まずは紹介記事の転載から
中国共産党が進めるオーストラリア支配計画
目に見えぬ侵略は日本でも始まっている
先月、中国共産党の対オーストラリア工作を明らかにした
『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』(飛鳥新社)が出版された。
著者はオーストラリアの作家で、チャールズ・スタート大学の教授、
クライブ・ハミルトン氏である。
地政学者の奥山真司氏が翻訳した問題作。
オーストラリアだけでなく世界覇権を目論む中国は、すでに日本にも触手を
伸ばしている。
オーストラリアの失敗から学ぶべきことは?
***
原著は、出版社と契約を結んでいたが刊行中止。
その後も2社から断られた、ようやく出版にこぎつけたいわくつきの書である。
英紙フィナンシャル・タイムズは、「販売中止を決めた自粛は自己検閲だ」
と批判している。
公共倫理を専門とするハミルトン氏は2016年8月、労働党のサム・ダスティヤリ
上院議員の政治スキャンダルが発覚した際、中国共産党の工作に気づいた。
この議員は中国共産党とつながりのある中国人富豪と癒着。
これをきっかけにオーストラリアの主要政党にとって、裕福な中国人や
中国系オーストラリア人のビジネスマンたちが最大の資金提供者となって
いたことが判明したのだ。
さらにハミルトン氏の調査で、中国共産党は、オーストラリアの連邦政府、
企業、主要政党、大学、メディアなどに浸透し、影響を与え、コントロール
するための体系的な活動を行なっていることがわかったという。
中国がオーストラリアにターゲットを定めたのは、2004年8月。
世界中に散らばる中国の外交官を北京に集め、秘密会議が開かれた。
当時の共産党総書記であった胡錦濤(こきんとう)のもと、党の中央委員会が
オーストラリアを中国の周辺地域に組み込むべきであると決定した。
中国最大の狙いは、米豪同盟を壊し、オーストラリアを属国化することだった
という。
05年2月には、共産党の外交部副部長であった周文重(しゅうぶんじゅう)
がキャンベラを訪れて、在豪中国大使館の高官たちとの会合で中央委員会が
決定した戦略を伝えた。
ハミルトン氏の取材に応じた在シドニー中国領事館の政務一等書記官だった
陳用林氏(ちんようりん‐2005年にオーストラリアに政治亡命)によれば、
中国は経済的な手段を使って、オーストラリアに対して軍事関連や人権問題
を含む、様々な分野で譲歩を迫り、オーストラリアをアメリカに対してノー
と言える西洋の国にしようと画策しているという。
2002年8月、オーストラリアは中国広州省に天然ガスを供給する契約を結び、
有頂天になって喜んだ。
しかし、陳用林氏によれば、中国は数カ国を招いて入札を行い、1番安い金額
を提示したインドネシアに決めていたが、北京の共産党中央委員会があえて
オーストラリアに決めたのだという。
これはいわば中国の対オーストラリア工作の伏線で、オーストラリアを中国
の方に振り向かせる狙いがあった。
日米同盟の弱体化
「中国の対オーストラリア工作は、主に在外華僑を使っています。
これを僑務工作と呼んでいます。
オーストラリアに移住している中華系住民を使って、政界や財界工作を行う
のです。
中でも、最も影響力があった富豪実業家のひとりが黄向墨(ほわんしゃんも)
でした。
彼はオーストラリアの政界、財界、メディアまで大変影響力のあった人物で、
シドニー工科大学に豪中関係研究所を設立し、元外相のボブ・カーを所長に
据えました。
ボブ・カーは、天安門事件が起こった時、中国の一党独裁体制を
『滑稽なほど時代遅れ』と批判していました。
ところが中国の工作によって、親中派になってしまったのです。
そのため、“北京ボブ“という渾名が付いています。
2019年、オーストラリア当局は黄向墨と中国共産党とのつながりを調査
した結果、永住権を剥奪し、再入国を禁止、市民権申請を却下しました」
と解説するのは、本書の監訳者で「日本国際戦略研究所」を主宰する
山岡鉄秀氏。
同氏はオーストラリアに約23年間在住し、オーストラリアの変化を肌で
感じていた。
