
え~。最近話題の軽スポーツ(スポーティ?)
S660と
アルトターボRS、そして同系比較として
コペン。に一気乗りしてきました。
主目的は
S660ですけどね。
では、試乗の感想です↓↓
●S660 (6MT)
○エンジン/ミッション関係
まずはエンジンですが・・・
Nシリーズそのまま流用だそうです。(S06Aエンジン)
もちろん
CVTもね。
と言う事で、
エンジンが死んでます。
一応タービンは変更されてます(IHI→三菱)が、
レスポンスアップの為の小径タービン化です。
決してスポーティにパワーアップしようとして乗せられてるものではないです。
実際にレブまで回してみましたが・・・
加速感ゼロ☆
まぁ結構いい勢いで回りはしますよ。ギア比がギア比なんで。
エンジンスペックは2600rpmで最大トルク。4500~7700rpmまで
馬力フラットです。
加速感ってのは馬力がフラットだと感じません。
むしろ失速していく感じがします。
S660はアクセルを踏んでいっても加速感がなく進んでいきます。
スポーツカーでそれって・・・どうなのよ。
ただ回るだけで官能性ゼロのエンジン特性です。カタログどおりの性能でした。
あ、
発進加速は良いですよ?だって
そこに全振りしたエンジンなので。
という事で完全にエコエンジンのNシリーズエンジンそのままの特性です。
それに加えて、S07Aは耐久性が64PSギリギリで設計されているので
パワーアップも期待できない。
手が加えてあれば可能性もあるかと思いましたがパワーアップできるように改造するくらいなら、そもそもこのエンジンを載せるべきではない。エンジンの設計段階で指向が違いすぎます。
S660は時代に恵まれませんでしたね。今のホンダはS07Aしか持って無いので選択肢がなかったのでしょう。
あとは、S1000とか巷で噂されてますが、現状で1000ccエンジンを入れるスペースはなさそうです(もし作るなら別車体でしょうね)
あとこの660ccで100PSというタイプRの噂も上述したとおり耐久性が死んでるエンジンなのでムリ。エンジンを新規で作るなら話は別ですが。
ディーラーにもS1000や100PSとかそういう話しは全くなし。とのこと。
そりゃ爆発的に売れる車でも無いのにそこまでするとも思えませんので順当だと思います。
リアエンジンなので音はそれなりに聞こえますが、現在の規制のなかの軽のエコエンジンなので、大した音はしません。
加速感無く、エンジンがカラ回りしている中でブローオフの音だけ聞こえてくるという、変な感覚です。
まぁ、頑張ったかな・・・という感じはするのですけどね・・・。
あとは補足としては、
アクセルに対するエンジンの反応自体は悪くないです。
アクセルを踏んだら直ぐに回転は上がるので、ブリッピングやダブルクラッチ、ヒールアンドトゥはやりやすかったです。
トランスミッションに関しては新設計で軽初の6MTです。
割としっかり入りますしワイヤーリンケージ式にしては
好印象なシフトフィールでした。
ギア比は均等に割り振られており、どの段を使うにしてもすんなり使えます。
ただし、かなりのローギアードです。非力なエンジンで加速をさせるためのものなので仕方が無いですけどね。
S660の開発費の多くが注ぎ込まれているであろう6MTですので、
CVTを買うのは間違いでしょうね。
上述しましたがエンジン同様にCVTもそのまま流用ですので、CVTの耐久性も絶望的です。というかエンジン以上に耐久性が低い。
※そのまま流用なのでNシリーズであった過大負荷でCVTのドライブシャフトが折れるという件も恐らくそのままでしょう。
6MTの出来はいいので、それを選ばないならS660という車を半分捨てるようなものでしょう。
○車体関係
剛性はしっかりしてます。車体重量を抑さえず剛性確保にした甲斐はあったようです。
※おかげでパワーウェイトレシオは830kg÷64PS=12.9とそこらの軽冷蔵庫と大差ないですが。
足回りも、街乗り程度ではありましたが不満の無い程度。
タイヤも純正でネオバAD08Rなのでそれなりにコーナリング性能自体は高いのでは・・・ないかと思いますが。
反面、AD08R履いている事を考えるとサスが柔らかすぎると思うのも正直なところ。
ワインディングに持っていって振り回したいところですが、それは流石にできませんでした(笑)
あとは
一応スポーツカーなのに電制の設定が切れません。
VSA(横滑り防止)とTCS(トラクションコントロール)をオフに出来ない。
そして
軽初のアジャイルハンドリングアシスト搭載とありますが、これはコーナリング時に内輪ブレーキをかけて曲がりやすくするという最近流行のVSAの応用品。
