こそこそと少しづつ進めている事があります。
少し前にちらっとブログでお見せしましたが、GDBインプレッサで使用していたプロジェクトμの2ピースローターSCR-PRO。
これの整備をしてます。
インプレッサを手放すときに「これは…」と思って取り外して手元に置いておいた品なのですが…。
「これは…」の意味は最後の方で。
2ピースローターなので、ディスクとハウジングを分離できます。プロμカラーの緑色のアルマイト処理が特徴ですね。
しかし結構長い事使用していて、取り付けたのは2013年7月。…7年も前ですね。
とはいえディスクの減りはまだ使用限界ではなく、スリットもしっかり残ってます。
これを綺麗に整備していこうかと。
綺麗にと言っても主にハウジングの部分ですけどね。ディスクは消耗品ですし、錆びててもブレーキかければ落ちますので。
裏面がハブ側の錆びを貰ってまっ茶色です。(左側)
で、とりあえず水と真鍮ブラシで落とせるだけ落としてみました。(右が洗い済)
左が整備済。右が整備未。
ハウジングとディスクは1つ当たり10本のボルトで留まっており、合計40本のボルトナットがあります。
ボルトナットは新品を買っても良かったのですが、1ローター分で\3000するので整備する事に。
錆をワイヤ-ブラシで落とし、緩み止め剤(オレンジのやつ)をタップとダイスで全部落としていきます。
ハウジングの洗っても落ちない汚れを#600パーパーで落としていきます。
これは塗装前の足付けを兼ねてます。
左がペーパー掛け後、右が洗いのみ。
汚れの酷かった裏面で比較。
アルマイト層に浸食してしまっている部分もあるので完全には落とせませんでしたが、塗装するのでほどほどで止めます。
4枚ともペ-パー掛けしたら塗装に入ります。
使用する塗料はソフト99の耐熱ペイント。600℃まで耐えられる耐熱塗料です。
チタンカラ-で塗ってみました。
この写真だとただのシルバーに見えますね。
耐熱塗料なので自然乾燥のあと、焼き付けが必要です。取説には150℃で1時間と書かれています。
ハウジングを焼く設備なんてないのであり合わせでいきます。
とりあえず、ハウジングをかけておくスタンドを作ります。2枚置けるので2枚づつ焼き付けしていきます。
塗装したハウジングをスタンドにセットするとこんな感じ。
で、左に見えてますが…
普段は駐車場のゴミ箱に使用しているペール缶様にIN!!
ヒートガンで加熱します。 HI 550℃のパワーでどこまで温度を上げられるか!?
温度を測ってみると、高い所で約140℃。低い所だと120℃程度の所も…。
まあ金属であるペール缶本体を保温もせずに加熱しても放熱分がかなりあるのは仕方がない。
まあ120℃以上をキープできていれば焼き付けには問題ないでしょう。温度の分は長めに2時間キープでいきます。
※勘違いしている人もいるので注意
①耐熱塗料ではない普通の塗料でも焼き付けを行うと丈夫になると思っている方。
→耐熱塗料は熱を加える事で重合反応で硬化する塗料なので焼き付けが必要です。
→普通の塗料は重合反応しないので、いくら熱を加えても意味がありません。
②ハウジングやキャリパーを耐熱塗料で塗って実走行で熱を掛けたつもりになっている方。
→焼き付けに必要な温度に到達させ、尚且つその温度を規定時間維持している事は非常に困難です。
→きちんと温度と時間を管理できる状態で焼き付けを行いましょう。
2x2時間かけて、4枚とも焼き付け完了。
チタンカラー…ただのシルバーとは少し違う色味でなかなか渋い色になった気がします。
ハウジングとディスクを組み付けます。フロントは簡単。
リアはPブレーキ用のドラムブレーキ付きなので、ハウジングを叩いて嵌め込みます。
塗装をしてしまっている分きつくなっているので、ハウジングだけヒートガンで加熱して焼き嵌めの要領で嵌めました。
嵌めたらボルトナットで固定します。(ボルトナットはきちんと緩み止め剤を塗布して締めましょう)
4枚とも合体完了です。
明るい緑色からチタンカラーになって一気に違う雰囲気になりましたね。
さて、これでとりあえずSCR-PROの整備は完了です。
では、なぜ今86(穹)に乗っている私がGDBインプレッサ用の2ピースローターSCR-PROを綺麗に整備しているのかという話です。
まぁ、お察しかもしれませんが…
このSCR-PROを86(穹)に取り付けようと思ってます。
はい。アホですよね(笑)
インプレッサ同士なら世代を跨いで互換性があるのは周知の事かと思いますが、車種を超えようかと(爆)
86(穹)に乗り換える時からどこまでGDBインプレッサと互換性があるかな?って色々考えてました。
同じスバル車ですし、似ている部分が多くあるので。
※しかし、86(穹)はスバルとトヨタの部品と設計が混在する特異車両でもある…。
