
今度、代替するクルマは
C63。
エキゾーストノート(排気音)が今まで乗ったクルマよりちょっと大きめ。
フェラーリのような甲高いサウンドも好きですが、C63のようなアメリカンV8のような
低音の響きも大好き。
この点もこのクルマに
惚れた部分です♪
でもこのサウンド、一説によると・・・
外国からの圧力で例外的に認められた代物という意見も聞かれます。。。
日本の型式も取れているので、例外でも特別でも・・・それはそれで一向に構いません。
でもそれが本当であれば「法外のクルマ」に乗っている」ということになります。。。
以前からちょっと気になっていた部分ですので、自分なりに調べてみました。
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<長文(汗)なので、興味の無い方はスルーしてください。>
公道を走るクルマの騒音はどのように規制されているのでしょうか?
日本で生産(輸入)され
公道を走る車には、
道路運送車両法に基き
保安基準の遵守が求められています。
その保安基準において騒音の関する記述は65条2。
そこでは「告示で定める基準」に適合する消音器(マフラー)の装備を義務付けられています。
その「告示で定める基準」の最新版は
「平成11年規制」と呼ばれています。
その中で乗用車だと下記の数値以下の騒音とすることが求められています。
・近接排気騒音規制値 96db
・定常走行騒音規制値 72db
・加速走行騒音規制値 76db
輸入車に対して日本は
「自動車の国際基準調和と相互承認の拡充」という大方針があります。
その為、騒音規制に関して言えば
「国連欧州経済委員会規則(ECE 規則)」または欧州連合指令(EU 指令)」に適合していれば、保安基準に適合とみなしています。
当然、C63もフェラーリもそのECE 規則に適合した車両です。
でもC63やフェラーリのエキゾーストノートは日本車などと比較してちょっと大きめ。
ってことは、ECE 規則と日本の保安基準は、相当、乖離しているのでしょうか?
答えはNO!です。
日本の保安基準は、上記に述べた「自動車の国際基準調和」という方針があります。
その為、策定する際には最大限歩み寄った内容にしています。
騒音規制に関して言えば、まったく同じ測定方式を採用。
規制値そのものは、厳密に見ていくと車両区分など軽微な部分で相違はあるものの、ほとんど同等レベルです。
では何故、C63やフェラーリのようなエキゾーストノート(排気音)でも規制値をクリアしているのでしょうか?
その答えは測定方式そのものにあるのでは?と思っています。
規制値をもう一度見ながら・・・
<近接排気騒音規制値 96db>
これは、ギアがニュートラル状態のいわゆる
「空ぶかし」の規制値です。
車両・マフラーともに暖機した後、停車・ニュートラルギア位置。
最高出力回転数の75%の回転数までエンジンを回した状態を5秒以上保持。
その後、急激にアクセルを離した時点の最大音量値(A特性)を測定します。
この規制値、96dbってどのくらいの数字なのでしょうか?
100dbが「電車通過時のガード下」、90dbが「騒々しい工場内」と言われています。
その中間あたりの音量、長く聞くなら耳を塞ぎたくなるくらい大きい音ですよね。。。
そのくらいまでの音量がOKということです。
また、測定する騒音計の周波数補正が「A特性」である点に注目。
「A特性」というのは人間の耳で感じる周波数の強弱を勘案した方式です。
一般的な環境騒音を測定する場合の特性で、2Kから4k(可聴周波数の真ん中あたり)を辛めに(割増)します。
逆にそれ以外の低音、高音は甘めに(割引)測定する方式です。
C63の低音の響き、フェラーリのような甲高い高音双方共に・・・割り引いて測定されますね。
<定常走行騒音規制値 72db>
50km/hもしくは最大回転数60%のどちらか低い車速で走った時の騒音値です。
測定するギアは50km/hで通常使用する位置を用います。
定常走行が50km/hという点に注目。
高馬力車はアクセルの上に軽く足を乗せているだけの状態でしょう。
そのような時の車の状態はエンジン回転も低めだし、騒音もきっとかなり抑えられている状態だと思います。
<加速走行騒音規制値 76db>
50km/hもしくは最大回転数75%のどちらか低い車速から
加速した時の騒音値を測定します。
ギアはATであればDレンジの状態です。
計測位置は上↑の画像を見てください。
車速はどちらか低い方なので、ほとんどの車は50km/h。
測定ポイント10m手前まで50km/hで低速走行し、そこから全開で加速。
その先、たった10m走った時点を一瞬のピンポイントの値として測定します。
フェラーリなど高馬力車を想像してみてください。
50km/hからの全開加速の10m先の地点。
エキゾーストサウンドの美味しい部分は・・・どう考えてもその10mのず~と先ですよね!
加速後、たった10m先の測定。
明らかに高馬力車に有利です。
以上のように保安基準の騒音規制値とはそんな
ピンポイントの値。
そのピンポイントの値さえクリアしていれば保安基準適合車となります。
現行の保安基準の騒音規制は明らかに高馬力車に有利な方式です。
それ故、C63やフェラーリのようなエキゾーストノートを響かせていても
「保安基準適合車」なのだと思います。
その裏づけとして、かなり以前から国連など国際会議の場で以下のような意見が交わされています。
「車の騒音測定方式は、パワーウエイトレシオの高い車(高馬力車)の実際の市街地走行と明らかに異なっている。このことが自動車の度重なる騒音規制強化にもかかわらず、道路交通騒音が改善されない理由のひとつ。使用頻度の高いエンジン回転域や加速度などを勘案し、万遍に測定すべきだ。」
この意見を受け、国際会議において
「測定方式を変更する方向」で議論され始めています。
具体的には・・・
測定方式を個々の車の性能に合わせ、パワーウエイトレシオから求めた加速度を目標加速度として定める。この目標加速度での走行時の騒音を加速走行騒音値とする。
加速走行騒音のギヤ位置は、その目標加速度に最も早く加速度が得られるギヤ位置とする。また、定常走行騒音は、加速走行騒音と同じギヤ位置で実施する。
これは・・・
現行に較べて明らかに高馬力車に厳しい方式ですね。
この測定方式が適用されると・・・
寂しいですが、官能的なエキゾーストノートの新型車は存在しなくなるかも。。。
まぁ、各国各メーカーの利害が絡んで調整に時間がかかりそうだし、策定されるのはガソリンエンジンが主流でなくなる頃?!
まぁ、それは置いといて・・・
では
何故、GT-RやLFAなど日本を代表するスポーツカーのエキゾーストノートは比較的大人しいのでしょうか?
これは
社会道徳や文化の違い(お国柄)だと思います。
日本で販売される日本車は保安基準というピンポイントの値のクリアは当たり前。
その保安基準の意味合いまで解釈し、すべての走行状態で「ルール(規制値)」を守ったセッティング。
それでなければ
日本社会では色々な意味で存在価値が認められません・・・よね。。。
一方、欧州は車文化が根付いたお国柄。
ルールとしてのピンポイントの規制値をクリアした上で、それ以外の条件では
クルマの嗜好性に従って「悦び」を優先したチューニングが可能なのでしょう。
日本においてはそんなクルマが輸入されても村八分にされることなく
「あれは外車だから・・・まぁしょうがない・・。。。」と。
このあたりが
外圧で認められたと言われる所以でしょうか(笑)。
まぁ、そうは言っても欧州車でも社会との調和は命題になりつつあるようですね。
M5など車内のスピーカーでエキゾーストノートを聞かせるくらいですから。
そういう意味では今回のC63、個人の自覚と責任において維持、保有するクルマ。
そのことを認識した上で楽しみたいと思っています。