これもオフに出来ません。ちなみにスポーツカーにとって
コレも邪魔です。
なにせ減速制御ですから。
余談としては現行のWRX STI(VAB)にも同様の機能(アクティブトルクベクタリング)が搭載されていますがオフにできます。
走りの邪魔になる事を理解しているんですよスバルは。
なのにホンダは・・・。
あ、そうそう。エンジンパワーがなさすぎる癖に車体はしっかりしている&ハイグリップタイヤなので、MRとしての性能は全く発揮できません。
完全に車体とタイヤがエンジンを食ってます。エコタイヤにでもしたらそれなりに楽しいかもしれません。
○インテリア/ユーティリティ関係
積載性に関しては言わずもがな・・・。ルーフを仕舞うと何も入らない。
まぁバイクだとでも思えば(笑)
ちなみにバッテリーは赤丸の奥にありました。
インテリアは結構頑張っちゃいましたね・・・。
もっと安っぽくても良いんじゃないかと思いますが(その分車両価格を下げて)、そういう車(※)ではないということなのかも。
※本気で走る車ではなくそれっぽい雰囲気で乗る車
オープンカーと思えば狭いと言うほど狭い車内では無いかと思いますが、広さを求める人にはオススメしません(笑)
シフトノブの配置も適当で動かしやすい所に配置されています。
ステアリングはチルト機構のみで
テレスコピックはありません。スポーツカーにとってドライビングポジションは大事なので、これは減点ポイント。
ペダル類はちょっと間隔が狭いかな?
ブレーキ踏みながらクラッチ踏もうとしたら、自分の靴に引っかかりました(爆)。気をつけていれば大丈夫な程度ですが。
後方視界は凄く悪いですが、それは仕方が無いでしょう。
人が操作する部分に関してのレイアウトや作りこみはかなり上等で、シートに座ると全てがしっくり来る位置に配置されていると感じました。
○総評
エンジンが予想通りのダメダメ特性。チューニングの余地も無いので弄れない。
車体と6MTの良さに対してエンジンのダメさが目立つ。
速さを求める車ではなく、特徴あるスタイリングで雰囲気に浸る車。
エンジンさえ・・・と思うととても残念な車だった。
●アルトターボRS (5AGS)
○エンジン/ミッション関係
スズキの現行エコ軽エンジンであるR06Aを搭載しています。
ものとしては正直言って上で書いたS660のエンジンと一緒の系統のエンジンです。
燃費を優先したエンジンですので
基本的に遅いです。が、車体が軽い(670kg)ので
それなりに加速できます。
加速はするんですが、ちょっとエンジンの回りが悪い感じがします。
トランスミッションは
5速のオートギアシフト(構造はMTでクラッチとシフトを電動油圧で自動で行う)という少し変わったものが搭載されています。
構造はMTなので乾板クラッチでダイレクトに動力を伝えるため、トルコンATのような滑りが無いのが特徴です。
走り出しは自動で半クラ状態にしてくれるため、ブレーキから足を離すとATのクリープ現象のように進みます。
アクセルを踏めば勝手にクラッチを繋いで走り出します。AGSという事を感じさせないくらい普通に・・・というか
普通にATみたいに走り出します。クラッチの制御上手いね~。
で、走っていくと変速。自動でシフトするので、突然クラッチが切られて駆動力が途切れます。
思わず「おわっ」って言いかけました(笑)
どんだけAT慣れしてないんでしょうかね私は(爆)
で、勝手にクラッチを切られて、勝手に変速して勝手にクラッチつながります。
これが結構長い・・・。
シフトショック対策なんでしょうけど、おかげで空走時間が長い・・・。
パドルシフトで変速もできますが、そっちの方がどうやら変速速度が速いみたい
なんと!MT熟練ドライバーと同等の性能を引き出せるそうです。
確かにちょっと早くなった。
けどそのかわりに変速ショックもドンときます(爆)
MTで自分で操作してればクラッチとアクセル操作を同期できるんですが、AGSだとクラッチとアクセルのタイミングがあいません。
ブリッピングもしてくれないので、
シフトダウン時はもろに・・・。
あと、試乗時にはあまり気にしてなかったですが、おそらくシフトチェンジ中はアクセル操作を受け付けません。
たしかアクセルオンのままシフトしても回転数が跳ね上がらなかったと思う。
※クラッチが切られているのに吹け上がらないので、シフト中はアクセル操作を無効としているか、燃料噴射を停止していると思われる。
なので、AGSの動きに合わせて人間が回転数を合わせるという行為ができない・・・。
