
8月30日、鳴り物入りで日本に入ってきたレクサスが遂に正式に販売を開始した。かくいう私も、「ガイアの夜明け」等、レクサス特集番組を幾つか見たが、貧乏学生の私には端から他人事である上に その車たちに全く魅力を感じない。単なるイメチェンのSCは元より、新しいGSもISも、先代に当たるアリスト/アルテッツァの方が そのスタイリングは美しかったと感じている。特に初代アリストのジウジアーロによるデザインは、GSのバランスの崩れたデザインを見るにつけ、逆にその美しさが際立って見える。美しいカーデザインとは、早々簡単に出てくるものではない。
皆がレクサスに注目する中、アリストという車をもう一度、振り返ってみようと思う。
「トヨタ アリスト」は1991年10月、同時にデビューした
クラウンマジェスタの車台に
ジウジアーロ率いるイタルデザインの手になるスタイリッシュなボディを載せた高性能パーソナルサルーンとしてデビュー。そのキャラクターは、3年前に爆発的人気を博した
日産 シーマに、多分に影響を受けていたものと思われる。
エンジンは3Lのターボ仕様とNA仕様の二種類。一年後の'92年秋に当時のセルシオと同じ4L V8を4WD専用として追加している。
やはりジウジアーロの名は伊達ではなく、14年経った今でもあまり古さを感じさせないのはさすがだ。 そのディメンションを改めて見てみると、レクサスGSとほぼ同じサイズ。いや、長さに至ってはGSの方が僅かに短いほどだ。「車はすべからく肥大化するもの」と思っている私には、これは意外な発見だった。

レクサス GSにも、Cピラーの辺りにアリストのアイデンティティを継承しようとする意図が見て取れるが、どうにも全体のバランスが悪い。トランクが極端に短いのもその一因であろうが、私にはまるで「シロナガスクジラ」のように見える。何度も言うが、「カッコいい車」とはそう簡単に創れるものではない。
その速さ=暴力性ゆえか、エアロゴテゴテのドレスアップをしたアリストをよく見るが、せっかく美しいフォルムを持っているのだから、ぜひノーマルで乗って欲しい。ターボの速さは確かに魅力的だが、NAでも十分なパワーを持っているだろうし、NAの方が優雅なアリストのスタイルに相応しい乗り方が出来そうだ。
二代目アリストはクラウンの車台を離れ、オーバーハングの短縮やエンジンのVVT-i化等により更なる速さを手に入れたが、こうして見比べてみるとやはり、ジウジアーロには敵わないと言うか、カチッと節度のある初代に比べ、ボヨーンとした“クジラ型”になってしまったように見える。
先日のシーマの記事でも書いたが、旧来のクラウンやセドリックとはちょっと違うプレミアムスポーツセダンを目指したという点で、シーマとアリストは現在のレクサスの思想に繋がるものを持っていたように思う。レクサスへの系譜として、とてもスタイリッシュなスポーティセダンが存在したということを、皆さんもぜひ、ご記憶に留めておいてもらいたい。
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トヨタ アリスト 3.0V [FR/4AT] ('91.10~'97.8) ※初代
全長4865mm×全幅1795mm×全高1420mm ホイールベース2780mm 車両重量1680kg
2997cc 280ps / 44.0kgm P/W レシオ6.00kg/ps 車両価格474万円
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トヨタ アリスト 3.0V [FR/4AT] ('97.8~'04.12) ※二代目
全長4805mm×全幅1800mm×全高1435mm ホイールベース2800mm 車両重量1680kg
2997cc 280ps / 46.0kgm P/W レシオ6.00kg/ps 車両価格436万円
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レクサス GS350 [FR/6AT] ('05.8~)
全長4830mm×全幅1820mm×全高1425mm ホイールベース2850mm 車両重量1640kg
3456cc 315ps / 38.4kgm P/W レシオ5.21kg/ps 車両価格520万円
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GAZOO名車列伝(初代)
http://gazoo.com/meishakan/meisha/shousai.asp?R_ID=5538
〃 (二代目)
http://gazoo.com/meishakan/meisha/shousai.asp?R_ID=5539
Posted at 2005/09/02 02:34:41 | |
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