※始めに注意:以降は私の私見です。文字しかありません。とっても長くて読むのは大変です。尻尾を巻いて逃げ出すなら今の内です。いいですか?
さて、トヨタが発表した
FCV MIRAIですがFCVとはFuel Cell Vehicle(燃料電池車)のことです。
水素から電気を作りモーターで走る車で、燃焼を伴わないのでCO2等の燃焼排出ガスが無いことが特徴です。
※代わりに水を排出します(後述)
[走行中に排出するのは水だけで、二酸化炭素や大気汚染物質などを発生させない、環境に優しい究極のエコカー。]というのが一般謳い文句。
水素の供給インフラや車両開発等10年20年単位でこれから普及させていこうという始めのステップの段階ではありますが、
FCVってほんとにエコロジーなのでしょうか。
ちなみにプリウスに代表されるエコノミーではありませんね。
※現段階で車両価格700万円オーバー。補助金で引いて500万円台。
今は色々な方式が出てきている黎明期のような状態ですので、各方式を交えて考えて見ましょう。
①ガソリン車/ディーゼル車
②ハイブリッド車(HV)/プラグインハイブリッド車(PHV)
③電気自動車(EV)/レンジエクステンダーEV
④燃料電池車(FCV)
まずは↓
①ガソリン車/ディーゼル車
詳しい説明は不要ですね。
内燃機関でガソリンもしくは軽油を燃焼させてピストンないしローターを動かして回転エネルギーに変換し走行します。
石油を直接燃焼させるため、排出ガスとしてCO2、NOx、SOx等が排出されます。
主な燃焼化学式 → CxHx + S + O2 + N2 = CO2 + NOx + SOx
3元触媒の化学式 → NOx + CO + HC = N2 + CO2 + H2O
②ハイブリッド車(HV)/プラグインハイブリッド車(PHV)
プリウスに代表される内燃機関と電気モーターの2種類の動力を持つ方式です。
基本的には内燃機関がベースの車両であり、エンジン(オルタネータ)や回生ブレーキにより作った電気を利用して電気モーターで動力のアシストを行う事で、石油燃料の使用量を低減させる。
排出ガスはガソリン車と同様でCO2、NOx、SOx等が生成されます。
今まで捨てていたエネルギーを再利用できる事で燃費がよくなる為、石油消費量が削減され同時に排出ガス量も減る。
そういう面でCO2削減できていると謳い、エコロジーを装っている。
が、実際には通常の内燃機関の車よりも大量のバッテリーを搭載するため、レアメタルの消費量が多い。
通常の車とは違いリチウムが大量に必要になる為、途上国に大量にレアメタルを掘ってもらうことになる。
そしてその途上国でレアメタルを掘るのに使用されるのはうん十年前の古い重機だったりするため、途上国でのCO2排出量がバカ上がりするという仕組み。
日本国内のCO2排出量は幾らか下がるが、その削減分以上に途上国にCO2を排出させ、石油燃料の使用量も増えるので、地球規模で見るとまったくエコロジーには繋がらないという。
その事実をカーボンオフセットという言葉で濁すのが先進国のやり方です(笑)
自分の国はきれいにするけど、その分他国に汚れてもらおうってのが現状。
※カーボンホフセット=途上国が発展の為に増えてしまう分の炭素(C)量を先進国が減らして地球規模での炭素排出量を増やさないようにしましょうっていうもの。
プラグインハイブリッドはコンセントからも電気を充電できるハイブリッド車で、メインをバッテリーに置き、エンジンで発電と走行を行える。という2つの動力の内どちらを重視しているかがHVとは違う。
③電気自動車(EV)/レンジエクステンダー
内燃機関を廃し、バッテリーに蓄えた電気だけでモーター走行する方式です。
バッテリーの量が直接航続距離に繋がるため、ハイブリッド車以上にバッテリーを沢山積みます。レアメタルの件はハイブリットと同様の悪循環をもつ。
燃料を使用せず電気だけで走行するため、クリーン(環境に良い)車両だという謳い文句があります。
ただし使用する面では当然充電が必要になり、急速充電でも20~30分かかるなどの理由で出先で手軽に充電ということができません。
そのため航続距離の半分以下が実用できる移動圏内になってきます。(満充電で200km走れるなら半径100km以下が実用領域)
※レンジエクステンダーは発電用に内燃機関を搭載し石油燃料を使用して電気を作り航続距離を延長する。内燃機関そのものでの走行はできない(現在市販車はなし)
そしてクリーンと言うのにも実は罠があります。
電気で走るから石油燃料を使わない?