AGSは基本構造こそMTですが、動きや扱いはあくまでもATとしてみるのが正しいのでしょうね。
MT運転できる人がわざわざAGSを選択する理由はないかと・・・。というかAGSじゃ返って不便します。
トルコンATやトルコンCVTほど変速がマイルドではないので、AGSのシフト操作に合わせて人間がいちいちアクセルを緩めたりしないとカックンカックンするハメになります。
MTであれば自分のタイミングで行うので無意識にできますがAGSは突然勝手にシフトチェンジするので、タイミングを読んで構えてないといけないので非常にわずらわしいです。
と、普段MT運転している人が言うのですから、AT/CVTに乗ってる人からしたらなおさら「なんだこいつ下手くそなミッションだな」って思うのではないでしょうか。
AT/CVT乗りなんてシフトチェンジとアクセルタイミングなんて全く気にして無いでしょうから。
ちなみにAGSは、
坂道発進で後ろに下がるそうです(試乗では試す機会なかった)
人間の操作するMTのようにサイド使わずにそのまま半クラで坂道発進。なんて器用なことはしてくれません。
安い車なのでヒルスタートアシスト等も無いので坂道発進では
サイドブレーキ使用を推奨という・・・。
あとは、気になる自動半クラ制御によるクラッチ磨耗などについては、完全停止時はしっかりとクラッチを切っており、ブレーキを離してから半クラを始めるので磨耗度合いについては普通のMTと大差ないのではないかとの事でした(ディーラーマン談)
AGSの私の感想としては「MTかATでいいんじゃね?」って思いました(爆)
自由度ではMTに負けますし、AGSのダイレクト感というのも最近のロックアップATと大差はないと感じます。
それでいて変速の下手クソさ/不便さが目立つというデメリットが残る。
あとエンジンの余談ですが、2013年に発売されたケータハム130にスズキの軽エンジンが搭載されましたけど、先代のK6Aエンジンが乗ってます。(R06Aは2010年から使用されてます。)
つまり、スポーツ性においてR06AはK6Aに劣っているのは明白・・・。
○車体関係
軽いという一点が特徴で
基本的に軽箱車です。
あとは全高が1500mmと最近の軽の中では低いほうです。
ステアリングはとっても軽いです。スポーツ走行なんて考えてないスカスカハンドルです。
一応エンジンルームに純正でタワーバーが付いており剛性も確保しようとしているようですが、車体の軽さなりの剛性しかないと感じました。まぁそれは仕方が無いですね。
○インテリア/ユーティリティ関係
アルトですので内装も積載性もアルトです。
前席のシートは軽にしてはホールド性はある方かな?
後席はフルフラットで絶対に乗りたくないタイプのシートです(私見)
ステアリングはチルトのみでテレスコピックなし・・・。
うん、はい、基本的にアルトですとしか言えない(笑)
○総評
「軽いは正義」ですが、正直言ってコイツは軽いだけ。
エンジンも普通の今の軽エコエンジンだし、AGSの性能もイマイチで普通のMTが欲しい。
かつてのアルトワークス時代のような環境で作られた車ではないですし、載っているのも耐久性を落としたエコエンジン。昔のように改造してパワーアップ・・・なんて殆ど望めない。
アルトワークスのイメージに引きずられて過大評価を受けている気がします。そもそもワークスじゃないですし。
あくまでコレは現代のエコ軽のなんちゃってスポ-ティの域でしょう。
●コペン エクスプレイ (5MT)
○エンジン/ミッション関係
先代コペンからエンジンがかわって、KF-VETエンジンになりました。
こちらも流行の軽エコエンジンです。
最大トルクがS660(10.6kg・m)、アルトターポRS(10.0kg・m)よりも低い9.4kg・mですが、
加速感はコペンが一番ありました。
車重は850kgと
3車で一番重いんですけどね(笑)
性能曲線図が見当たらなかったので憶測ですが、コペンは速さに降ったエンジン特性ではなく、馬力がS660のように早々に64PSフラットにならず、64PS目掛けて上まで伸びていく特性なのでしょう。
そのため、
絶対的な速さではコペンは遅いかもしれませんが、人間が感じる”加速感”を多く感じることができる。
はっきり言って、今回乗った3台の中で
コペンが一番乗ってて楽しいと感じました。
ただし、
空ぶかし時のアクセルのツキがとんでもなく悪い。
踏んでから回転数が上がるまでに2拍も3泊かかります。電スロの応答が凄く遅い感じです。
おかげで、ブリッピングやヒールアンドトゥはめちゃくちゃやりにくい。
しかしクラッチが繋がっていれば応答性は良いので不思議です。どういう思考なの?
