
ようやく仕事の激務期間が終わります。
連日暑い日が続いてます、続きます。
ってかもう夏ですね。
久々の休みだバイクだR6だ。って気温30℃超えでは走っても涼しくも何ともありません。
って事(?)で、2ヶ月ぶりのブログは
水温に纏わる誰得話です。
※実は昨年の夏に書こうと思って下書き書いて忘れていたものを今頃書く訳では決してありません。
さて、水温を下げたい時に手を出すパーツってなんでしょう?
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私は
「ラジエーター交換かLLC交換」って答えます。
・・・さて、のっけから答えを書いてみました。皆さんはなにを挙げましたか?
冷却系のパーツってそんなに無いので挙がるのは他には、
①高圧ラジエーターキャップ
②ローテンプサーモスタット
といった所だと思います。
この2つってホントに冷却に効果ある?ってのを解いてみようと思います。
まずは、
①高圧エラジエーターキャップについて
これは設定圧力を上げて沸点を上昇させるものですね。
沸点を上げると
どんな良いことがあるのでしょう?
→より高温にしても冷却水が沸騰しません。
以上です。
え?
いやホントに以上なんですよ。ラジエーターキャップの圧力を上げても
冷却水の温度は1℃も下がりません。
圧力をかければ沸点は上がりますがそれだけです。オーバーヒートまでの許容できる温度が上がるだけ。
ちなみに設定圧力と沸点の関係は↓
88kpaで約119℃
108kpaで約122℃
127kpaで約125℃
となります。
108kpaから127kpaに交換しても沸点は
3℃しか上がりません。
というか冷却水温度が120℃まで上がったらさっさとクールダウンしないとダメです。
水温計のメーター誤差とキャップの開弁温度の誤差を加味すれば、ギリギリ122℃まで攻める・・・なんてできないですし、かといって125℃になっても安心できませんよね。
ちなみに冷却水の沸点は濃度でも変わります。
エチレングリコールの方が沸点が高く、水の方が沸点が低いので、水の濃度が高いほど沸点は下がります。
※1気圧下での水の沸点は100℃。エチレングリコール(95.5%以上)の沸点は198℃。
さらに言えば108→127kpaにしても沸点は3℃(2.4%増)しか上がらない。でも
圧力は17.5%増加します。
つまり冷却水ラインが漏れたりする要因になるというデメリット付きwww
続いて、
②ローテンプサーモ
こちらはサーモスタットの設定温度を下げて通常より早めに冷却水を循環・冷却させるというもの。
お、こちらはなんだか冷却に効きそうじゃないですか?
ってのは落とし穴で・・・。
車にもよりますが、
・純正サーモスタットの設定温度は80℃前後。
・ローテンプサーモの設定温度は70℃前後。
のものが多い。
およそ10℃程度、設定(開弁)温度が違います。
これが何に効くのか?
サーモスタットは冷却水の温度が設定温度になったら開き始めます。つまり、通常70℃程度からラジエーターに通水を開始していき冷却を始めます。
エンジンは熱が掛かった状態が適正なので、
80~90℃程度で一番丁度良い温度です。
低ければオーバークール状態で、機器クリアランスが適正でなく各部の磨耗を促進。燃料の霧化が上手くいかず、燃費の悪化や燃焼室内のカーボン体積などにつながります。
逆に高ければオーバーヒート状態で、異常燃焼によるノッキングや、エンジンオイルの組成変化による潤滑性の低下などが起こります。
ローテンプサーモで問題になるのは温度設定が低い為に起こる、オーバークールです。
純正サーモは適正温度になるまでは冷却水の温度を極力上げるために弁を閉じていますが、ローテンプサーモは
オーバークール状態でも冷却水の温度を下げにいってしまいます。
そして、キーポイントがこちら。
→温度が80度程度からは弁開度は全開となる。
サーモスタットは設定温度+10℃程度で弁開度が全開となります。
これが、何を意味するのか?