ノンノン。
電気自動車が使う電気はどうやって作るのでしょう?
現状では日本の発電は火力発電が約90%を占めています。
と言う事は、電気自動車で走ったら石油を消費してるのと同じです。
車で燃やすか、発電所で燃やすかの違いであって、電気自動車は結局石油で動いているのです。
※火力発電の方が効率は良い
※火力発電は重油・LNGが主燃料
電気自動車だからって石油を使ってない訳ではないので、脱石油エネルギーはできません。
更に2011年の東日本大震災の影響で各地の原子力発電所が止まっているため、なおさら火力発電の需要が増えています。
※2011年以前は原発のシェアは約30%。現在は2%程度です。その分火力発電に転嫁されている。
そうそう、最近流行のメガソーラーがあるじゃないか。太陽光で電気作ってるじゃん。
って思うかも知れませんが、正直いって殆ど機能してません。
現在の地熱及び新エネルギーのシェアは2%ほどです。その内で地熱が1%を占めるので太陽光は1%しかないです。
結構増えたように思いますが、ソーラーパネルってのはそれだけ効率悪いんですよ。
天候に左右されるし、夜間は機能しない。土地面積も沢山必要になります。土地が狭くて日照時間がとりわけ長くもない日本で太陽光は厳しいです。
水力発電は8%程度のシェアなのでそっちの方が8倍マシですよ(笑)
※大雑把に言うと↓が現状のシェア。
・火力:90%
・水力:8%
・原子力:2%
・地/新エネ:2%
つまり・・・電気は使えば使うほど石油を消費しCO2を排出する。
④燃料電池車(FCV)
ようやくきました。燃料電池車。
まずは燃料電池ってなんなの?って所から。
水素から電気を作ります。そしてモーターで走ります。
簡単に説明すると中学校で習った「水の電気分解」の逆をやります。
水を電気分解すると H2O + 電気 = H2 + O2 になります。
つまり水から水素と酸素ができる。
燃料電池はその逆で水素と酸素から水を作ります。その際にできる電気を動力に利用します。
H2 + O2 = H2O + 電気
酸素は大気中にあるので水素を供給すれば電気と水ができます。
電気は走行に使うので排出されるのは水のみ。というクリーンなエネルギー・・・ら・し・い。
さて、気になるのはホントにクリーンなエネルギーなのか?
まず燃料電池そのものに突っ込む。
触媒に白金を使います。つまり普及して需要が増えれば、HV/EVのリチウムのように途上国への負担が増えます。
※リチウムも継続して増産モードです。
次に燃料となる水素は何処から調達するの~??
アホな人は「水(H2O)から電気分解で作ればいいじゃん」と答えます。
水はいくらでもありますからね。
でもね。水を水素にする過程で使用する電気はどっから持ってくるのよ?
EVの項目で行った通り火力発電ですよ。
※さらにアホは太陽光発電した電気で電気分解すればいいと考える。上記のとおり太陽光発電では全然発電電力が足りない。
つまり、石油を消費する。燃焼させればCO2は増える。
火力発電(石油燃焼)→電気分解(水素生成)→燃料電池(電気生成)→バッテリーに充電→モーター走行
なんだかアホな事してません?
