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イイね!
2024年06月08日

サスをいじる前の基礎知識

こっちの車高調の話の前に今のクルマのサスペンションの成り立ちを理解しておくと誤解が減るかなぁ、という話です。

クルマのサスペンション、馬車のガタゴト振動吸収が最初の目的なんです。
まず、車軸から上屋を板バネで浮かせました。そしたらガツンゴトンがポンポンに改善。なのでサスの基本はバネです。
でも、ポンポンをもっと柔らかくしてポヨンポヨンにすると今度はいつまでもポヨンポヨンが止まらないのでそこにダンパーをつけました。バネとダンパー、機能要素2つの登場です。

そしたらポヨンポヨンがトコトコ、とかシュッシュっとおさまりました。めでたしめでたし。しかし、めでたくなると飛ばしたくなります。

そしたら今度はカーブでの遠心力が問題になりました、ロールです。外側だけ沈むんで、上屋、座席から外に放り出すように傾きます。だめですな。
対策にバネ固くしたらゴツゴツ。これじゃサスの意味ないので困りました。

ここでスタビライザーが参戦です。本名はアンチロールスタイビライザー、とかアンチスェイバー、まあロール止めの棒です。左右の車軸を繋ぐ棒。
ロールし始まったら延びる内側のバネ力を縮む外側に持ってきて、外伸ばし&内縮めの一挙両得棒、それがスタビです。
最初ただの棒でしたが、ねじれ棒にすると棒自体がバネになるのでそうしました。
ロール量に応じてアンチロール力が大きくなるし、ねじり棒の太さでバネ力も調整できる、なかなか優れものになりました。

さて、足回りはだいぶイイ感じになりましたが、エンジンもさらにハイパワー、タイヤもメキメキと良くハイグリップになり、また路面も舗装されほぼ平らになりますと、ただのバネとダンパーとスタビだけではいなしきれなくなります。

そして、ここからは小技を使います。バネ、同じ重量を柔らかいバネで支えたいので最初から縮めて使います。そう、プリロード。これで柔らかいバネのまま大きな荷重を支えられます。バネ柔らかい方が乗り心地がいいですからね。

そして、左右のロールと前後のピッチング、ノーズダイブ&スクオートは頭を使ってサスアームの角度を上手く配置しジオメトリカルに減らします。
ジオメトリカルというのは、重心とアームの位置と角度をうまく配置すると加減速や遠心力で起こる動きを減らせるという、魔法のような設計です。いや幾何学なのでゴリゴリに理屈あります。知恵で解決してるので説明は面倒くさいのですが、わかると意外と簡単です。まあ、前後左右、クルマの運動で掛かる力を利用したり受け流すようにアームとリンクを配置しておくという、なんかこう体術の合気みたいな技です。余計わからんか。


というのが、現代のクルマのサスペンションの基本。
まずは、とにかく路面のデコボコをいなすために柔らかく支えよう=柔らかいバネ
次に、共振止まらないと酔うので抑えよう=ダンパー
ロールでこぼれ落ちたら大変なのでロール抑えよう=スタイビライザー
加減速強くできるようになったけど、ピッチング抑えよう=サスジオメトリ
ロールもジオメトリで抑えられるぞ。=今のクルマの完成。まあ各要素を丁度いいように調整してありますが。


ここまでが現代車のサスペンション、みんなが買うクルマについてるやつです。
そして、ここからです。チューニングしてやるぜ!、というのはこの完成品のバランス変える、崩すということです。

すると、まあ大体こうなります。

車高落としました。=ジオメトリ悪化します。ロールが大きくなります。

ロールすごいので強化スタビ入れました。=ロールちょっと戻ってキビキビ動くようになります。

ハイグリップタイヤにしました。=またロールがおさまらなくなりました。フルボトムしてたりするとスピンとかしやすくなってたりします。限界かな?

なので、車高調組みました。=直巻きバネはガチガチ、減衰力もド高めで動かない足、最初の反応は速いけど曲がらない。おかしいな…


ハイ、何故でしょう?
それは、柔らかいバネ前提で、いろいろ補正されてきているのが今のクルマだからです。
そのバネレートはなにも補正がなけれが1G沈み量でフルボトムするくらい柔らかいのに、底付きせず、ほどほどの動きでおさまるような強力な補正です。

そこに車高調、直巻きで純正の何倍ものレートのバネなんか入れるのですから、補正が効きすぎてしまうのです。

例えるなら補正しすぎたプリクラや、デジカメ小顔補正で可愛い子が目玉のお化けになっているようなもんですな。知らんけど。

レート上げたらジオメトリ、スタビライザーは見直ししないといけません。強化スタビはレートを戻す、車高下げたらロワアーム角を直す(タイロッド角もあわせる)、アンチノーズダイブジオメトリはほどよくキャンセルできるよう軽減する。

ここを合わせ込んでいかないと、どこかした変な動きをします。ことによってはまともに操作できなくて当たり前です。なので一つづつ調整しながら。ですからお金も手間もかかります。下手にやると迷って抜けられなくなりますが、きちんとできればやりこみようによってはもの凄くよくすることができます。(たまになんともならないクルマもありますので、個人差あります的な話ですが)

そういうのいやだったらワンポイント、強化スタビにちょっとハイグリップタイヤくらいでやめておくのが無難かもしれません。ワンポイントで雰囲気楽しむのも悪くない。
でも、やりこまないと見えてこないところもいろいろあるわけで、やってみたければやってみるのがいいと思います。調べりゃほとんどなんでもわかる時代ですし、どっちも楽しいのでお好きなように是非。

ブログ一覧 | サスペンション | クルマ
Posted at 2024/06/10 01:40:40

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この記事へのコメント

2024年6月10日 9:25
わかるわー😅
買ったとき既に255/35-18ネオバと車高調付いてて、乗り心地悪い、曲がらない←タイヤだけで曲がってる感じ、停車中に車高低くて見た目だけしか取り柄なし。
バネのレート変更、減衰調整、ロールセンターアジャスター他あちこちいじくり倒して2年ほど迷走〜路面状態と速度で良い感じのスポットがすごく狭い。程度の良さげな純正足入手方法。あー!これこれ!乗り心地良いしよく曲がる。
現在純正レートのバネ、ショックのみグラベル対応のストローク長いやつ(正立)にサイズダウンなエコタイヤw
純正のセットアップってほぼ万能に使えるようよく考えられてるなーと思いました。

仰る通り、ちょっと雰囲気変えるだけか、トコトンやり込むかの二択ですね。
コメントへの返答
2024年6月10日 13:57
雑誌と公告とセールストークに惑わされるとそうなってしまうんですよね。
でも、よっぽど感覚が鋭くないと、どれが正しい情報なのかって判断がつかないのが普通です。
今回は足回り発展の経緯と、自分達の失敗から振り返ってまとめましたけど、クルマ以外でも経緯を知るのは有効かも。

富士重工のクルマは特に雪道を意識していたから対応幅が広く、それにダートラをやってた現偉いヒトが手入れで高速&高G旋回でもイケるような基本設計にさせたのがレガシィです。その4ストラットサスがインプレッサにも付いてるのでこの時代の足はかなりいいです。リヤダンパーの角度を除けば。


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「@ノイエ汁 134aまでなら、廃棄する人が多いのか中古工具屋にけっこうあります。まだ国産品があるので自分で直したり校正できるならそちらの方がモノは良さそう。」
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