コンテナ船の次の寄港地、シンガポール。
もうずいぶん以前に旅行に行ったことがあります。
まあまあ楽しかったと思いますが、
最近は"つまらない国"として有名らしいですね。
そんなシンガポールは、ご存知の通りマレー半島の先っぽにあります。南アフリカからインド洋を斜めに横断してきたコンテナ船は、マレー半島とインドネシア・スマトラ島の間の
マラッカ海峡を通ってシンガポールに向かうことになります。
このスマトラ島は意外に大きく、
日本の国土の約1.3倍もあるんですね。スマトラ島の周辺には小さい島がたくさんありますが、スマトラ島の北側に
ニコバル諸島という島々があります。
コンテナ船はちょうど今、
スマトラ島とニコバル諸島の間を通過しているところなのです。もう少しでマラッカ海峡。
このニコバル諸島はインドネシアかと思いきや、なんと
遠く離れたインドなのですよね(なんでそうなったのか、不勉強で歴史を知りません)。
一方で、インドネシアとは174kmほどしか離れていないんですけどね。
ニコバル諸島のさらに北方には、
アンダマン諸島という島々があって、こちらも同じくインドです。
このアンダマン諸島の中に、おそらく世界中で
最も外界から途絶された地、北センチネル島という島があります。上の地図の赤点線で囲ったところで、比較的大きな南アンダマン島の南端の西にある島です。
コンテナ船がまあまあ近くにやってきたので、今日はこの島について書いてみたくなりました。
ここは、わずか南北8km、東西7km程度しかない小さな離島です。
2018年に起こった
アメリカ人宣教師殺害事件が世界に衝撃を起こしたので、ご存知の方はご存知だと思いますが、この島がかなり特殊な事情の島なのです。
ここに住むセンチネル族の話すセンチネル語は、アンダマン諸島に住む他の部族の言語(アンダマン諸語)と大きく異なるそうで、
数千年のあいだ他の島と交流せずに暮らしてきたと考えられているそうです。そのため、周辺の先住民の末裔の人達でさえセンチネル語を理解できる人はおらず、彼らが自らのことを何と呼んでいるのかすら、センチネル族以外は誰も知らないのだそうです。
人口はわずか50〜200人と推定されているそうですが、今もなお
石器時代の生活を維持する世界で唯一の民族と言われ、外部との接触を拒否する生活を今も続けているそうです。
インドの中にあると言いながらも、インド政府も干渉しない方針で、
事実上島民の独立した主権が認められている状態にあります。上述のアメリカ人宣教師のみならず、近づくものが島民により殺される事件が多数回起きていますが、殺人事件であっても
「現代社会の一部ではない」として、警察の捜査もされないそうです。そもそも外界は拒絶されている上に言語的にもコミュニケーションは不可能でしょうから、捜査どころではないでしょうけどね。
センチネルの人々は元々外部と断絶された部族だった上に、19世紀に
イギリス人による島民拉致(一部は病死、その後島に戻された)があって、外部への排他性・攻撃性を強めたのだそうです。
以前にはセンチネル族への接触の試みが行われていたようですが、今は、センチネルの人達が
免疫を持たないことも考慮して、一切の接触(インド政府自らを含む)を禁止しているそうです。
21世紀の現代においても、まだそんな地があるのかと思うと、なかなか驚愕なことだと思いますね。
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2025/06/12 21:18:58