豪中関係研究所は、表向きは中関係発展のための研究機関となっている。
しかし、そのセミナーや出版物の内容を見ると、中国共産党のプロパガンダ
そのものだという。
黄向墨は、冒頭で紹介したサム・ダスティヤリ上院議員に資金提供していた
人物でもある。
「私は、シドニーで大学院生だった頃、中国系の学生たちと仲良くなりました。
彼らは、オーストラリアで生まれ育った移民2世、3世で、適度に西洋化され
付き合いやすかった。
真面目でよく勉強もしていました。
ところが最近のオーストラリアの主だった大学は、雰囲気がガラっと変わり
ましたね。
留学生の4割は中国人で、彼らは中国政府の管理下にあります。
中国からガチガチの愛国教育を受けています。
中国の留学生のミッションには、中国に批判的な個人や団体の監視が含まれ
ます。
教師が中国に批判的な発言をしたり、中国政府の見解に合わない資料を
使ったりすれば、吊るし上げて謝罪を求める。
領事館から大学に直接抗議が入ることもあります」(同)
中国は次に日本をターゲットにする可能性もある。
ハミルトン氏によれば、中国は、日本をアメリカから引き離すために
「エコノミック・ブラックメール」(経済的強迫)を使って政治面での
譲渡を迫っている。
すでに日本には、北京の機嫌をとる親中派の財界人が多いという。
中国は、日米同盟を決定的に弱体化させなければ日本を支配できないことを
よく知っているのだ。
「すでに中国は、日米同盟を弱体化するための手を打っています。
米中の貿易戦争が厳しくなっている中、安倍晋三首相が一昨年10月に財界人
を伴って訪中しました。
中国は、天安門広場に日の丸を掲げて大歓迎。
その際経団連の中西宏明会長は、『中国は敵ではなく、我々を求めている』
と発言しています」(同)
コロナ禍でも同様だという。
「他国が中国全土からの入国を拒否している中、日本はなかなか入国を
拒否しませんでした。
武漢や浙江省だけ拒否していました。
これは習近平の来日が予定されていたこと、中国から
「大ごとにしないで欲しい」と言われたことへの配慮だと思われます。
政府は国民の安全より中国を優先してしまいました。
中国からすれば、まさに思う壺ですよ。
日本が米中の狭間で漁夫の利を得ようとして姑息なことを考えれば、破滅に
つながります。
米中が争っているのだから、アメリカの同盟国である日本は、中国に対して
毅然とした態度を取るべきです」(同)
週刊新潮WEB取材班
転載おしまい
週刊新潮さんが指摘するまでもなく、今回は安倍さんというかブレーンも
含めた全体の考えが米国よりも中国を優先したのは明白でした。
特に経団連の意向が強かったのだろうと思いますが、或る意味で経団連の
意向を無視できるほどの力を我が国の政権が持っているとは言いにくく、
どちらかと云えば経団連に気を遣っている向きがあるかと思われます。
これは、今までの日本がそうであっただけで安倍政権のみ批判すべきでは
ないというか、他国の大統領のような強大な権限があるわけではないので、
経団連の意向も踏まえつつという風になるかと思います。
では諦めるのかという短絡的な話ではなく、もっと建設的にこの構造が歪で
おかしいと思うのならどうやって変えていくのかという事で議論を進めて
いくべきで、例えば政治家よりも元政治家の方とか、評論家の方が一番
詳しいので批判ではなくて、スパイ天国などと揶揄される日本をどうしたら
まともな普通の国に出来るのかそういう展開で我々も議論に参加して今まで
にない方向性で盛り上げていかないと結局は誰かがやるだろうと他人事を
決め込んで、そして自分は何もしないのに、野党やマスコミにまんまと
唆されて政権批判を繰り返すという風になりかねません。
安倍首相が武漢熱の影響で習近平の来賓を延期しましたけど、延期ではなく
来賓扱い自体を再考させるよう市民レベルでどんどん意見を云っていかない
といけないと思います。
特に香港や台湾を見ると一目瞭然ですが、米国や濠国を含む欧米各国と連携
して中国の属国になりたくなければ直ちに行動に移すべきかと、そのように
感じますが皆さんの感想は?
もう他人事として傍観している場合ではないかと。
それではまたの機会に。