカいセダンの中ではかなり運転が気持ちよいのですが、これミシュラン履いてるんだよね???と思わせるハーシュネスの強さに「やっぱりホンダって良くも悪くも、こうなるんだよなぁ」と思ってしまいました。
いや、いい意味では実にホンダなのですが、悪い意味でいえば、タイプRの味付けが高級セダンにまで浸透してしまっている感じで、ここは高級車の作り方が下手くそだな、、、と思ってしまいます。
なんとなく、ホンダセンシングエリートの凄みを活かしきれない理由が、ベースのレジェンドに乗って感じる何かに凄いリンクしている気がします。
なんか、惜しいんです、ここの会社は。
Posted at 2023/11/10 23:02:30 | |
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