緊急事態宣言が解除、そして台風一過の秋晴れでやっと目処が立ち
目標としていた酷道を訪ねることができました
今回は「キング・オブ・酷道」の称号を冠する国道157号線の酷道区間に挑戦・・・
キングのキングたる所以と所感をレポートします
レポートの前に、まずは簡単にスペックと歴史のご紹介・・・
国道157号(R157)は、石川県金沢市~福井県大野市~岐阜県岐阜市を結ぶ国道で
総延長199.4 km、最高地点の温見峠(ぬくみとうげ)の標高は約1,020m
鎌倉時代に越前と鎌倉を結ぶ最短ルートとして存在し
戦国時代には織田信長も使っていた路線として知られています
そして70年代に車道が開通して75年(昭和50年)に国道157号に昇格・・・という略歴
これだけを見ると、高規格な国道のように思えますが・・・
実はハイレベルな「酷道」として全国にその名を轟かせています
「落ちたら死ぬ!」の看板で有名でもあり(現在、看板は撤去されています)
「日本三大酷道」のひとつ、国道418号と重複する路線 (R157がR418の核心)
としても有名な「聖地」とも呼ばれています
(日本三大酷道:R439(ヨサク) R425(シニゴー) R418(R157))
30年以上前のネットもなければ「酷道」という言葉さえなかった時に
道が酷いとも知らずに2ストのレーサーレプリカで行ってしまい
細いダートのヘアピンカーブを、雪解け激流の洗い越しを乗り越え
マジで何度も落ちそうになりながら命懸けで制覇した「おもひで」深い酷道157号は
今、どうなっているのでしょう??それも楽しみなのです
(写真はネットで拾ったダート時代のR157です)
前日にヴィヴィオの整備を済ませて翌朝早くに出発
豊田からR248→東海環状→R156→R418→R157へ・・・
最後のコンビニで食料と水を仕入れ、車の最終チェックを済ませていざ出陣
そびえ立つ山々に刻み込まれた「キング」に挑みます
R156→R418に入って既に「酷」
離合(すれ違い)不可なR418を路線バスが華麗に走る・・・スゲェ!
家の軒先、石垣を巧みにかわしながらロールさせて曲がるスゴ腕ドライバーに脱帽します
R418→R157へ
少し快走路を走って能郷へ・・・
能郷の集落を抜けると、すぐに「キング」が牙を剥きました
いきなり離合不可な狭隘(きょうあい)路と急カーブの連続・・・
そして本命の入口に到着(かつて「落ちたら死ぬ!」の看板があったところです)
居合わせた道路工事の方に尋ねると・・・「今日は大丈夫だよ」とのお言葉・・・
長い通行止めとタイミングの悪さで3年は待ちましたが、ここまで来た甲斐がありました
ここから九頭竜湖の街まで電波はありません・・・
携帯を仕舞ってヘッドライト点灯・・・さぁ、逝こうか!
で、いきなりコレ(笑)・・・とにかく狭い、路面荒れ放題、落石は当たり前
それだけじゃなく、オーバーハングする壁にガードレールなしの断崖です
離合は絶望的なので、カーブミラーは気休めにしかなりません
いつ現れるのかわからない対向車を考えると、景色を眺める余裕はなく
這うように車を進め、路面と行く先を睨む緊張が続きます
う~む、素晴らしい・・・「キング・オブ・酷道」というだけのことはある
国道標識も気合いが入ってます(笑)
しばらくの「酷」を味わうと、良い意味で緊張が和らいできます
五感が冴えてくる・・・のでしょうか??
ハンドリングが軽快になり、見えない対向車の気配を感じ、景色を眺める余裕も生まれ
俗に言う「酷道ハイ」な状態になり、楽しくなってきます
対向車とご対面・・・( ^ω^)
私は側壁にタイヤを当てて乗り上げ、相手は外側タイヤを軽く落として
お互いのミラーをさっさと畳んで・・・
「酷道ハイ」なので悩まずに対処できました
安全に、スマートにできた時の気分は格別・・・これも酷道の楽しみです
R157名物の「洗い越し」が現れました・・・
(洗い越し:道の上を川が流れるようにしてあるもの)
洗い越しは何箇所かありますが
路面の凹みが深く、急角度なものもあります
車高低めで前後オーバーハングが長めな車は慎重に・・・
ヴィヴィオの車窓から・・・
離合超困難、ガードレールなし、100mは優にあろうかという深い谷
酷道ツアラー、登山客、山岳ドライブなど、意外と交通量が多いので
車から降りて風景撮影・・・が難しい道です
ある種の「匂い」を感じて脇道の林道へ潜入・・・
するとありました!ほぼ廃村です・・・
施設、廃校、廃屋・・・持ち主がみえることもあり得るので
決して内部に立ち入ることはせず、ゆっくり走りながら見学します・・・
(不届き者の荒らしを考慮して場所の詳細は伏せておきます)
水汲み場があったのでありがたく山の水を頂きました・・・ゴクゴク・・・おぉ!美味い!
