経済学の素養がまったくない私がこういう事を書くと思いっきりヤケドしそうですが、世に蔓延る経済報道はそれ以上に低レベルですので、調子に乗って書いてしまうことにします。
タイトルの「マンデル・フレミングモデル」というのはロバート・マンデル氏とジョン・マーカス・フレミング氏という二人の経済学者が1960年代に提唱したマクロ経済理論で、この功績で1999年にマンデル氏はノーベル経済学賞を受賞しています。
複雑怪奇なこの理論を正しく理解するのは困難ですが、この理論から導き出される結論の一つに
「変動相場制国家では経済政策としての財政政策の効果は限定的で、金融政策の方が遥かに効果が大きい」というものがあります。
マンデル・フレミングモデルが成立するにはいくつかの前提条件があって常にこの話が正しいというわけでもないようですが、2008 年のリーマン・ショック時の日本が見事にこれに嵌ってしまったとも言われています。
リーマン・ショックの際、当時の麻生政権が大規模な財政出動をして対応しようとしたものの、当時の日銀白川総裁が緩和政策を取らず、一方で米欧が大規模な量的緩和政策を実施したため猛烈な円高を招く結果になりました。
それに加えて日本政府が財政出動をしようとして国債の追加発行に踏み切りました。
国債は市場で売買されますので、発行した分の日本円資金が市場から政府に吸い上げられる結果となりました。
そうでなくても通貨価値が上昇していた日本円が市場から吸い上げられてしまい日本円の価値は更に上昇、結局¥70/$台という為替水準になりました。
マンデル・フレミングモデルでは、この現象を実質金利の変動も絡めて説明出来るようですが、これは私の理解を超えたレベルの話になってしまいます。
この円高は資産を持っている人にとってはボーナスステージだったんでしょうが、「国内で作るより海外から買った方が安い」という状況となった結果競争力を失った製造業は国外に工場を移転させ、国内の雇用は減って「就職氷河期」に追い打ちをかけ、街に「リストラおじさん」があふれる結果になりました。
政府が「エコポイント」とかやったりトヨタが「エコ替え」などとキャンペーンをやっても、仕事もお金もない若い方々はクルマを買えません。
単純にお金がないからクルマを買えない状況なのに「若者のクルマ離れ」等と頓珍漢な論評がなされ、売れるのは維持経費が安い軽自動車ばかり…普通車も売れるのは燃費が良いクルマだったりスペース効率の良いミニバンやハイトワゴンに集中するという「デフレ志向」は現在でも継続しています。
さて…このように経済政策において中央銀行による金融政策は非常に重要なのですが、だからといって政府による財政政策がまったく意味がないというわけでもありません。
2013年にアベノミクスが始まり、黒田日銀が遅ればせながら大規模金融緩和政策を始めました。それでも日本のインフレ率はずっと低い水準を維持し続け、最近になって物価上昇が世間を賑わしてはいるものの欧米諸国のようなインフレには至っておりません。
これがなぜなのか?についてはこれまでも何回か書いてきましたが、次回以降にまたあらためて書きます。
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2022/11/03 12:13:35