ちなみにEVの場合は、
火力発電(石油燃焼)→バッテリーに充電→モーター走行
これだけ・・。
燃料電池車は余計なプロセスを挟みます。一回電気を作ってそれで水素を作ってからまた電気に変換する。
ここで結構なロスが生まれます。電気分解の効率と燃料電池の効率です。
現在の燃料電池の効率(水素→電気)は30~40%程度なので6~7割はロスです。
さらにバッテリーへの充電ロスもあるし、モーターの効率は約80%程度なので、バッテリーに貯めた電気の20%はロスになる。(HV/EV同様)
※EVの場合も発電所→充電設備への送電ロスがありますが、これは約4.8%と低い。
※エネルギーは変換回数が多いほどロスが多くなる
これだとEVと比べて火力発電の負担は増えます。
※ロスが多い=より多くエネルギーを作る必要がある。
※さらに水素を高圧貯蔵・運搬する為に多くのエネルギー(主に電気)を使用します。
なので、車両そのものとしては結果として水素の持つエネルギーの20~30%程度が使用できるエネルギーとなってくるのではないでしょうか。
ちなみに現在のエンジンの効率は20~30%と言われているので燃料電池車の効率は大差が無い可能性もありえます。
それどころか他の要因も考えると悪くなる可能性すらあるのでは・・・。
※HV、EVと比べ水素の生成・運搬・貯蔵というエネルギーを多く必要とするプロセスが増える。
※これらはあくまで私の概算です
ちなみに国はもう一つ水素の供給元に目を付けているものがあります。
石油精製プラントです。プラントでは石油から水素を作れるのでそれを利用できないか?と考えている模様。
水素供給元として使うためには単純にプラントの処理量を上げる必要があります。
つまり、石油を使って水素を作る。
これじゃ~本末転倒もいいところです(爆)
現在の有力な水素供給元は以上の2つ(水の電気分解と石油からの精製)ですので、燃料電池車を普及させても石油は使い続けるという素晴らしい未来が待っています。
HV、EV、FCVとまるで脱石油エネルギーで走る車。みたいなイメージを押し付けてきていますが、どれも結局は大元を辿ると全て石油にたどり着きます。
つまり、目先で取り扱うモノが変わるだけなんですよね。
「水素を使うから石油を消費しない。水素生成は自然エネルギーによる発電を利用しCO2排出ゼロ。」な~んてのは夢物語もいいところ。
燃料電池車に至っては、さらに危険因子として水素の取り扱いもあります。
目に見えない水素を高圧タンクに貯蔵して走り回ることの危険性。水素という物質を考えると危険もイイトコ。
ガソリンよりも爆発範囲が広く引火・爆発しやすい上に、目に見えない。
分子が小さい為にガソリンよりも漏れやすいという性質もあります。
また、大気圧との差圧が大きくなればなるほど漏れやすく、圧力を掛けたままにするとシール等の劣化も早い。
ちなみに70MPaで水素を充填するタンクを持つFCV・・・安全性に関してはガソリン車と同等を確保するという話で「80km/hで後続車に追突されてもびくともしない丈夫なタンク」らしいが、それじゃダメじゃね??