ペットボトルにも頂いて、お昼にコーヒーを味わいましょう、楽しみです
(胃腸の弱い方は山の生水に気をつけてください)
本道に戻って・・・
国道なのに、こんな状態は当たり前・・・これも「キング」の貫禄です(笑)
ちょっとジャマだよなぁ・・・
ということで、スコップで土木工事をして難所を越えます・・・重かった(笑)
こういう時は人の装備も重要・・・
THE NORTH FACEゴアテックスジャケット、ディッキーズワークパンツ
Timberlandブーツ、SHOWA強化グラブなど・・・
信頼できる、お気に入り装備が酷道ツーリングをより楽しいものにしてくれます
装備と言えば偏光グラスも・・・
ダッシュなどがフロントガラスに映りこんで見えづらいことがありますが・・・
偏光グラスをかけると映りこみがほぼ消えて、上からの光もカット・・・運転がラクになります
私が使うのはACTION OPTICSフライフィッシンググラス(今はSMITHかな?)
ライトブラウンで明るく、路面状態も見やすくなります
ブナの樹林帯を抜けて温見峠に到着・・・
休憩するスペースも、車を停めるスペースもなく、トイレもありません
そのうえ大量の登山客の車が道の両サイドに停めてあるので
酷道ツアラーや山ドライブの方々は右往左往した挙句過ぎ去る有様・・・
峠の風情も何もない残念な状態です
パトカーが来て駐車違反の取り締まりをしていました・・・あはは、どんどんやってください
福井側に降りていきます
三十数年前に走った時は福井県側がダートでしたが、今は舗装されています
でも、荒れ放題、凸凹だらけ、離合不可は相変わらず・・・
キングの威厳を保ち続けています(笑)
良い場所を見つけたのでお昼にします
道中で拾った山栗も頂きましょう
栗にナイフを刺して爆発防止・・・一個だけは刺さずに犠牲になってもらいます
で、コッフェルに放り込んでトロ火で焼きます・・・
爆発音がして蓋が吹き飛ぶと完成・・・犠牲の一個は粉々です(笑)
山栗は殻が薄く柔らかいので手で剥けます
これが美味いのです
調理中はドローンで遊びます
涼しい風が吹く草原でまったり・・・
静かにくつろいでいるとサル、ワシ、鹿などを見かけました
再び本道に戻ってある程度下ってゆくと酷が和らぎ・・・消滅・・・
ほっとするのと同時に、キングとのお別れに「寂しさ」を感じます(笑)
県道230号でショートカットして九頭竜湖に到着
日暮れ前に山を抜け出すことに成功です(コレ重要)
こちらも長くハイレベルな「酷」を堪能できる、スリリングな道です
えぇと・・・県道なので「険道」ですね(笑)
いくつかの橋を渡り
久し振りに眺める九頭竜ダム・・・
ロックフィルダムと言うのでしょうか?・・・素晴らしい造りに感動します
九頭竜ダムから随分下って道の駅九頭竜に到着・・・コンビニもありました
朝8時頃~16時まで・・・8時間振りに見るコンビニと携帯の電波に生きた心地がします(笑)
駅もあるようです
R158を白鳥まで下って日没の高速へ・・・
総走行距離は400km、山岳路の走行は実に200kmに達する旅となりました
走り終えた所感としては・・・
「キング・オブ・酷道」はかつてより優しくなりましたが
キングの地位は変わらぬ素晴らしい酷道で「一見」ならぬ「一走」の価値アリと思います
また
いつも通れるとは限らない危うい酷道だけに情報収集と計画が成功のカギを握る道です
そうすれば楽しい酷道ツーリングを堪能できることと思います
そして最後に・・・酷道157号線よ、ヴィヴィオよ、楽しい旅をありがとう!