ミッションは5MTで横置きエンジンのワイヤーリンケージらしいちょっとふにゃっとした感触。
もうちょいカチっと入ってくれると嬉しい所です。
MTの出来自体はまぁ普通・・・かな。飛びぬけた良さはないが欠点もそうない。という。
○車体関係
剛性は全てフレームで確保しました。っていう最近のオープンの謳い文句よろしくコペンもその例外に漏れず。
ドアを除き外板は全て樹脂製という構成で、重くなったフレームの分を軽くしようとされてます。
ただし、樹脂ボンネットは先代のアルミボンネットよりもちょっと重いそうです。強度の関係でしょうかね。
乗ってて剛性の不満は特になかったですね。
○インテリア/ユーティリティ関係
内装は可もなく不可もなく。価格それなりの良さでしょうか。
シフトノブが遠いです。奥側の1、3、5速が遠い。もう少し手前に持ってきてもらいたいです。
ステアリングはチルトのみでテレスコピックはなしでした・・・
どいつもコイツも何で無いんだ。
メーターは速度計が中央で回転数計が左端に追いやられて見難いのがイマイチ。あくまでスポーツカーではないと言う事なのか。
※カタログにはライトウェイトスポーツカーって堂々と書いてありますけどね・・・。
酷いという程ではありませんが、ダイハツという企業ゆえかスポーツカー作りのノウハウのなさというか経験のなさを感じる作りです。
スポーツカーと言えるのがコペンしかおらず、そのコペンも2002年に登場して新コペンになるまでモデルチェンジもせずに売り続けていたので、ノウハウが2002年時点から進歩していなかったんでしょうね・・・。
積載性はリアトランク。
電動ハードトップがトランクに収納されるので、オープン時はトランク容量が食われますが先代コペンよりトランクの深さがあるので、積載性はそんなに悪くないかと思います。
○総評
エンジン特性が今回の3車の中では最も楽しい味付けで、軽エンジンながらも加速感を感じて走ることができる。
先代コペンと比べてエンジンのスペックはダウンしている(燃費関係以外)もののまだ十分楽しいと感じるレベル。
マンマシンインターフェイスの作りは正直甘く、遠いシフトノブを初め、本気の走りの為のセッティングにはなっていない。
(スポーツカー作りの経験のなさと言う部分もあると思うが)
その分走り以外の装備には一目あり、着せ替え可能な樹脂外板や、雪道でも走れるFF。電動ハードトップと装備面では優秀。
と、言う訳で、軽3車種試乗してみました。
満を持して発売となった
S660。
この状況でよく出した。
と言う点は拍手なのですが・・・。
エンジンがNシリーズそのままという超残念仕様。想像してガッカリ。乗ってガッカリの2段構えでした(笑)
エンジン以外は良い出来なのに、エンジンに台無しにされたという・・・。
シャシーからトランスミッションまで金かけて専用開発したのに、なぜ大事な心臓がスポーツ性最低エンジンですか・・・。
エンジンがまともなら、車体はそれなりのものでもなんとかなるのに、基本設計から死んでるエンジンでは改善策が乗せ替え以外に無く、そこまでする(できる)人は殆どいない。
現行軽エンジンは皆耐久性を落としてますがNシリーズのエンジン(S07A)は特に低い。本当に64PSが限界のエンジンwww
S660は弄らずに乗るなら・・・といいたいところだが、弄らないと全く面白くもなんともないですよ(弄れませんが)。
低速ガン振りの実用エンジンにスポーツカーのシャシーですから。
例えるなら
NSXにフィットの1.3Lエンジン載せて面白いですか・・・?という。
P/Wレシオ参考
・64PS÷830kg=12.9
・100PS÷1350kg=13.5
逆にフィットにNSXのエンジンが載ってたらとっても面白いんですけどね?
S660はいっそ潔くCBR600RR(逆車フルパワー)のエンジンでも載せてくれたら面白かったのにね。
ちなみに私見の格付け
・速さ(単純な加速性能)
S660>
アルトRS>
コペン
・加速感(体感として感じる加速)
コペン>
アルトRS>
S660
・エンジン許容性(パワーアップ可非)
コペン≧
アルトRS>
S660
・楽しさ(総合的に)
コペン>
S660>
アルトRS
私は見た目ならS660。エンジンならコペン。アルトRSは正直言っていらない。というのが正直な感想ですね。
ちなみに積載性ゼロの
ホンダS660 250万円~。
私なら同じ金額で積載性ゼロの
ヤマハYZF-R1(2015年) 237万円~。を買います(笑)
200PS÷199kg=1.00
S660の約13倍速い(爆)