
ある程度距離を走ってから、ガソリンを給油したら
「お、給油前よりエンジンが力強い感じがする」っていう経験がありませんか?
でも、暫くすると
「ん、気のせいだったかな?」ってなる。
ま。感じる人もいれば、感じない人もいるでしょう。
なんとな~く気が向いたので、順序立てて解説してみようかと思います。
※なかなか難解な内容ですのでお読みの際は知恵熱に注意しましょう。
文章能力がないとも言う(爆)
給油に際してパワーに影響があるということは
燃料系に関する現象であると予想を立てます。
その上で燃料系に何が起こるとパワーの上下に影響するのか?
重要なのはこの3つ↓
①燃料の圧力
②燃料の温度
③燃料の密度
キャブと
FI(フューエルインジェクション)では少々話しが変わってきますが、現在の多数を占めるFIで話していきます。
FIは燃料ポンプを用いて燃料タンクから燃料をエンジンまで圧送しています。
インジェクターまで燃料に圧力をかける事で、
「インジェクターが開く→燃料噴射」となるわけです。
で、インジェクターは開度を調整しません。
全開全閉の制御で開く時間をECUでコントロールしています。
なので、燃料圧力が変化すると、燃料の噴射量が変化します。
(圧力が高い=噴射量が増える/圧力が低い=噴射量が減る)
こう考えると、給油前後における圧力の変化が影響をもたらすのか?という疑問になります。
では、給油で圧力が変わる要因とはなにか?
給油口の開け閉めですね。
給油口を開けるとプシュと圧力が抜ける音がします。=燃料タンクの圧力が大気圧になる。
燃料ポンプは可変流量タイプではないので常に一定の仕事をこなそうとします。
なので大元の圧力が変化するとポンプの送液能力が変動します。
(
タンク圧力が上がる=送液能力は上がる/
タンク圧力が下がる=送液能力は下がる)
ではコレによって影響がでるのか?
しかし残念ながら、FI制御はそんなにやわではありません。
燃料の圧力を一定に保つように制御をしています。
ポンプで加圧された燃料はエンジン(インジェクター)まで到達したあと燃圧レギュレーターという部品で圧力調整がされます。
エンジンコントロールに必要な燃圧に加圧して、余剰分を燃料タンクへリターンさせています(差圧制御による)
リターン量を変える事で必要燃圧を一定に保っているのです。
ちょうど良い画像があったので参考までに↓
燃料はタンク~エンジンをぐるぐる回っているのです。
燃料使用量が増えればその分リターン量が減り、燃圧は一定に保たれる。
なので、燃料タンクの圧力が変わろうがエンジンに影響はありません。
※ちなみに、キャブ車は燃料ポンプを持っておらずエンジンの負圧で燃料を引っぱるので燃料キャップの圧力弁が不調になってタンク内に大気を吸えなくなると、タンク内がどんどん負圧になっていき最終的に燃料を吸うことが出来なくなり失火する事例もあるようです。
さて、ではなにが真相なのか?
大事な事は
”燃料がタンク~エンジンでぐるぐる回っている”
ということ。
それによってなにが引き起こされるのか・・・。
燃料がエンジンの熱によって温められてタンクに戻ってきます。
ということは、走り続ければ
タンク内の燃料の温度が上がっていきます。
普段あまり気にはしないでしょうが、走行後の燃料タンクの温度って結構上がります。(夏場では80~90℃以上まで上がったりする場合も)
※バイク乗りの方が実感しやすいかもしれません。単純にエンジンやフレーム等から貰う熱もありますがバイクのタンクはかなり熱くなりますね。
※ガソリンの沸点範囲は17~220℃。自然発火温度は300℃なのでこのくらい温度が上がっても特に問題はありません。
さて、では温度が上がるとどうなるのか?
温度が上がると圧力が上がります。そして体積も増えます。
圧力が上がることに関しては前述のとおりFI車では影響はありません。
なら体積の変化は?