↓↓
水温が100℃のときは純正サーモでもローテンプサーモでも開度は同じ(全開)という事。
温度が上がってしまえば、純正サーモでもローテンプサーモでも冷却性能は一緒なのです。
つまり、冷却性能は一切上がらない。その上、街乗り等の低負荷時にオーバークール状態を促進するデメリット付き☆
サーモスタットというのは冷却を開始するタイミングを司っているものであり、冷却性能そのものには関係していないのです。
と言う事で、2点。高圧ラジエーターキャップとローテンプサーモ。どちらも冷却性能を上げる効果自体はないのです。
ただし、もちろん
完全にムダなモノではありません。
高圧ラジエーターキャップは本気でちょっとでもギリギリを詰めるセッティングが必要な場合は効果がありますし、ローテンプサーモも短距離スプリントやジムカーナなどの極短い時間での本気走行などの際にはメリットがあります。
ま、街乗り~峠仕様車には無用の長物でしょうね。
※インプレッサはラジエーターキャップが2つ(108kpaと127kpa)付いてますが、先に吹くのは108kpaのほうです。127kpaのやつはタービン出た直後の高温冷却水(蒸気リッチ)を受ける容器についているもので、ちょっと高めの設定になっているだけです。(同圧にしておくと、局部的な圧力上昇で吹いてしまう)
さて、では実際に冷却能力を上げるには何をしたらいいのか?
ってのっけに書いてますが・・・
①ラジエーター交換
ラジエーターは冷却水の温度を下げている部品です。そのラジエーターをもっと冷却性能の高いものに交換してしまえばいい。
例えば、コアを厚くするとか。(ただし厚くしすぎすると通過流速が低下して反って冷えないこともある)
例えば、材質を変えるとか。(アルミor銅が一般的)
温度の上がった冷却水から直接熱を放熱させるのがラジエーターの役目なので、ラジエーター交換はとっても効果があります。
②LLC交換
LLCの主成分は水とエチレングリコール(+α)です。
エチレングリコールは冬季の凍結防止、消泡、ラジエーター内の腐食防止効果が有り、通常濃度は30~40%程度です。
このエチレングリコール。実は冷却という点では邪魔者です。
エチレングリコールは比熱が水の半分程度しかなく、熱を奪いにくいのです。
※エチレングリコール濃度が30%のLLCは、水100%のときよりも冷却能力が13%前後悪化します。
つまり、逆に言えばエチレングリコールの濃度を下げると冷却性能が上がるわけです。
エチグリ濃度毎の冷却能力(概算)
0%・・・100%
10%・・・96%
20%・・・91%
30%・・・87%
40%・・・83%
50%・・・79%
が、世の中そんなに甘くない。上記でエチレングリコールの効果を書いてますが。
水100%だと、ラジエーターが腐食してダメになる。冬季は使えない。温度が上昇すると気泡が発生して伝熱効率が落ちるというデメリットがあります。
更には、濃度が低すぎるエチレングリコールは腐食性が増す(10%程度だと腐食が発生する)ので、事実上薄めて使えるのは20%程度まででしょうか。
と言う事で
LLC濃度を調整することで、冷却性能を上げることが可能です。
或いは、レーシングクーラントを使用するのも(一応)手です。
※一応と書いた事を補足しますが
レーシングクーラントはエチレングリコールではなくプロピレングリコールを使用しています。プロピレングリコールの方が冷却性能が高いからなのですが・・・
--比熱--
・水:4182 (J/kg20℃)
・エチレングリコール:2382 (J/kg20℃)
・プロピレングリコール:2470 (J/kg20℃)
比熱がエチレングリコールとプロピレングリコ-ルで殆ど差がありません。(その差なんと約3.69%)
レーシングクーラントは価格が高いですが、価格の割りには効果が低いのです。
まぁレーシング用なんてのは総じてそんなもんだといったらそうなんですけどね。
という事で冷却能力を上げる
大きな手はラジエーター交換とLLC交換の二つです。
他には小手先の手段として、ラジエーターへの導風効率を上げる(シュラウド取付など)。ラジエーターファンの性能強化(風量UP)。ラジエーターへ散水。などもありますかね。
あ、奥の手(?)としてはウォーターポンプを大流量のものに交換するなんてのも・・・。
→循環水量を上げる事で冷却水の温度を下げる・・・事が出来るかもしれない。
→流速が上がる事で逆に熱交換効率が下がるかもしれない・・・。
どっちに転ぶかは分かりません(爆)
温度を上げる事は簡単でも温度を下げる事って結構大変なことです。
何がどう作用するのか?見極めが難しいところではありますね。