
子供用の絵本でジオジオのライオンて話があります。
中年のおっさんライオンが、若手に比べて精彩を欠いて、しかしながら考え方を変えて中年ならではの知恵や経験を活かせば素敵な人生になるじゃないか、という絵本です(注:おっさんであるボクの解釈です)。
実にいい作品ですが、現実世界のライオン社会では100%あり得ません。彼らの社会では経験や知恵は特に貴ばれることもなく、狩りや群れを守る戦闘力が加齢により下がっていけば、退場させられ死を迎えます。
ライオンの野生下における平均寿命は10歳から15歳で、これは人間でいうと30歳から45歳くらいなんだそうです。要するに、喧嘩で勝てる限界がそこら辺なわけです。喧嘩もなく狩りの必要もない、挙句医療さえ受けられる動物園みたいな環境だと5~10年寿命が延びるそうです。
そうなると病気やガンなどが発生するわけですが、これは実は人間も同じで、人間の遺伝子的な正確性も45歳付近から劣化し始めるそうです。60歳辺りを近辺にして急激に発がん率が高くなるのも、そもそもそこまで生きる計画を設計図が持ってないので、エラー率が高くなるんだそうです。
ジオジオのライオンも、多分老いを経験することになるので、やれ腰痛いだ糖尿病の検査だ、そんな話をするのかもしれません。
さて、人間の話に戻すと、さっき書いた通り人間も実は設計上は45歳までがせいぜいの生き物。個人差がある事は遺伝子的な調査でも解り始めたので、誰もかれもが同様の劣化をしていくわけではないようですが、それでも身体的な馬力でいうに40過ぎたら劣化は免れないと思った方がいいでしょう。でも、現代社会において、人生が40過ぎたらどえらく劣化するわけでもなく、むしろそこからが本番とも思えるシチュエーションがあります。
人間が年を取っても許されるのは知恵や経験が何物にも代えがたい場合があるからです。特に、農耕民族はその感じが強い気がしますね。敬老精神が強い、狩猟民族はそこいくと、マンモス追っかけられないなら死ね、みたいなものが根底にあるのか農耕民族ほど敬老してない気がします。
まぁ、老害なんて言われる場合は、ただ生存年数が長いだけで大した経験も知恵も無くて若年の参考にならないばかりか足を引っ張っているケースが殆どでしょう。若年層が前ほど敬老精神を持たないのも大いに影響しているとは思いますが。
閑話休題。
クルマでいうとどうなんだろう?
動体視力や筋力、体力の落ちを経験や知恵でカバーする、場合によってはそれ以上に経験値が運転技術の向上を図る場合も大いにあります。自分も18歳の時と比べたら今の方がはるかに運転は上手いです。
ただ、それって運転に必要な力が、例えば常時背筋120kg出せとか、そういう体力の限界を求めないからです。18歳時より下手になったのは、いや、不得意になったのは体力が落ちた為に不眠不休ドライブが出来ないことくらいでしょうか。
というわけで、明らかに筋力が衰える50ないし60歳くらいまでは、案外そこそこ、、、35GT-Rで毎日タイムアタックとかそういうのじゃなければ、カーライフは楽しめます。
が、どこかでクルマといえど、自分の身体的損益分岐点にぶつかる時が来ます。
ぶつかった途端に、ああ!もう駄目だ!と思いたくない、そう思った自分が考え、やや実践しているのは、年齢によって楽しめるクルマを変えていこうという事です。
これ、とても難しいんです。乗れるうちに乗る!まだ乗れる!という自分の気持ちとは裏腹に、年齢による劣化を認めて、その範囲内で楽しめるようなものへシフトするわけですから、自分の認めたくないものを認める必要があります。
ただ、これはある種の死生観にも影響すると思っています。
日本人は不思議なことに、年齢をいくら重ねても死に対して動揺する人が多いんだそうです。これは、さっきの農耕民族と狩猟民族の差もあるようで、歳をとっても比較的貴ばれるので、自分の劣化や老いに目が行かず、いざ死にそうになり始めた時に心の準備が出来ていないのでは?という説があるそうなのです。
みんながみんなポールフレールでもないし、小林彰太郎ではないわけで、やはり凡人たる自分は、忸怩たる思いを秘めつつ老いを受け入れるわけです。
結果、スパイダー乗ったのにSで981ボクスターに戻る、という事があったり。これも、今なら乗れるマニュアルだけど、今じゃあれほどのエネルギーを常時使えない・・・と思った節があります。
蛇足ですが、若いですね!と言われるのが嫌いです。
それって、前置詞における「実年齢のわりに」が抜けてない?って思っちゃうんです、笑。
若さの秘訣、とか若さをキープ、とか嫌いです。
若いって、どうしてそこまでいい意味で捉える人が多いのか解りません。老成している、の方がボクはうれしい。
若さだけで言ったら、ピッチピチのお肌の赤ちゃんに勝てるはずもなく、あのピュアさはもはやどこにもありません。若さ自慢している実年齢ばば・・・
やめとこう、読者が減る、苦笑。
というわけで、何が言いたいのか、というと、人間何時かは死んじゃうし、歳をとる、体力も落ちるし膝も痛くなる。乗れるうちに乗りたい車には乗るし、でも乗れなくなったらしがみつかない、その為に今からその次の老いた自分が自然体で乗れる車をうっすらでも考えておく。
そうすると、いつか車自体乗れなくなっても、他の趣味も見つけてあるかもしれませんし、まぁいつ死んでもいいんだよ、と前向きな死生観を持てるかもしれません。
、、、ラストオブラインが出ていやがる、、、煩悩の鎮め方を誰か教えてくれたら完璧なんですけどねぇ、苦笑。
Posted at 2023/10/20 11:22:10 | |
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