→温度上昇により体積が増えるということは
密度が低下するということです。
ガソリンの密度はJIS規格で、
「15℃において0.783g/cm3以下」と決まっています。
ではガソリンの温度と密度の変化を見ていきましょう↓
℃ 密度 %(15℃基準)
-10 0.802 102.427
-5 0.798 101.916
0 0.794 101.405
5 0.791 101.022
10 0.787 100.511
15 0.783 100
20 0.779 99.489
25 0.775 98.987
30 0.772 98.595
35 0.767 97.957
40 0.763 97.446
45 0.759 96.935
50 0.755 96.424
55 0.751 95.913
60 0.747 95.402
65 0.743 94.891
70 0.739 94.381
75 0.735 93.870
80 0.731 93.359
85 0.727 92.848
90 0.723 92.337
95 0.719 91.826
100 0.715 91.315
15℃を基準とし温度が100℃になれば密度は約8.7%下がります。
8.7%密度が減少するということは、単純に
燃料供給が8.7%低下するのと同義です。
インジェクタは量しか調整できず、温度/密度は見ていない。
当然燃料が8.7%絞られればパワーも出なくなります。
そこで
ECUが介入してきます。A/F(空燃費)制御ってやつです。
吸入空気が変わっていないのに燃料密度が低下すると、
空燃費はリーン(希薄)方向へ向かいます。
そうなるとECUは目標の空燃費になるように燃料の
噴射量を増やしに行きます(密度の低下分を量で補う)
そうして目標の空燃費になっていれば燃料密度低下しようと元の密度と同様のパワーがだせます。
制御範囲を逸脱しない限りこの制御を繰り返します。
(基本的ににどこか異常でない限り逸脱はしません)
走り出す→燃料密度が低下する→噴射量を増加→密度低下→噴射量増加→密度・・・
と繰り返します。
で走り続けて給油に行くのですが、それは
密度が低下していき燃料噴射量が増加された状態のECU制御となっている訳です。
熱くなって密度が低下した燃料タンクにGSで冷えたガソリンを給油します。
すると、当然冷却されます。
冷却されれば密度も上がる(元に戻る方向)
給油を終えその状態で走り出すと、まだECUは燃料噴射量を増加させた状態で制御しようとするので
空燃費はリッチ(濃い)となります。
リッチなので当然パワーがでます。
これが給油をした直後のパワー感の正体です。
しかし当然目標空燃費よりも濃いので今度はECUは
燃料噴射量を低下させに行きます。
なのでちょっと走るとパワーアップした感覚は無くなり、いつもの感じになる。というわけです。
”燃料温度が上昇→密度が下がる→ECU燃料噴射量増加→給油→冷却され密度上昇→空燃費にズレが生じる→ECUが戻しに行く”
という仕組み。
つまり、
給油前後のパワー感は密度変化に対するECUの制御の遅れのよるものなんです。
というわけで、ちょ~どうでもいいような現象の解説でした(爆)
ほんとど~でもいいですね。だからなんだっていう。あっはっはwww
私の文章能力も相まってなかなか理解し難い内容だったのではないでしょうか。
読み難かった?・・・そんなもんだと思ってあきらめてください(爆)
余談↓↓↓↓↓
ちなみに、この現象について考察してる人が他に居ないかな~と思ってネットを徘徊していると・・・
ちらほら見られた別件が・・・
それは、
「ガソリンは寒い日に給油するほうがお得だ。」と言ったもの。
要は温度が低いと密度が上がる(体積減少)。給油機はリットル表示なので同じ量でも密度が高いほうが得であるという内容。
※たとえば-10℃のガソリン30Lは、15℃のガソリン30Lに対して密度が2.427%高いので、30L×1.02427=30.728Lなので0.728L分の得である。という理屈。
GSは地下タンクなので外気温の影響は受けづらいのであまり意味は無いかも。とかいう意見もみられましたが。
面白いですね~www
まぁ、給油機は温度補正してるので温度による影響はま~~~ったくないですけどね。
考えてもみてくださいな。ガソリンや軽油等には何が掛かってますか?
税金が掛かってます。
正確な量が測れなければ脱税になってしまいます。給油機をナメてはいけません。
素人が思いつくような抜け道なんて当然カバーしているのです(笑)
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Posted at
2013/12/14 22:44:56