「お互い100km/h以上でダンプカーと正面衝突した挙句、橋の上から転落してアスファルトに叩きつけられても全く平気。」くらいにしとかないと高圧水素タンクを積んでいる車両としては全く安心できませんが・・・。
ガソリンは最悪漏れても平気ですが、高圧水素が漏れたらど~なるか?・・・おわかりですよね。火災じゃなくて爆発ですからね。
※そういえば2011.3.11の東日本大震災の折、福島原発の建屋を吹き飛ばしたのも水素でしたね。
水素という物質であることを除いても70MPaという圧力がそもそも危険。
70MPaもあると、タンクにピンホール(1mm以下の穴)でも空いたらそこから漏れた水素で人体が切断されます。※しかもピーって音がするだけで目に見えない。
などなど・・・色々考えてしまいます。
ガソリンや軽油がいかに取り扱いやすい燃料なのかってのが思い知らされます。
総じて言うとFCVは、
1.水素の生成・運搬・貯蔵にエネルギーを使いすぎる事。
2.水素という物質の取り扱い性の悪さ。
3.燃料電池の効率。
4.インフラ整備。
と問題ばかりで正直言って良い事が無いです。いや、世間に「究極のエコカー」という誤解を与える効果はあるか。
これならHVやEVの方がFCVよりよっぽど効率がいいです。
※現時点ではFCVよりEVの方がエネルギー効率が良い事は実証されてます。結局「水素」という余計なプロセスが増える分でエネルギーを使いすぎる。
EVに勝てそうなのはガソリン車のように給油(給水素)が早いということくらいか。じゃ~ガソリンでいいじゃんって私は思いますが。
と各方式を解説してみましたが、結局はどの方式でも使用するものは石油です。
①ガソリン車/ディーゼル車
→燃料として使用
②ハイブリッド車(HV)/プラグインハイブリッド車(PHV)
→燃料として使用
→途上国での石油消費UP
③電気自動車(EV)/レンジエクステンダーEV
→発電元として火力発電で使用
→途上国での重機稼働率UP
④燃料電池車(FCV)
→水素生成~貯蔵等の電気供給元として火力発電で使用
→水素供給元として石油を使用
→途上国での重機稼働率UP
さて、FCVに未来はあるのでしょうか?
私はFCVが200万円で買えるようになっても多分買わない気がします。
まぁHVさえ欲しいと思わないですから当然か(笑)
市場はどうなるでしょうね~。水素ステーションとか沢山できてFCVが普及していくのでしょうか。
コストが下がって現在のプリウスのような立ち位置へとなっていくのでしょうか・・・。
その場合きっと
環境に優しい車なんだと誤解したまま普及していくんだろうな~。
FCVもエコロジーではなく最終的にはエコノミーのエコになっていくのか?
まぁ、コストが相当下がらない限りエコノミーですらないが。
とりあえず
現状エコロジーでもエコノミーでもなんでもない意味不明な車でしかないですねFCVは。
いや別にFCVはエコじゃないよ。って売り出すなら何も言う事はないですが。
現時点で「究極のエコカー」などと話題にしているようでは先が知れますが・・・。
HV、EV、FCVは私の目からみてどれもエコロジーではアリマセン。
だから欲しくもない。
いや、そもそもエコに特段興味が無いのでど~でもいいのか(爆)
燃料電池車。皆さんは欲しいですか?
●余談
いろんな方式が出てるが結局は
内燃機関(石油燃料)で動くかモーター(電気)で動くかの
2種類しかないという。
どちらも
石油がないと機能しないので、本当に”未来”を目指すのであれば、もっと他のエネルギーを模索しないといけない。
なにより燃料電池車は
電気を作るために水素を作る。しかしそれには電気が必要という矛盾を抱えている現状が一番の問題でしょうね。
永久機関ではないのですから、
「電気(100)→水素(100)→電気(100)→水素(100)・・・」
とはできないのです。
できたとしても、量が増えないので意味が無いし。
現実は、
「電気(100)→水素(80)→電気(60)→水素(40)→電気(20)→水素(0)」
どんどん減っていって無くなります・・・。
将来的にFCVを機に別の動力へ移れるかどうかと言われると正直難しそう(笑)
あ、そういえばもう一つ世間を惑わす単語があった・・・。
「ゼロエミッションカー」って言い方。言葉の意味はググってください。
この言葉も「究極のエコカー」と同じで、元を辿れば・・・。
なんだか色々書きすぎてますが、まだまだ書き足りない(笑)
流石にココまで読んだ人は多くないでしょうが。長すぎなんで終わっときます。御愛読ありがとうございました(?)
Posted at 2015/01/21 23:24:07 |
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