
非常にこの車の印象を書くのが難しいです。
一言でいうと、凄く良いアストンマーチンで歴史上これ以上のアストンマーチンは無いけど、ボクが欲しい類ではない。
色々なブランドに乗れるだけ乗って、それでもアストンマーチンは自分が思う最高の車で、それ以上は見当たらないわけですが、DBSスーパーレッジェーラはDB11以降のアンディパーマー+エイドリアンニューウェイ主導の新世代アストンマーチンであり、ウルリッヒ・ベッツがDB9以降でヒットさせた世代とは全く違う車です。
アストンマーチン史上最も快適な走行環境と製品の安定感、他と見比べても最新のデザインランゲージの採用、その二点を実現したうえでのアストンマーチンらしい唯一無二感はさすがとしか言いようがないです。
ただ、これはほんと個人的な意見なんでどうでもいいんですが、疑問符もあります。
まず900Nm必要だったかなぁ・・・あまりにトルクがありすぎで、ドラマチックな加速でなくて只管トラコン入るか、解除すればホイールスピンするか。そういうキャラクターはデーモンとかヘルキャットって名前が付いた車に任せてスーパーレッジェーラは違う方向性で良い気がします。
812スーパーファストは800馬力と鬼のような馬力ですがトルクはNAですから回転に伴いついてくるタイプですから、そういう悩みは無さそうです。FFとGTC4ルッソしか知りませんが、AWDであることを差し引いても踏めるんですね、こっちは。
2000rpm前後で最大トルクに達して、しかも900Nmですから305幅のタイヤがいかにグリップしようが、空転やむなしです。MもAMGもみんな低回転域からフルブーストが掛かって絶大なトルクが出るクルマはAWD化されてますが、そういう事なんですよね。
個人的には性能はいざ知らず旧来のV12NAエンジンの方が気持ちいい加速であったと言えます。
それ以外はトルコンATで非常に快適だし、サスペンションもよく動くし、ちょっと見切りが悪い以外は運転もしやすく、大変良い車だという印象を動的質感からは感じました。
他にある違和感は、というとインタフェースでしょうか。
DB11でフル液晶化されたメーター類がイマイチというか・・・ここはポルシェはさすがだな、と思うのはタコメーターだけアナログで残している事です。フェラーリも確かそうだったと思いますが、それこそ機械式の高級時計が残っているように、高級車には一部はアナログ指針の方が似合う気がします。
この辺りはメルセデスとの部品共用が裏目に出ている気がします。
グラスキーが廃止されたのもちょっと寂しいです。刺しても刺さなくてもいいんですが、基本的にはメルセデスのキーがベースなんでしょうけど、アストン独特の儀式みたいなものが無くなったのはやはり寂しいです。
グラスキーは割れるし不便なんですが、それでもキーポーチに入れて持ち歩いていると、何となく気分はいいもんです。普通のキーだとなんかなぁ・・・
結局のところ、時代の流れに乗ったAndメーカー規模から考えると捨てざるを得ないDB9世代の個性、こういう部分がアンニュイな気分にさせるんでしょう。どのメーカーも持っているジレンマですね。
そうなると、意地でもNAのV12でスポーティネスを発揮させているフェラーリとランボルギーニはすごいんですが、これも早晩何かしらの変化があると思います。
アストンマーチンはヴァルキリーとかヴァルハラでそのレベルを発揮しようとしていますが、これは常人では買えない世界ですから、それこそ初代ヴァンキッシュとかから最後のヴァンキッシュSの間のV12NAアストンマーチンを手にしてエンジョイ出来るというのは、大変幸せなんだとボクは思うし、これら車を手にした場合、例えば別段こだわりなく法人所有で税務面での得点もなくなった、とかいうこと以外であれば今のアストンマーチンに乗り換えなくても良い気がします。
確かに、いい車なんですが、これならS65クーペでもいいかな、とかおもってしまうし。無論形はアストンマーチンですし、足回りの味付けとかはまるっきり違うし、二台並んでどっちもタダならDBS持っていきますが、S65クーペはじつにわかりやすい記号性があるから足とすれば楽ですし、ドライバーズエイドも格段に上で、しかも1000万円安いです。リセール極悪はどちらも変わりないですし。
もし、今自分が通常ラインの新車のアストンマーチンを買えるとすれば、次はEV化されてラゴンダと統合され、もう二度と作られる事は無いであろう流麗な4ドアであるラピードSを購入しますね。
別にドライバーエイドが無くなって、ちょっと固めの足だって、ステアリングポストが手動だって、それはアストンマーチンの魅力をそぐわけではないし、それよりもラピードが持つ個性こそがボクのアストンマーチンへのいざないを掻き立てるものに他ならないので。
Posted at 2019/02/28 12:28:06 | |
トラックバック(0) | 日記