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2014年11月11日

徳大寺有恒 死去に際し思うこと。

徳大寺有恒 死去に際し思うこと。 徳大寺有恒氏の死去を昨日、月曜の朝に知りました。ぐぐったら、土曜の朝に第一報が流れたそうで。。尊敬する人物の訃報を二日も遅れて知ることになろうとは、そして久々のみんカラへのアクセスが、まさかこんな形になろうとは…。

徳大寺氏(以下「徳さん」)とお会いした事はないものの、私が物心つく以前から父が『ベストカー』の愛読者で、1983年にマツダ ファミリアを購入した際も、徳さんが最も好きなクルマ、VW ゴルフのフォロワーとも言えるファミリアのことを紙面で褒めていたのが購入の大きな要因だったと言います。物心つき、初めて自分で購入したクルマの本が 『間違いだらけのクルマ選び 1988年版』(1987年秋発売)でした。小学5年の時です。

その後、私は思春期となり、17歳の冬、自分とは何なのか、どこに進めば良いのかが見えなくなり、言わばアイデンティティ・クライシスのような状態に陥った時、「そうだ、俺はクルマが好きなんだ」と思い出し、書店に赴いて購入したクルマ雑誌の徳さんの笑顔(画像)にとても励まされました。「俺もこんな素敵な笑顔を見せられる大人になろう」と、その時に思いました。

それまで盲信に近い形だった私に、徳さんに関する毀誉褒貶が入ってきたのはインターネット、「2ちゃんねる」の車板に入り浸るようになった頃、2002~2003年の頃だったでしょうか。とにかくすこぶる評判が悪く、ボロクソに書かれていました。それでも子供の頃に親しんだ気持ちは揺るがず、彼のことを嫌いになる事はありませんでしたが、それまでの盲信からは一歩下がって冷静に彼のことを捉えるようになりました。それまでずっと購読し続けていた『間違いだらけ―』も、2003年夏版を最後に購入しなくなりました。なので「最終版」も、2011年に島下氏との共著で復活した後の物も手元に在りません。ネットでそれぞれの車種のユーザーの「生の声」が読めるようになった事も、『間違いだらけ―』の必要性が薄れた大きな要因の一つだったかもしれません。

※ ※ ※
 
徳さんがこの世に遺したもの、それは彼の訃報記事の見出しに踊る “毒舌” の二文字に集約されているような気がします。熟知している訳ではありませんが、伝聞で知る限りにおいて、欧米では批判は「当たり前」なのだそう。なぜか。それは、批判なき所に成長は無いからではないでしょうか。批判で欠点を洗い出してこそ、改善・向上させてゆく事が出来る。しかし日本は “和を以て貴しと為す” お国柄で、批判は「和を乱すもの」として忌み嫌われます。或いは批判を「当たり前」とは思っていないので「非難」と受け取り、攻撃し返してくるような人も多い。そんな国で、徳さんは素性を隠し「ペンネーム」という手法で批判本を世に問うた。逆に見れば、こんな国だから素性を隠しでもしなきゃ批判本を書けなかった。 ....本は大成功、既成事実を作ってしまえばこっちのもの。その後は『間違いだらけ―』の続刊と自動車メーカーとの信頼関係を両立し続けました。そんな自動車評論家は、私の知る限りにおいて他に居ません。多くの日本の “自動車評論家” は、メーカーに嫌われて試乗会などに呼ばれなくなる事を恐れ、大っぴらな批判を書きません。徳さんが『間違いだらけ―』を出した頃と比べ、日本車のレベルが大幅に向上したので「批判する箇所が減った」のは確かだと思いますが、それにしても余りにも批判を見ない。悪く言えば “提灯持ちばかりの業界です。結局、徳さんはそんな業界の悪習を変えるまでには至らなかったのかもしれません。

※ ※ ※

昨年亡くなった小林彰太郎氏と、『カーグラフィック』で小林氏の薫陶を受けた徳さんは、間違いなく日本の自動車文化を牽引した偉人でした。残るは三本和彦氏ですが、数年前に『おぎやはぎの愛車遍歴』で拝見したお姿は、以前の恰幅の良さは見る陰もなく痩せ細り、杖を突いたとても弱々しいものでした。長生きして欲しいですが…。

間違いなく “一つの時代が終わった” のだと思います。自動車が「クルマ」と呼ばれ、趣味・嗜好のアイテムとして、或いはステータス・シンボルとして持て囃された時代が、終わったのかもしれません。小林氏や徳さんは、間違いなく “クルマの絶頂期を存分に味わった、とても幸福な世代だった筈です。

どうか天国から、日本車の未来を、行く末を、温かく、時に叱咤しつつ、見守り続けていてください。

合掌....。
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Posted at 2014/11/11 08:02:42

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この記事へのコメント

2014年11月11日 9:40
通りすがりです。

批判なき所に成長なし、いい言葉ですね。

批判とは「~すればいいのに」というもので、非難とは単に文句をいうこと、
と定義できますでしょうかね。。。

堂々と批判を出来る人間になりたいですね。

いわゆる提灯持ちは、世界中にいると思いますが、
日本の場合いま提灯持ち国家からの脱却ができるかどうかというところが
これから成長できるかどうかの条件になっているような気がします。
アベノミクスなんて関係ありません。

何から何まで提灯持ちで反吐が出ます。
支配者達がが提灯持ちを好むのでしょうね。

さみしいですね。

件の「間違いだらけの~」は図書館にかなり古いものから揃っているようですので、
できるだけ読み返してみようと思います^^
コメントへの返答
2014年11月11日 13:43
コメントありがとうございます^^

「批判」と「非難」の違いについてですが、簡単に言うと「理」に適った指摘が「批判」で、「情」が先走った誹謗・中傷の類が「非難」と言えるでしょうか。理知的なものか、感情的なものかが、分かれ目なように思います。
 
提灯持ち国家…確かに今の日本はアメリカの提灯持ち国家と言えなくもないです。敗戦の痛手を振り切り、紛う方なき独立国として自立すべき…と思いますが、話が脱線するのでこの辺にしておきますw

批判する事は難しいです。本文でも書きましたが、日本では批判は「当然のこと」とは認識されていないので、機嫌を悪くする人や攻撃し返してくる人、縁を切ってしまう人などが本当に多い。かく言う私も日本生まれ日本育ちなので、自分に対する批判を正面からきちんと受け止められるか自信はありません。

そんな国で、正面からクルマを、自動車メーカーを批判し続けた徳大寺さんは本当に立派な方だったと思います。「ウィズニュース」で報じられていますが、メーカーにクルマを供与してもらった事は一度もなく、生涯で購入した60台すべて自腹だったそうです。

既に「クルマ」は、「自動車」もしくは「自家用車」といった白物家電に近い存在となってしまった昨今、もう彼のようなポリシーのある「クルマの評論家」は出てこないのだろうと思います。これからは電気自動車や自動運転車などが浸透して行き、環境性能や持続可能性(サステナビリティ)が自動車の評価軸となって行くのかもしれませんね。

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「初めてPCじゃなくタブレット/スマホから投稿 (フォトアル) してみたが、余りのやりづらさに呆れた。ニコ動と一緒でPC時代からスマホ/タブレット時代に上手く移行できなかったクチですね、ここも。」
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