品番という点で見れば、フロント用SCR-PROはGDBインプレッサと86/BRZは同じ品番なんです。
・品番:GPRF058
つまり、フロントはそのまま流用できる。
問題はリアで、こちらは品番が違います。
GDB:GPRF059
GRB/VAB:GPRF060
86/BRZ:GPRF061
困ったことにインプレッサでも年代で品番が違うという。
もうちょい細かく見ると…交換用ディスクの品番はGDB~VAB、86/BRZですべて品番:GF059R/Lです。
GDB:GF059R/L
GRB/VAB:GF059R/L
86/BRZ:GF059R/L
ハウジングのみ単品で見ると
GDB:BHF059
GRB/VAB:BHF060
86/BRZ:BHF061
つまりディスク部分は共通で、ハウジングが違うという。
じゃあ、ダメじゃ~ん。 ってなるのが普通なのでしょうが…。
なまじ長い事インプレッサを弄ってません。こいつらで何が違うのか?って事に心当たりがあります。
それはPCDです。
GDB:100 or 114.3
GRB/VAB:114.3
86/BRZ:100
こういう関係なんですね。
GDBインプレッサはA~D型はPCD100でE型からPCD114.3になりました。(私はGDB-Fだったので114.3だった)
なので、私の持っているGDB用のハウジング(BHF059)は100と114.3の両方の穴(10穴)があるタイプなんです。
GDBの次のモデルであるGRB以降は114.3を継続しており、100のモデルは存在しません。なのでプロμもPCD114.3専用をラインナップ(※)。
※恐らくGDB用でも使用可能ですが、今後の事を考えて共有化せず別品にしたのかと。(製品の穴を開ける数が倍違うのでコストに影響する。どうせ受注生産なら穴の数は車種専用でいい)
※GDBは後述する不具合があったので、GRB用以降はおそらく対策品です。
なのでGRB/VAB用のハウジング(BHF060)は114.3の穴(5穴)しかありません。
対して86/BRZはPCD100専用です。なのでハウジング(BHF061)は100の穴(5穴)しかありません。
まとめると、
GDB用→100、114.3両対応
GRB/VAB用→114.3専用
86/BRZ用→100専用
こういう関係だろうと推測できます。
つまり、GDB用はGRB/VAB、86/BRZすべてに対応している。…筈
しかしこれでは推測の域を出ません。なので86(穹)が納車されてからこっそりとSCR-PROと86(穹)の純正ローターのサイズを計ってました。
結果はSCR-PROの方がハウジングの肉厚が1mm厚く、全高が2mm高い。ディスクの肉厚が2mm厚い。ディスク径290→316mm。
外寸的な影響でいうとホイールが1mm外へ出る、ディスク面が1mm内側へオフセットする事になる。
GDBインプレッサも「ホイールが1mm外へ出ます」というのは表記されていたし、バックプレートに干渉してハウジングのボルトが削れる(爆)という不具合もあったのでディスクが内側へオフセットするのも元々そうなのでしょう。
なお、不具合の対策でGRB以降はおそらくハウジングは対策品です。
GDB:GPRF059→全高67.0mm(実測66.5mm)
GRB/VAB:GPRF060→全高64.0mm
86/BRZ:GPRF061→全高64.0mm
全高がGDBとそれ以降で製品情報では3mm違います。86(穹)のローターとの実測では2mm差でしたが。
おそらく干渉しないように、高さを低くしてあるのでしょう。(実物を見ていないので断定はしません)
とはいえ、GDBとGRBで構造差はないのでGDBに使えればGRBにも使える筈です。(バックプレートに干渉しないように対策は必要ですが)
ちなみに86/BRZにGRBリアブレンボキャリパー&ディスク(PCD100加工)を流用するケースもありますので、GRBと86/BRZの違いはPCDのみ。
つまりはPCDを除外すれば[ GDB = GRB/VAB = 86/BRZ ]とみていい。
という事で、寸法的には問題なし。
GDB用(GPRF059)と86/BRZ用(GPRF061)の違いは、「上記不具合の対応がされているかどうか」「PCD穴」でしょう。
さて、後の問題はローターが純正より大きいのでバックプレートにぶつかって取り付けられない事。(リアのみ)
これはバックプレートを一部カットすることで対応できます。
そして一番の問題は私の86(穹)は片押しキャリパーだという事。
SCR-PROはディスク面の厚さが純正ディスクよりも厚いので、片押しキャリパーは入らない。
つまり、このSCR-PROを使いたければキャリパー交換な訳です(爆)
まぁ…そういう事ですよ。あとは言わずともわかりますね。
という事で乞うご期待!?